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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

挑み続ける理由

前書き

実質番外です。
でも一応メインにしておきます。

by にぃずな



アスタside

俺の名前はアスタ=バルン。魔術に長けたバルン家の次男だ。
そんな俺の最近の悩みは、あの帝国騎士団の副団長の娘、ミフユ=シャルティアだ。
あいつに挑んで、はや十数回になる。
しかし、未だに勝利を納めたことはない。
負ける度に戦術を練り直したり、鍛え直してはいるものの、先を読んでいるのだろうか、避けられる。防がれる。

「くそっ、何故だ、何故勝てぬのだっ!」

拳を握り締め、壁に八つ当たりをする、その姿は見ずともわかる。惨めで、情けないことこの上無い。イキり散らかしていた自分が、心底恥ずかしい。
何が違う、魔力量か、技量か、経験か、はたまた全てか。
もし本当にそうであったとしても、そうですかと簡単に認められる程、俺は真っ直ぐではない。

(誇り高きバルン家の次男が、こんなでは……)

恥だと言われ、弾かれてしまう。
兄のドロウトのように、力が強い訳でも、剣の才がある訳でもない。
弟のディースのように、魔力量が多いはずも、魔法の才がある訳でもない。
そう、俺は平均より少し上の、普通で、バルン家からするところの出来損ないだ。
何かに長けていることもなく、ただ威張っているだけと言われてしまえば、苦し紛れ否定が限界だ。
本当は、気付いている。ミフユの方が格上なのだと。だが、俺は認めれない。認めたくないのだ。


「くそッ、俺は、俺はァ……!!」


周囲は、俺を慰め、上部だけの感情で褒める。それが、どれ程悔しいことか。無様か。
こんなことなら。


「幼き頃の、夢を見れていた時の方が……」


優れていたんじゃないだろうか。
眩しい程の、希望を懐いていたのではないだろうか。

__________正しい努力を、出来たのではないか。





昔、幼い頃に読んだ話だ。
祭壇を創り、そこに居る筈もない神話の者に祈りを捧げていたら、そこに本当の神霊が宿った、と言う、今となって考えてみれば馬鹿げた話だ。
小さい頃の俺は、それを真実だと信じきって、森の最奥の祠に祭壇を建て、ずっと祈っていた。

『炎竜神イフリーデン様、どうか僕の目の前に現れてください』とな。

今も昔も【四戦神】の者の中で一番好んでいる竜人型の神だ。神話も片っ端から読み漁った程だ。
理由は、強いから、格好良いからと言う幼稚なものから、志や優しさなどと、少しましになったものだ。
【五創神】の日創神と兄弟関係にあるのは有名な話だ。

話したところで意味など無い。今更信じれる年齢でもない、が。

少し読み直して、参考にしてみようか、などと言う阿呆な考えが浮かんでしまったものでな。
読み直す必要など、無い程両方とも読み込んであると言うのに。
此処のところは間違っているんじゃないか、などと考えてしまったからだ。


『幾度も戦い、自ら磨き上げ、好敵手を見つけよ。其奴はきっと、己の限界を壊す皹となろう』


まるで、今の自分に向けられた言葉かのようだ。
ミフユからしたら、好敵手と呼ばれる程の域まで至っていないのは承知の上で、俺は挑み続ける。戦いの中で己を鍛え、終わったら改善策を練り上げ、また挑む。そしていつか。
途方のない武の果てに至ってみせる。見返してやる。


「いつか、貴様を超えてみせるさ、ミフユ=シャルティアァ!!」


__________圧倒的な強者として、バルン家に君臨するために、ミフユに一泡吹かせるために。

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