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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

九死に一生を得る

「ミフユっ……、ミフユぅ……っ!!」
必死に名前を呼びながら、回復魔法をかける。
再生の禁忌タブーリザレクション》は、一日に一回でしか使えない、しかもすでにルチットに使ってしまった。
一瞬でも使わなければ良かった、なんて思ってしまう自分が嫌になる。
魔力を流し込みながら回復させることで、回復速度をあげることは出来るものの。
(あまりにも傷が深すぎる……)
その上何ヵ所もあるという、絶体絶命の状況で。
それに、命を削って、謎の魔法アレを使ってたのだ、死にかけていること自体が当たり前とも言える。
(嫌、嫌だ)
これ以上は、私の心が持たなくなる。
失いたくない、そんな結末は、認めない。
脂汗が頬を伝い、呼吸が荒くなる。
心臓が、痛いぐらいに鼓動する。
「………ミフユ…っ、お姉ちゃん、頑張るからさ……、ミフユも、頑張って……っ」
息をする度痛む喉で、どうにか捻り出した言葉を吐く。
祈りに祈って、使えるものは、全て使って。
何分、いや、何時間経ったのか、今の私にはわからない。
テルトも、気絶からは覚めてないようだ。


自分の命を絞り出すようなイメージで、魔力を流し、治癒し続けた。


『主よ、そろそろ体が持たなくなるぞ!!』
クロトが、そう言って止めさせようとしてくる。
それでも、止めるわけにはいかない、止めたくない。
視界は色褪せて歪んで、冷や汗も止まらない、吐き気、頭痛もする、手足の感覚も鈍い。
自分の膨大な魔力も、後少しで尽きる。
だけど、諦めない、絶対に。
たとえ、自分の命を使い果たしたとしても、救ってみせ_________。


「おね…………ちゃ……」


「ミフユ…ッ!!!」
ぼんやりとして、霧がかって、念仏のように同じ言葉を浮かべ続けていた脳内が、ミフユの消え入りそうな声で、一瞬で晴れる。
感覚の鈍い手でミフユの手を握る。
「お姉ちゃん、無茶、させてごめん、ね……」
ミフユはそう言って弱々しく握り返してくる。
私は、そんなミフユを抱きしめる。
「お姉ちゃん、あったかい……」
譫言のようにそう呟いては、眼を閉じて体をくっ付けてくる。
私も、抱き締めて返す。
ミフユの制服越しの微かな温もりにすがるように。



_______暫くの沈黙の後。
「………帰ろっか、ね。ミフユ、テルト」
「………うん」
テルトは、まだ覚めない。
「クロト、テルトをお願いしても良い?」
『あぁ、任せてくれ』
クロトは器用にテルトを背にのせて、私の隣に来る。
私も、ミフユを抱き上げて歩きだす。
______脳裏に浮かぶ、フラッシュバックに、顔を歪めながら。

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