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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

歪んだ思考

「ほらぁ、もっと苦しそうな顔を見せてちょうだい!!」
「見せるわけ……無いだろ…っ!」
「力ずくで、その可愛らしい顔を歪めてあげるわ!!!」
私はスピカの横を並走しながら剣を振るう。
甲高い金属音と激しく散る火花。
(攻撃、当たってる筈なのに……)
私は歯ぎしりしながら脂汗を浮かべて悪態をつく。
(どうしてこんなにも、動きが、鈍くならない……っ)
耐久戦は得意なため剣を振るう腕が限界というわけではない。
しかし、問題はスピカの方である。
足に剣を刺したり、頬を掠めたり、肘も少し斬ったりしていて、なんなら脇腹を深く抉っているのに。
どうして、だろう。
「あっはぁ!!もっと、来なさいよぉ!!」
まだまだ余裕と言わんばかりに、短剣を軽々振り回し、嬉々として迫ってくる。
こっちは、大変なのに。
テルトが危険かもしれないのに。
早々に片付けて、助けなきゃなのに。
「あああぁぁぁッ!!!」
半ば力任せの剣になってしまって、私に隙が生まれてしまって。
その隙を、逃してくれるわけもなくて。
「そこよっ!」
「づあ……っ!」
惨めに転がって、脇腹に血が広がる。
すでに少しボロボロになってて、こんなの。
弱い、弱すぎる。
もっと、もっと、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと………!!。
頑張らなきゃ、なのに。
「はぁっ、はぁっ」
「もう限界かしら?」
「そんなわけ、ない……っ」
魔力は有り余ってる、力を使えば倒せる、それも確実に。
だけど、手の内を明かして、それで、逃がしたら。
(いや、でも、迷ってる暇なんてない)
全力で、絶対に、確実に。
ここで。



「……………仕留めるっ!!開眼…《戦神ノ炎眼》……っ!!」




左眼から蒼炎が吹き上がる。
魔力が満ちて、身体中を駆け巡る。
白銀剣ラルグレルフにも蒼炎が纏わりつく。
スピカは上気した顔で、ニタァっと口の端をつり上げて、嬉しそうに顔を歪ませる。
「良いわねぇ!!そうこなくっちゃぁ!!」
「全火力集中砲火!!《破壊砲火バーストブラスター》!!」
紅も橙も翠も全て蒼になって、スピカに襲い掛かる。
それを華麗なステップ避けて迫ってくる。
それを回し蹴りでノックバックさせ、さらに追い討ちをかける。
「《最聖ノ剣セイントブレイド》!」
《フレアスパーダ》
《ハウリングソード》
《ダークスパーダ》
《ワイルドレンジ》
《ブレード》
殴り殺せ《アーム》
何度も何度斬って斬って斬って斬って、殴って殴って殴って、スピカの鮮血を撒き散らして。
殺そうと、何度も何度も。
でも、終わらない。
スピカは止まらなくて、私はとうとう。
「っあ………はぁっ、げほっ、がはっ」
力尽きかけて、本領を全くと言って良いほど、発揮できなかった。
《戦神ノ炎眼》の代償は寿命。
それを完全に無駄撃ちした。
バカだった、もっとタイミングがあった筈なのに。
確実に、仕留められると思ったのに。
慢心した?油断した?何がダメだった?
私はきっと焦っていた。
あの幻想に、思考を歪まされた。
失うのが怖くて、嫌で、仕方がなくて。
その結果が、こんなにも無様で。

(変わってない、私は、なんにも)

こんなんじゃ、いつかの二の舞、三の舞。
剣が手から滑り落ちる。
両膝をついて、悔し涙を流して、嗚咽を漏らす。
私は、弱かった。
何よりも、誰よりも。
転生がなんだっていうんだ、こんなの。
_______ただの無能に等しいじゃないか。

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