セブンスソード
36
翌日の昼、俺は新都で買い物とスパーダ探しのためこの町一番の水戸駅に来ていた。駅から出ると休日の昼間とあって人でごった返している。今日もいい天気だ。見上げるだけで頭が痛くなるようなビルがいくつも立ち並び大きな道路がはしっている。日の光がビルのガラスに反射して俺は手をかざした。人々の喧噪に放り込まれ一気に都会に来たっていう感じだ。その後スマホで時間を確認してみた。
集合は一応十一時だったんだが、五分前か。なんとか遅刻せずに着いたな。
駅正面には大きな時計塔がある。そこが待ち合わせ場所なので俺は近づいていくが、そこで見覚えのある姿が見えてきた。
「沙城さーん!」
俺が呼びかけると彼女は驚いたように振り向いた。
「聖治君」
振り返る動作で彼女の長髪がさらりと揺れる。
時計塔の下で他の人に混じって一人で待っていた。彼女らしい清楚で可愛らしい服装だ。制服姿も可愛いと思うけど私服もいい。
「さきに来てたんだ。迷わなかった?」
「実は、ちょっと早めに家を出たんだ。だから三十分も早く着いちゃった」
「三十分!?」
それってアニメ一回は見れるよな? 沙城さんは「あはは」と笑っている。
「まったく。それだとしっかりしてるんだかおっちょこちょいなんだか分からないな」
「そんなー。遅れないために早く来たんだがしっかりしてるよぉ」
「どうだろうな。しっかりしてる割には無駄が多いんじゃないか?」
「むぅ」
「ははは」
なんだろ、彼女とはそんなに話していないけどなんだか一気に親しくなれた気がする。
するとちょうど星都と力也も着いたみたいで俺たちに向かってきた。
「おーい。全員揃ってるな」
「おはよう、聖治君。沙城さんも」
「うん。織田君おはよう」
「遅いぞ二人とも、俺たちがどれだけ待ったと思ってるんだ」
「ん? なんだ、時間はちょうどだろ? どれだけ待ったんだよ?」
「ちょっと聖治君!」
「俺は五分。そして彼女は三十分だそうだ」
「三十分!? おいおい、時間を間違えたのか?」
「もーう! それでいいです!」
「はっはっはっは!」
「???」
「沙城さん、ごめんねえ。もっとちゃんと伝えればよかったね」
「ううん、織田君は悪くないの」
沙城さんが下を向いている。そのまま俺をジト目で見上げてきた。
「聖治君ってけっこういじわるだよね……」
「ごめんごめん」
彼女の反応がいいからついからかってしまった。
「それにしても三十分って、暇だったろ? 立ちっぱなしで大変だったんじゃない?」
「ううん。そんなことないよ」
彼女は道を行き来する人々に目を移す。
「大勢の人がいる。それにきれいな街。聖治君が来るまでずっと眺めてたんだ」
「それは」
以前彼女が話していたことを思い出す。
「平和って、こと?」
「うん」
昇降口の下で彼女は言っていた。平和はとても貴重で、今あるこの平和は当然のものじゃないって。日々が恐怖で、生きることが怖かったとも言っていた。
「こんな大勢の人が歩いてるとこ、久しぶりに見た」
彼女にとって、こんななんでもない光景も特別に見えていたのか。
そこで星都が俺に近づいてきた。
「なあ、あいつはどんな田舎から来たんだ?」
おい、聞こえるぞ。
「ちょっと! 聞こえてるんですけど!」
やっぱりだ。
「ほら星都、失礼なことを言うから沙城さんが怒ってるだろ」
「んだよ、お前が最初にいじったんだろ」
「覚えてないな」
「んだとてめえええ!」
そうこうして俺たちは全員揃ったこともありデパート内にあるアウトドア用品の店を訪れていた。店内には展開済みのテントが置かれ他にもバーベキューに使われるコンロを家族連れのマネキンがこれもまたアウトドアの服装をして囲んでいる。
集合は一応十一時だったんだが、五分前か。なんとか遅刻せずに着いたな。
駅正面には大きな時計塔がある。そこが待ち合わせ場所なので俺は近づいていくが、そこで見覚えのある姿が見えてきた。
「沙城さーん!」
俺が呼びかけると彼女は驚いたように振り向いた。
「聖治君」
振り返る動作で彼女の長髪がさらりと揺れる。
時計塔の下で他の人に混じって一人で待っていた。彼女らしい清楚で可愛らしい服装だ。制服姿も可愛いと思うけど私服もいい。
「さきに来てたんだ。迷わなかった?」
「実は、ちょっと早めに家を出たんだ。だから三十分も早く着いちゃった」
「三十分!?」
それってアニメ一回は見れるよな? 沙城さんは「あはは」と笑っている。
「まったく。それだとしっかりしてるんだかおっちょこちょいなんだか分からないな」
「そんなー。遅れないために早く来たんだがしっかりしてるよぉ」
「どうだろうな。しっかりしてる割には無駄が多いんじゃないか?」
「むぅ」
「ははは」
なんだろ、彼女とはそんなに話していないけどなんだか一気に親しくなれた気がする。
するとちょうど星都と力也も着いたみたいで俺たちに向かってきた。
「おーい。全員揃ってるな」
「おはよう、聖治君。沙城さんも」
「うん。織田君おはよう」
「遅いぞ二人とも、俺たちがどれだけ待ったと思ってるんだ」
「ん? なんだ、時間はちょうどだろ? どれだけ待ったんだよ?」
「ちょっと聖治君!」
「俺は五分。そして彼女は三十分だそうだ」
「三十分!? おいおい、時間を間違えたのか?」
「もーう! それでいいです!」
「はっはっはっは!」
「???」
「沙城さん、ごめんねえ。もっとちゃんと伝えればよかったね」
「ううん、織田君は悪くないの」
沙城さんが下を向いている。そのまま俺をジト目で見上げてきた。
「聖治君ってけっこういじわるだよね……」
「ごめんごめん」
彼女の反応がいいからついからかってしまった。
「それにしても三十分って、暇だったろ? 立ちっぱなしで大変だったんじゃない?」
「ううん。そんなことないよ」
彼女は道を行き来する人々に目を移す。
「大勢の人がいる。それにきれいな街。聖治君が来るまでずっと眺めてたんだ」
「それは」
以前彼女が話していたことを思い出す。
「平和って、こと?」
「うん」
昇降口の下で彼女は言っていた。平和はとても貴重で、今あるこの平和は当然のものじゃないって。日々が恐怖で、生きることが怖かったとも言っていた。
「こんな大勢の人が歩いてるとこ、久しぶりに見た」
彼女にとって、こんななんでもない光景も特別に見えていたのか。
そこで星都が俺に近づいてきた。
「なあ、あいつはどんな田舎から来たんだ?」
おい、聞こえるぞ。
「ちょっと! 聞こえてるんですけど!」
やっぱりだ。
「ほら星都、失礼なことを言うから沙城さんが怒ってるだろ」
「んだよ、お前が最初にいじったんだろ」
「覚えてないな」
「んだとてめえええ!」
そうこうして俺たちは全員揃ったこともありデパート内にあるアウトドア用品の店を訪れていた。店内には展開済みのテントが置かれ他にもバーベキューに使われるコンロを家族連れのマネキンがこれもまたアウトドアの服装をして囲んでいる。
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