セブンスソード
11
教室に入るなり自分の席に着く。カバンから教科書類を机に入れていく。そんな朝の準備をしていると星都が近づいてきた。なにやら急いでいるようで俺の机に両手を叩きつけた。
「なあ聞いたかよ」
「お前が寂しいと死んじゃう豆腐メンタルってことか?」
「ゲエー。ちげえよ、転校生だよ転校生」
「転校生?」
星都はやられたような顔をしてからすぐに俺に向き直った。
そんなのはいつものやりとりなのでいいんだが、転校生か。教室に入った時からなにやら騒がしいと思っていたがみんなそれを話していたんだな。
「なんでも今日来るらしいぜ。佐々木が職員室でブルマンと話してるのを見たんだってさ」
ブルマンというのは担任教師の青山先生のことだ。ブルーマウンテンでブルマン。
「へえー。なんていうか、珍しいな」
転校生なんて学期の始めが普通だと思うんだが。今は六月だ。なかなか珍しい時期だと思う。
「それでよぉ……」
すると星都は両腕を曲げ顔を近づけてきた。
「んだよ、近いぞ」
「これは佐々木が言ってたんだけどよ、その子、めっちゃくちゃかわいいらしいぜ?」
星都はまるでアイドルに会えるかのように興奮している。
「かわいい、ってことは女の子か」
そう言うとバシっと背中を叩かれた。
「あったりまえだろ、かわいい男に興味なんてないんだよ。てか男だったらわざわざ話しかけねえよ」
「お前なあ」
なんとなく、その転校生が男でなくてよかった。もしそうならその子が不憫だ。
「どうする? 今からようこそって垂れ幕でも作っとくか?」
「お前のその行動力はどこから来るんだ……」
なんだよそれ、どこのテーマパークだよ。
「なあ聖治、どうする?」
「なにが?」
呆れた顔で聞き返す。
「んだよ、ぶりっ子ぶるなよ。いったいどんな子なんだろうな?」
「そうだなー」
んー、珍しい時期に来る噂の美少女転校生か。言われてみれば気になる、かな?
そうこうしているうちに予鈴がなりホームルームの時間にある。転校生の話題で盛り上がっていたみんなが一斉に自分の席に向かっていく。
みんなが席に着くのと同じくらいのタイミングで扉が開かれた。
「みんなー、席に着けー」
男性教師であるブルマンが入るなり大声でみんなに呼びかける。
「えー、今日はみんなに新しいクラスメイトの紹介があるぞ」
噂はほんとうだったのか。みんなも口をそろえておーと言っている。
「それじゃあ入ってきて」
ブルマンの声に合わせ扉が開く。みんなの視線が集中する。俺もどんな子かそれとなく見てしまう。
「失礼します」
女の子の声が聞こえる。落ち着いた声と共に入室する。
ついに噂の転校生の全容(ぜんよう)が明かされた。
なるほど。可愛い。彼女を見て内心で声を上げてしまう。
さらさらとした色素の薄い桃色の髪、柔らかでやや明るい髪が歩調に合わせ揺れている。体つきはスレンダーで背筋よく歩く姿はそれだけでモデルのようだ。
彼女が教壇の前に立つ。正面がこちらに向く。その瞳は愛くるしい形をしておりうっすらと浮かべた笑みは本当に可愛い。
確かに。噂に違わぬ美少女だ。
俺だけでなく男子のほぼ全員が彼女に瞳を奪われている。
ブルマンが黒板に彼女の名前を書き込んでいく。そこには沙城香織(さじょうかおり)と書かれていた。
「それじゃあ沙城さん、みんなに自己紹介してくれるかな」
「はい」
先生に促され彼女、沙城香織さんが今一度背筋を正す。
「沙城香織です。今日からここの生徒となります。よろしくお願いします」
明るく、ハキハキとした声が教室に広がった。
そう言うと彼女は小さくお辞儀をする。それでみんなからも拍手を送り彼女はほっとしたように顔を上げる。これから一緒に過ごすことになるみんなを見渡している。
そこで、俺と目が合った。
「!?」
彼女の表情が驚いたように歪む。
え?
