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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

獣の刃

テルトside
「うりゃあ!」
「やはり、獣人というのは野蛮だな」
「勝手に言っていやがれ!私は、お前何かに負けないからな!」
「吠えたな、野蛮な狼の娘!」
大剣を振り回し、鳴り響くは唸るような重たい風切り音。
地や壁を大きく削り、当たれば即死と言わんばかりである。
対して、相手もテルトのよりかは少し小さいぐらいの大剣を、まるで包丁を扱うかのように、軽々振り回している。
しかし、衝突音は、まるで鈍器同士で打ち合っているようで、衝突する度に地を揺るがす。
「らああぁぁっ!!」
「ふっ!!」
テルトは、雄叫びのような気合い。
相手は、短くも鋭い気合い。
両剣がぶつかり合って、拮抗し、同タイミングで後退する。
(ちっ、こいつ……!!)
「やるな!!狼の娘よ!」
「はっ、そっちこそ、結構やるな。だけど、まだ私は本気なんざ出してねぇよ?」
「ふん、それは私もさっ!!」
両剣の速度は先ほどの二倍三倍にも加速し、うるさいほどに唸る。
そんな中、相手は舌で舐めずりして、こう名乗った。
「私は、アレク=ペル=リネット。暗殺者の家系の者にして、戦闘狂バトルジャンキーさ」


数十分前の事。
おおよそ、シュナがルチットと剣を交えている頃である。
テルトは一人でとぼとぼと廊下を歩いている。
「あぁ~あ、ここ最近主と絡めてないなぁ……」
尻尾と獣耳をペタンとさせ、寂しそうに呟く。
(まぁ、ずっと一緒っていうのも、堅苦しいか……)
そう思ってはいるものの、やはり少し寂しさを覚える。
「誰か、戦ってくんないかなぁ……」
独り言を呟く。
狼族の村では、強い者が頂点という秩序が根付いている。
それゆえ、娯楽というのがイコールで戦闘なのだ。
(……………主…)
構ってくれないのは寂しいが、こっちは今は従者だ。
馴れ馴れしくし過ぎるのも、礼儀知らずだろう。
「う~ん…………暇………」
そんなことを呟いた。
その瞬間。
(背後からの殺気、それと、風切り音)
獣人の耳は人の何十倍も優れており、瞬間的な音ですらも聞き逃さない。
また、危機感知能力にも優れており、冒険者パーティーでは要になることが多い。
それ故に、人の職を奪うと嫌悪されているのだが。
大剣の柄を掴み、殺気の放たれた背後へ振り抜く。
「誰だっ!!」
「おぉ、危ない」
重く鋭い衝突音が廊下に響く。
そして、拮抗状態にはいる。
「あんたか、私に向かって殺気を放ってたのは」
「そうだな、私はお前を殺せと言われた」
「そうか、ならこっちも容赦はしないっ!」
横に薙ぎ、拮抗状態を強制的に終わらせる。
「こっちから行くぞ!!」
「あぁ、かかってこい」
両者共に大剣を構え、同時に踏み込む。
地を砕き、砂塵が舞う。
「うりゃあ!」
吠えながら、最初から全力で振り下ろす。
「やはり、獣人というのは野蛮だな」
相手は軽いモーションで剣を受け流し、後退している。
「勝手に言っていやがれ!私は、お前何かに負けないからな!」
強がりでも何でもなく、ただ倒すという勝利宣言。
相手は口角をつり上げる。
「吠えたな、野蛮な狼の娘!」
「らああぁぁっ!!」
「ふっ!!」
ぶつかった剣は、ゴングのような音を鳴らす。
(ちっ、こいつ……!!)
腕の痺れは一切ないが、拮抗には入れられない。
素早くそう判断し、距離をとる。
「やるな!!狼の娘よ!」
「はっ、そっちこそ、結構やるな。だけど、まだ私は本気なんざ出してねぇよ?」
「ふん、それは私もさっ!!」
重たいはずの剣は速度を増し、何度も衝突したのち、拮抗する。
相手が顔を眼前にまで近づけてくる。
そして、囁くような気味の悪い声色で名乗った。
「私は、アレク=ペル=リネット。暗殺者の家系の者にして、戦闘狂バトルジャンキーさ」

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