吸血鬼と同居人

黒羽 響

5話:吸血鬼ノ王vs.怠惰ノ魔神 ①

先に動いたのはゲルミュスだった。
「粉々にしてやる!≪黒魂死塵 ダゾールデイ≫」
ゲルミュスの両手に現れた黒い球は勢いよくユリアに投げつけるが、ユリアは余裕な顔でそれを避ける。
「なるほど。怠惰、お前の魔法属性は陰だな。」
「けっ!それを知ったところでお前が有利になることはねぇだろぉ!」
ゲルミュスは余裕な顔で避けられたのに焦りを感じたのか次々に魔法をくり出す。
それを体操選手のように鮮やかに避けていく。
「くっそがぁあ!なんであたんねぇんだよぉ!」
ゲルミュスは攻撃を止めユリアと距離をとる。
「なんだ?もう終わりなのか?つまらないな。」
「言ってろぉ、クソ吸血鬼。」
「む?、クソ吸血鬼だと?少し腹が立ったぞ。」
「黙れ!クソ吸血鬼!≪黒魂死塵ダゾールデイ≫!…あ?」
「その攻撃は飽きた。」
先程まで出ていたはずの魔法がでなくなり困惑するゲルミュス。 
「クソ吸血鬼!何しやがったぁ!?」
「だからその攻撃は飽きたから奪った。」
「はぁ!?そんなこと出来るはずが…まさか!?お前の固有能力は!」
「そう、私の固有能力は『魔法略奪マジックプランダーラ』、簡単に説明すると相手の魔法を奪うと言うものだ。」
ユリアは困惑するゲルミュスを見て楽しそうに答える。
「クソかぁ!!チッ!こうなったらこちらも固有能力を使わせてもらう!」
「ん?魔物は固有能力は使えないはずだが?」
「へっ!見てろ!『死操怠形デス・アディドール』!」
すると地面から無数の人間のような形をした真っ黒な塊が出てきた。
「いけぇ!お前らぁ!あのクソ吸血鬼を殺せぇ!」
その命令とともに真っ黒な塊達がユリアにとてつもない速さで距離を詰める。
「数が多い…ならば!≪セイヴァーサイクロン≫!」
竜巻が現れそれが真っ黒な塊を飲みこみ空を舞う、だが、
「ユリアさん!後ろ!」
竜巻に飲み込まれたはずの真っ黒な塊がユリアの後ろに立っていた。
「んな!?」
「ふっ!はははは!!殺れぇ!」
真っ黒な塊の腕が刀のような形に変わりユリアに振り下ろす。
キィン!という金属がぶつかり合った音が廊下に響く。
「あ?なんだぁ?」
ユリアが切られそうになったところには小さな結界があった。
「ユリアさん!大丈夫ですか!?」
「あぁ、ハルカ…助かった。私は少し油断していたよ。」
「畜生が!後少しだったのによぉ!」
真っ黒な塊がユリアとハルカの近くから離れゲルミュスのもとに戻る。
「今からは手加減なしで行くぞ、怠惰ノ魔神。」
「今ので手加減ねぇ。こりゃ無傷では済まなねぇなぁ。なら!さらに『死操怠形デス・アディドール』を召喚する。」
真っ黒な塊がさっきのは3倍以上に増える。
「第二ラウンドスタートだぁ!」
ここで少し解説、≪≫は魔法名で『』は固有能力名です。


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