VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい
67.龍二くんのダンジョン攻略
「うわぁ! おおきいねぇ!」
そう言ったのは、言うまでもないけどリュウジくんだ。
「400階層まであるからね」
「400!? そんなにあるんだ! すごい、すごい!」
数の多さでこんなにテンション上がるのか……。と思うくらい大(おお)はしゃぎのリュウジくん。
ダンジョン内に入ると、更にリュウジくんのテンションが上がった。
「リュウにいちゃん、あれスライムだよね? スライム!」
そう言って触りに行こうとするリュウジくんを引き留める。
「なにするの、リュウにいちゃん! ぼくはスライムをさわるんだ!」
「スライムなら現実でも作れるから我慢して。こっちはモンスターだから」
「うごくスライムにさわりたいの! あんなべちゃべちゃしててにつくのはさわりたくないの!」
まぁ、確かにこっちのスライムの方がプルルンとしてて触り概がありそうだけども。
「でもね、こっちのスライムはモンスターだから攻撃してくるんだよ? 攻撃してきたらどうするの?」
「それでもさわる!」
な、なんという固い意志だ……!
まさに肉を切らせて骨を断つのような行為だ。
骨を断たずに肉が切られっぱなしだけど……。
仕方ないので、触らせてあげることにした。
ダメージを受けたらブランに回復してもらえばいいしね。
というわけで、ブランにリュウジくんに付いていってダメージを受けたら回復してもらうようにお願いすると、快く引き受けてくれた。
リュウジくんがスライムに近づいて触ろうとすると、スライムが氷のつぶてをリュウジくんに向けて放った。
距離が近か過ぎたためにこれはさすがに直撃した。しかも、顔面に。
しかし、それにもめげず、リュウジくんはスライムに触った。
「うわぁ! すごい! プルルンってしてる! プルルンって!」
そんな、触(さわ)れて大喜びのリュウジくんを邪魔しないように背後から触れて回復させるブラン。さすがです。
その後「ちゃんとできたぞ」的な目で僕の方を見るので、返事として笑顔で親指を立ててグッドサインを送った。
そしてなぜかスライムが、攻撃もされずに触れられたからなのかリュウジくんに懐いてしまった。
しかも、リュウジくん、何を思ったのか【テイム】を使ってスライムをテイムしようとした。
さすがにダンジョン内のモンスターでそういうクエストでもないのにテイムできるかと思っていたら、リュウジくんが「あ、テイムできた!」と言った。
これ、ハヤトが聞いたらなんて言うんだろう……。
システム上問題ないのか、それともシステムに反してるのか、どちらにしろリュウジくんが逸脱してるのは確かだと思う。
僕も似たようなものだけど。
「ねぇ、リュウにいちゃん! みてみて、スライムがなかまになったよ!」
「よかったね。名前はどうするの?」
「う~んとねぇ、プルルン!」
「えっ、本当にそれにするの?」
「うん!」
確かにプルルンってしてるけど、名前にするとは思わなかった。
でもまあ、呼びやすいし、リュウジくんが良いならいいか。
それからはスライムには物理攻撃が効かないので、プルルンが氷のつぶてで倒していった。
思いっきり共食いというか同族殺しだけど、プルルンは気にせず容赦なく氷のつぶてを放っていった。
氷のつぶてって物理攻撃かと思ってたけど、魔法攻撃だったんだ。
そんなことを思いながらリュウジくん達の後を付いていき迷路を進んでいくと、少し迷いつつも無事二階層に続く階段に着いた。
二階層では、ゴブリン達が軍団で襲ってきた。
普通に棍棒を持ったゴブリン約20と魔法の杖を持ったマジシャンゴブリン約5、そして集団の後ろでなにやら喚いているキングゴブリン1が居る。
これに対してリュウジくんは、頭に乗せているプルルンに氷のつぶてを撃たせつつ、ドラにステータスの底上げをしてもらいながら集団に突っ込んでいった。
一応、万が一プルルンがマジシャンゴブリンの攻撃に殺られないために、シアンを護衛に付けてあげている。
仲間にしてすぐお別れなんてそんな理不尽な目にリュウジくんを逢わせるわけにはいかないからだ。
ちなみにブランは、僕と一緒に後ろで待機中だ。
そして、リュウジくん達VSゴブリン集団の勝負は僕の心配をいい意味で裏切って、リュウジくん達の圧勝で幕を閉じた。
「やったよ、リュウにいちゃん! 勝ったよ!」
「うん、凄かったよ」
リュウジくんが特に凄かった。
ゴブリンを次々に倒していく姿は、さながら戦地で敵を蹂躙する戦車のようだった。
そう見えたのも、頭の上のプルルンが氷のつぶてという名の砲弾を撃ち続けていたからだけど。
その後もそんな感じでゴブリン集団を相手にしながら迷路を進み、ようやく三階層に続く階段に着いた。
そして三階層、四階層と攻略していき、やっとのことで十階層のボスエリアに到着した。
確かこの階層のボスは、腕が6本ある骸骨剣士だったな。
その事をリュウジくんに伝えると、目をキラキラさせながらこう言った。
「リュウにいちゃんがひとりでたたかったなら、ぼくもひとりでたたかう!」
そう言って僕にドラとプルルンを預け、十階層に入り骸骨剣士と対峙した。
大丈夫かな……。って思うと大体大丈夫だったけど、こればかりはそう思わずには居られない。
相手はこっちと違って片手剣な上にそれを6本振るってくるため、リーチも技の数も違う。
そんな相手に5歳児が一人で挑むんだから、心配になるに決まっている。自分の従弟だし。
不安になりながら見守っていると、骸骨剣士が6本の腕を使った連続攻撃を仕掛けた。
どうするのかと思っていると、リュウジくんはその連続攻撃を当たらない最低限の動きで避け始めた。
あ、これ、心配する必要無いな。
余裕をもって避けてるし、いつでも反撃できるように刀を構えてるんだから。
それからしばらくその状態が続いた。
決着が着いたのは、骸骨剣士が攻撃を止めて一旦下がった瞬間だった。
下がった瞬間を見逃さなかったリュウジくんが間合いを詰めて今度はリュウジくんが連続攻撃を当て続け、骸骨剣士を倒した。
それと同時にクエストクリアとなり、スキルポイント100が付与された。
リュウジくん、絶対僕ぐらいの歳になったら超人化してそうだなとこの時思った。
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