セブンスソード
25
殺す? ここにいるみんなで? 友達同士で?
殺す? 殺されろって?
「でもよ!」
星都が食いつくよう言った。
「俺たちがその団長になるべく作られたって説明だけどさ、おかしいだろ。その参加者である俺たちがなんでそれを聞かされていないんだ? いきなりそんなこと言われても戸惑うなんて分かり切ってるし、覚悟なんて決められるわけないだろ。こんな状態で戦えなんて、できるかそんなこと!」
「うん。私もそう思う」
星都の反論に沙城さんも力強く賛同した。これには彼女も思うところがあるようで顎に手を当てている。
「私たちにロクに説明もしないでセブンスソードの開始。それに昨日の管理人……」
沙城さんは俺たちから少し離れるとその場で右に左に歩いている。
「聞いていた話とずいぶん違う。この時代になにが……」
どうも沙城さんにも分かっていないことがあるようだが俺たちではアドバイスのしようがない。この件に関しては完全に沙城さん頼りだ。
「神剣パーシヴァルにディンドランか」
「どうした星都」
「いや。ただお前と転校生ってなにか関係があるのかなってさ」
「どうしてだよ」
どこでそう思ったんだ? 昨日呼び出されてした話はしてないはずだが。
「パーシヴァルってあれだろ? 聖杯探索に出かけた三人の騎士だろ」
「聖杯探索?」
どっかで聞いたことがある気がするが全然分からん。
「あれだよあれ、アーサー王伝説に出てくるやつ。聖杯を探すための旅に三人の騎士が出て行って見事見つけるんだ。そのうちの一人がパーシヴァルっていう円卓の騎士なんだよ」
「へえ、お前よくそんなこと知ってるな」
「ゲームでよく出る名前だからな」
「星都君ゲーム好きだからねぇ」
「なるほど」
こいつがまさかの読書家かと思ったがそんなことはなかったか。
「それと沙城さんのスパーダがなにかあるのか?」
「ディンドランっていえば作品にもよるがパーシヴァルの姉だよ。三人の騎士に助言を与えて旅を支えたのさ」
「今の状況そっくりだ」
俺と星都に力也。俺たちがその三騎士なら沙城さんは間違いなくそのディンドランだ。聖杯はさしづめゴールといったところか。
「その伝説通りなら沙城さんに任せとけばゴールまでたどり着けるかもな」
「いや、そうはならねえ」
星都に振り返る。星都は声を若干固くした。
「ディンドランは旅の途中で命を落とす。聖杯を一緒に見つけることは出来ないんだ」
「……そうか」
歩きながら考え事をしている彼女を見る。今もこうしていろいろ教えてくれる彼女だがそれでも無敵というわけではない。昨日は助けてもらって感謝もしている。でも、結果だけ見れば彼女は敗北していたんだ。
無事なんて保証は誰にもない。誰にもだ。
「ま、あくまでもそれはディンドランでの話だ。俺たちまでそうだとは限らないさ」
「そうだな」
彼女のスパーダはディンドランという名前だが結末まで伝承のディンドランになると決まったわけじゃない。沙城さんだけじゃない。ここにいる一人とて失ってたまるか。
すると沙城さんが俺たちのもとに戻ってきた。
「今回のセブンスソードだけど、不審な点がいくつもある。昨日聖治君が管理人に襲われたこともそうだし」
「その管理人っていうのはなんなんだ? 名称から察しはつくが」
「管理人は魔卿騎士団の団員で幹部よ。セブンスソードが円滑に行われるようスパーダの管理をしていて複数人いるわ。具体的には儀式の説明や特に監視ね。セブンスソードを放棄しようとする者、逃走する者を見つけたら不適格として処刑するの」
「逃げられない、ってことか?」
「今大事なのは、私たちがその儀式に参加させられていて、命を狙われているということよ」
そんな。一気に気持ちが暗くなる。
考えればすぐに分かることだった。剣が出せたということはそういうことで、愉快なはずがないって。
「加えて、セブンスソードの期限は一週間って決まってる。もしそれを過ぎても決着が付かない場合、昨日会った幹部たちによって処刑が始まる」
「なにもしない、っていうのはできないわけだな」
「うん」
沙城さんは悲しそうな声で答えた。
「…………」
彼女の説明はそこで終わった。誰も話す者がいなくなりこの場は無言となる。
殺す? 殺されろって?