「なあ聞いたかよ」
「お前が寂しいと死んじゃう豆腐メンタルってことか?」
「ゲエー。ちげえよ、転校生だよ転校生」
「転校生?」
星都はやられたような顔をしてからすぐに俺に向き直った。
そんなのはいつものやりとりなのでいいんだが、転校生か。教室に入った時からなにやら騒がしいと思っていたがみんなそれを話していたんだな。
「なんでも今日来るらしいぜ。佐々木が職員室でブルマンと話してるのを見たんだってさ」
ブルマンというのは担任教師の青山先生のことだ。ブルーマウンテンでブルマン。
「へえー。なんていうか、珍しいな」
転校生なんて学期の始めが普通だと思うんだが。今は六月だ。なかなか珍しい時期だと思う。
「それでよぉ……」
すると星都は両腕を曲げ顔を近づけてきた。
「んだよ、近いぞ」
「これは佐々木が言ってたんだけどよ、その子、めっちゃくちゃかわいいらしいぜ?」
星都はまるでアイドルに会えるかのように興奮している。
「かわいい、ってことは女の子か」
そう言うとバシっと背中を叩かれた。
「あったりまえだろ、かわいい男に興味なんてないんだよ。てか男だったらわざわざ話しかけねえよ」
「お前なあ」
なんとなく、その転校生が男でなくてよかった。もしそうならその子が不憫だ。
「どうする? 今からようこそって垂れ幕でも作っとくか?」
「お前のその行動力はどこから来るんだ……」
なんだよそれ、どこのテーマパークだよ。
「なあ聖治、どうする?」
「なにが?」
呆れた顔で聞き返す。
「んだよ、ぶりっ子ぶるなよ。いったいどんな子なんだろうな?」
「そうだなー」
んー、珍しい時期に来る噂の美少女転校生か。言われてみれば気になる、かな?
そうこうしているうちに予鈴がなりホームルームの時間にある。転校生の話題で盛り上がっていたみんなが一斉に自分の席に向かっていく。
みんなが席に着くのと同じくらいのタイミングで扉が開かれた。
「みんなー、席に着けー」
男性教師であるブルマンが入るなり大声でみんなに呼びかける。
「えー、今日はみんなに新しいクラスメイトの紹介があるぞ」
噂はほんとうだったのか。みんなも口をそろえておーと言っている。
「それじゃあ入ってきて」
ブルマンの声に合わせ扉が開く。みんなの視線が集中する。俺もどんな子かそれとなく見てしまう。
「失礼します」
女の子の声が聞こえる。落ち着いた声と共に入室する。
ついに噂の転校生の全容(ぜんよう)が明かされた。
なるほど。可愛い。彼女を見て内心で声を上げてしまう。
さらさらとした色素の薄い桃色の髪、柔らかでやや明るい髪が歩調に合わせ揺れている。体つきはスレンダーで背筋よく歩く姿はそれだけでモデルのようだ。
彼女が教壇の前に立つ。正面がこちらに向く。その瞳は愛くるしい形をしておりうっすらと浮かべた笑みは本当に可愛い。
確かに。噂に違わぬ美少女だ。
俺だけでなく男子のほぼ全員が彼女に瞳を奪われている。
ブルマンが黒板に彼女の名前を書き込んでいく。そこには沙城香織(さじょうかおり)と書かれていた。
「それじゃあ沙城さん、みんなに自己紹介してくれるかな」
「はい」
先生に促され彼女、沙城香織さんが今一度背筋を正す。
「沙城香織です。今日からここの生徒となります。よろしくお願いします」
明るく、ハキハキとした声が教室に広がった。
そう言うと彼女は小さくお辞儀をする。それでみんなからも拍手を送り彼女はほっとしたように顔を上げる。これから一緒に過ごすことになるみんなを見渡している。
そこで、俺と目が合った。
「!?」
彼女の表情が驚いたように歪む。
え?
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