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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

エインケイド

「らああぁぁぁっ!!」
大剣を振り下ろす。
それだけの単純なモーションだけで、凄まじい衝撃波が起こり、多量の砂塵が舞う。
頬をつり上げ、手招きする。
「もっと来いよ!」
「ははっ、言われなくても行くさっ!!」
お互いに軽口を叩く。
それは、裏を返せば、そうしながらでも戦えるほど、両者には余裕があるということだ。
両者の剣は徐々に加速していく。
大剣からなるとは思えないほどの甲高い金属音がなる。
当たれば即死、その言葉を見事に表現した戦闘殺し合い
「行けっ!グラン!《アースジャベリン》!」
指パッチンをして、精霊を呼び起こす。
その号令の後、地面に亀裂が入り、岩槍が無数に突き出される。
「獣人が精霊術をを使うとは、中々じゃないか!」
面白いと言わんばかりに、アレクは大口を開けて笑っている。
そして、大剣を横に薙ぎ、岩槍を砕いている。
(まぁ、使えるとは言っても、土と火だけだけどな)
きっとミフユなら精霊無しでもこれを上回る魔法を瞬時にだせるだろう。
それに、主やシュナは、違う世界の魔法を使える。
私には、まだまだ二人の背中が遠くに見える。
こんなところで満足何てしてない。
していられない。
だからこそ。
「お前は、私が主達を追いかける為の踏み台になってもらうぞ!!」
「踏み台扱いか、ならばその足を斬り落とし、追いかけられないようにしてやろう!!」
先程の打ち合いを遥かに凌駕する、凄まじい速度になる。
一振り一振りが床や壁を砕く、必殺の斬撃。
「おおぉッ!!!」
「はッ!」
「グラン……《ロックブラスト》!!」
巨大な岩石を相手へ飛ばす。
片手で半場力任せに薙ぐ。
全て弾かれ、反撃がくる。
正面から弾き、強く踏み込みノックバックさせる。
(暗殺者だろうが、戦闘狂だろうが、関係ない)
相手は一撃一撃、確実に仕留めようと振るってくる。
大して私は。
(少し押されてる……)
剣筋に少しのブレが生じ始めている。
当てようとしているのに当たらない。
要するに、私は今。
(………焦っている)
片隅で考えていたとき。
アレクの大剣が下から斬り上げるように振るわれる。
大剣を思いっきりパリィされる。
「っ!?」
「考え事をする余裕はあるのかな?」
大剣を無理矢理戻そうとしたが、もう遅い。
(それなら……っ)
瞬時の判断で後方へ跳ぶ。
アレクの横薙ぎが腹部に直撃する。
「が、あ……っ!」
地面に背中から倒れ、地を転がる。
鮮血が吹き出る。
臓器が傷から滑り出る。
「は、ぁっ、はっ、ぐぅ…っ」
(息が……)
血が勢いよく抜けていき、手足が痙攣し始める。
頭痛に吐き気、寒気もする。
「少し下がっていなかったら、分断されていたな?」
「っう…」
(ヤバい、意識が……)
視界がぼやけたり、二重になったりする。
剣をまともに握れない。
「まだ、だ………グラン、《アースソード》っ」
砕けた岩片が集まり、10本の剣となる。
それを、相手の四肢目掛けて発射する。
「弾道がぶれぶれだなぁ?」
軽いステップで避けられ、拳を叩き込まれる。
「が…っ」
血と胃液が混じった唾液を吐き出す。
「げほっ、っあ」
「終わりだ、テルト=グレルウフ」
無慈悲に剣が振り下ろされる。
(まだ、死ねない……)
まだ、横に立つことすら出来ていないのに。
追い付けてすらいないのに。
(殺されるのなら、主がいい……こんな奴に……)
______殺されてたまるか。
自分の終わりは、主に決めてもらう。
そうしたいのなら。
そうするためには。
(叶える……為に…は)
邪魔する奴は、誰彼構わず。
(…………絶対に……)


「…………………殺すっ!!!」


思考回路が切れる音。
頭が、真っ白になる。

思考停止スタン=ブレイン

《モード=バーサーク》

脳が麻痺し、本能だけが体を動かす。
目から意思の光が消える。
横に避け、転がる。
血が床に曲線を描く。
ふらふらとおぼつかない足取りで立ち上がる。
喉をならし、獣のように前屈みになる。
(殺す……殺す…殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺スこロスコロス……ッ!!)
「殺して、やる……っ!」
体から血が滴る。
それほどに血が抜けている。
そんなこと、どうだって良い。
「ほう、まだ足掻くか」
「あ″あ″あ″ああぁぁぁぁっ!!」
獣のように吠え、内臓を自ら引きちぎり、大剣を振るう。
その一撃が、アレクの持つ大剣を折る。
「なに………っ」
「があ″あ″あ″あ″あぁぁぁぁぁぁぁあ″あっ!!!」
少し苦しそうにも聞こえる声で吠える。
振るわれた剣は、先程とは明らかに違う。
揺るぎない剣筋に、目では捉えられないほどの速度。
吸い込まれるようにアレクの心臓を狙う。
まるで、剣自身が意思を持ったのかのように。
「まず……っ」
アレクの大剣は刀身は全て粉々に砕け散っている。
魔法を撃っても、発動する前に、剣は心臓へ到達する。
もう、策はない。
「…………完敗だ」
そして、心臓へ突き刺さる。
心臓は真っ二つになり、鮮血が吹き出る。
「かは……っ」
「……これ、で、終わりだ」
理性は戻っている。
痛覚も寒気も一緒にだが。
しかし、手はしっかりと剣を握っている。
「狼の……娘……」
「なんだ」
「見事だっ、た」
心臓から剣が抜け、アレクは力なく倒れる。
そして、彼女は亡骸となった。

「お前に、誉められ、ても、嬉しくねぇ、な」
そう呟く。
そして、背面に倒れそうになる。
戦いが終わったからだろうか。
急激に意識が遠退く。
それを、腹部と脚部に力をいれることで阻止する。
「ぐっ、ぅ……」
血が出るが、仕方あるまい。
「あ、るじの、所まで、戻、らなきゃ」
大剣を引きずり、廊下を進む。
その時だった。
(殺気……っ)
振り向いたときには。
寸前にまで剣が命を取らんと迫っていた。
(……っ)



「アレクの仇よ」



(ごめん……主…)
_____そう思い、目を閉じた。

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