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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

血濡れの剣と神聖なる剣

シュナside
学園の屋上にて。
(急に、どうして?)
「酷いね、君。私、何もしてないんだけど?」
自分の頬からは、血が滴っている。
「あははっ、別に良いじゃないかぁ、だって、君からは…」
栗色の髪の少女は不気味に微笑む。
「______強者の香りがするんだぁ……♪」


遡ること、数十分程前のこと。
屋上にまできて、話したいことがある。
「クロト、出ておいで」
黒い霧が周囲から発生し、それは徐々に虎の形へと変化する。
『どうした?主』
黒虎の従魔、自分が旅をしていたの相棒でもある。
「…………早速だけど、勇者のことについてだよ」
『あぁ、それのことか。神聖の勇者がどうして悪魔と契約できたか、っていう話か?』
「察しが早くて助かるよ、流石クロト」
『主と一緒にいれば、その内自然とわかるようになったさ。さて……普通なら、あり得ない話だが、一般的な理屈を超えるのは簡単だ。悪魔が強かったのか、神様が弱かったのか。それだけの話だからな』
「一般人からしたら、勝手に上下関係が決まってるからね。神が上で、悪魔が下」
『あぁ、そうだ』
しかし、それは人々の希望的な考えでしかなくて。
「普通に考えれば、わかる話なんだけどね」
『この国の民は、神への信仰心と、神が絶対であるという固定概念が根付いている。それを剥がしてしまえば、地盤には何もなくなってしまうからな』
この国は、《神》という存在があるから揺らいでいない。
逆に、それをとってしまえばすぐに崩壊するだろう。
残るものは、圧倒的な反信仰心と、自己の意志が強いもの。
簡単に言えば、神にすがらなくとも、生きていける者のみ。
「地盤がゆるゆる何だよねぇ…ホント」
つついてしまえばすぐに傾くし、叩けばすぐに壊れる。
その程度の国ということでもあるが。
むしろ、今までその固定概念を疑う者がいなかったのかの不思議だが。
まぁ、疑う者がいたとしても、どうせ、隠蔽でもされているのだろう。
「可笑しな話……」
『そうでなきゃ、国を安泰に出来なかったのだろう。つくづく王がダメダメだとわかるな』
もっと探れば、山ほど粗が出てくる。
「偽りと、真実の信仰心で固められた国、か……。………ぅっ!?」
突如のフラッシュバック。
点滅する視界に、色が灯る。
懐かしい香りと、鮮明な視界に、ノイズ一つ無い音。
でも、映る彼女の言葉は、なぜか途切れ途切れで。
だけど、何を言っているかは、自然と理解出来て。
『…………は、ここ……ぉ……じゆ……で……へ…わ……にし……いの!』
眩しい、向日葵のような笑顔。
(あぁ、貴女なら……)
こんな、ボロボロな国をもあっさり立て直して、誰よりも深く、民も動物も天も地も愛して______。
「は、は………」
涙が、一筋。
《ストレージ》
白銀の剣を取り出す。
「……………姫、様……」
【神聖剣 サブマリア】
それが、この剣の名前。
姫がつけてくれた、名前。
『主……』
「わ…かってる、わかってる…よ。姫様に、もう戻っても……会えないことだって……いないことだって……っ」
彼女の死を受け入れるために、握った剣。
暗黒騎士の象徴でもあり、死の象徴。
【破剣 ヘルリウル】
この二本は、本来なら並ぶことはない。
何故なら、彼女を失わなければ、こんな呪われた剣を、握ることは無かったのだから。
「あ、ぁああぁ……っ」
涙が次から次へと溢れてくる。
(割りきった、筈なのになぁ……弱いな…自分)
そんなことを考えていた。
その時だった。
「……っ!」
反射で横に跳ぶ。
頬に一線。
「……あっれぇ、避けられちゃったなぁ~。君、結構反射神経良いねぇ」
扉の方から聞こえる、幼いけれど、不気味な声。
「誰?」
「あたしぃ?あたしは、ルチット=ペル=リネットだよぉ~!」
「………ちっ、暗殺者の家系か……!!」
「だぁいせ~か~いっ!!」
投げナイフが飛んでくる。
それは全て剣で弾く。
「酷いね、君。私、何もしてないんだけど?」
殺気を含ませた声色で、話しかける。
そんな台詞とは全く合わない、テンションの高い声。
「あははっ、別に良いじゃないかぁ、だって、君からは……」
歪んだ笑顔で、こう言い放ってきた。




「______強者の香りがするんだぁ……♪」

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