「でもよ!」
星都が食いつくよう言った。
「俺たちがその団長になるべく作られたって説明だけどさ、おかしいだろ。その参加者である俺たちがなんでそれを聞かされていないんだ? いきなりそんなこと言われても戸惑うなんて分かり切ってるし、覚悟なんて決められるわけないだろ。こんな状態で戦えなんて、できるかそんなこと!」
「うん。私もそう思う」
星都の反論に沙城さんも力強く賛同した。これには彼女も思うところがあるようで顎に手を当てている。
「私たちにロクに説明もしないでセブンスソードの開始。それに昨日の管理人……」
沙城さんは俺たちから少し離れるとその場で右に左に歩いている。
「聞いていた話とずいぶん違う。この時代になにが……」
どうも沙城さんにも分かっていないことがあるようだが俺たちではアドバイスのしようがない。この件に関しては完全に沙城さん頼りだ。
「神剣パーシヴァルにディンドランか」
「どうした星都」
「いや。ただお前と転校生ってなにか関係があるのかなってさ」
「どうしてだよ」
どこでそう思ったんだ? 昨日呼び出されてした話はしてないはずだが。
「パーシヴァルってあれだろ? 聖杯探索に出かけた三人の騎士だろ」
「聖杯探索?」
どっかで聞いたことがある気がするが全然分からん。
「あれだよあれ、アーサー王伝説に出てくるやつ。聖杯を探すための旅に三人の騎士が出て行って見事見つけるんだ。そのうちの一人がパーシヴァルっていう円卓の騎士なんだよ」
「へえ、お前よくそんなこと知ってるな」
「ゲームでよく出る名前だからな」
「星都君ゲーム好きだからねぇ」
「なるほど」
こいつがまさかの読書家かと思ったがそんなことはなかったか。
「それと沙城さんのスパーダがなにかあるのか?」
「ディンドランっていえば作品にもよるがパーシヴァルの姉だよ。三人の騎士に助言を与えて旅を支えたのさ」
「今の状況そっくりだ」
俺と星都に力也。俺たちがその三騎士なら沙城さんは間違いなくそのディンドランだ。聖杯はさしづめゴールといったところか。
「その伝説通りなら沙城さんに任せとけばゴールまでたどり着けるかもな」
「いや、そうはならねえ」
星都に振り返る。星都は声を若干固くした。
「ディンドランは旅の途中で命を落とす。聖杯を一緒に見つけることは出来ないんだ」
「……そうか」
歩きながら考え事をしている彼女を見る。今もこうしていろいろ教えてくれる彼女だがそれでも無敵というわけではない。昨日は助けてもらって感謝もしている。でも、結果だけ見れば彼女は敗北していたんだ。
無事なんて保証は誰にもない。誰にもだ。
「ま、あくまでもそれはディンドランでの話だ。俺たちまでそうだとは限らないさ」
「そうだな」
彼女のスパーダはディンドランという名前だが結末まで伝承のディンドランになると決まったわけじゃない。沙城さんだけじゃない。ここにいる一人とて失ってたまるか。
すると沙城さんが俺たちのもとに戻ってきた。
「今回のセブンスソードだけど、不審な点がいくつもある。昨日聖治君が管理人に襲われたこともそうだし」
「その管理人っていうのはなんなんだ? 名称から察しはつくが」
「管理人は魔卿騎士団の団員で幹部よ。セブンスソードが円滑に行われるようスパーダの管理をしていて複数人いるわ。具体的には儀式の説明や特に監視ね。セブンスソードを放棄しようとする者、逃走する者を見つけたら不適格として処刑するの」
「逃げられない、ってことか?」
「今大事なのは、私たちがその儀式に参加させられていて、命を狙われているということよ」
そんな。一気に気持ちが暗くなる。
考えればすぐに分かることだった。剣が出せたということはそういうことで、愉快なはずがないって。
「加えて、セブンスソードの期限は一週間って決まってる。もしそれを過ぎても決着が付かない場合、昨日会った幹部たちによって処刑が始まる」
「なにもしない、っていうのはできないわけだな」
「うん」
沙城さんは悲しそうな声で答えた。
「…………」
彼女の説明はそこで終わった。誰も話す者がいなくなりこの場は無言となる。
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