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剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

異変と幻聴

勇者が編入してから、早くも半年が経過した。
「勇者が入ってきて、もう半年かぁ」
特に大きな変化があった訳じゃないが。
この世界にも完全に馴染み、ステータス水準もある程度把握した。
現在、教室のベランダにでて、一人で耽っている状況。
立ったままではあるが、腕枕をしているので少し眠たい。
「眠たい……」
(このまま寝ちゃおうかなぁ…)
そう、思った次の瞬間。
金属の破砕音。
火の粉に、衝撃波。
「何…?」
『主、どうする?』
ラルグレルフが問いかけてくるが。
「まだ、行かないでおかない?もしかしたら、事故かもしれないし」
『まぁ、様子を見て判断し行動するのは大事だ、そうしよう』
(はぁ、眠気どっかいった……)
そんなことを少し思ったが、まぁいい。
『主は、人助け好きなんじゃないのか?』
ふと、ラルグレルフがそう聞いてくるが、素直に返す。
「嫌いじゃないけど、面倒が勝る」
『そうか』
(私は主人公になりたい訳じゃない)
大切な人を守れれば良い、たったそれだけの理由で強さを求めている。
今のことだって、言わせてもらえば他人事だ。
私にとっては、どうでも良いこと。
(魔力探知で、友人か身内かは判明しているし)
パッシブで常に見れる状態なので、即座に判断できる。
それは、置いといて。
どうしてだろう、さっき自分で思ったことが、何故か頭の中で引っ掛かっている。
(主人公、かぁ……)
転生する前の、普通の女子高生だったときは、ラノベの主人公に憧れていたものだ。
将来の夢も年齢にはあまりあわない、警察官という、半場子供じみた夢。
『私は、人を助けることがしたい!だから警察官になるの!』
(そんなことも、言ってたっけなぁ……)
今となっては、アホらしい。
「あはは……」
馬鹿馬鹿しい幻想話。
そう思っているのに、漏れるのは何故か掠れた声。
『諦めちゃうの?』
「っ!?」
私とラルグ以外いない教室で、ノイズのかかった、幼い声が反響する。
勿論、ラルグの声ではない。
『良いの?』
『今なら現実に出来るよ?』
『なりたいんじゃないの?』
『英雄に』
『最強に』
『騎士に』
「…………ぇて…っ」
制止の言葉も、まともに喉から出てこない。
『主?どうし……』
ラルグの声が聞こえたが、それはすぐに掻き消されて。
『救いたくないの?』
『見たくないでしょ?』
『悲しむ顔も』
『泣き顔も』
『怒りの顔も』
『死体も』
『傷痕も』
『血潮も』
(やめて……)
言葉の濁流が永遠と押し寄せ、呑み込まれる。
「………て…」
声がでない。
(やめてよ……)
聞きたくない。
感情のない、無機質な言葉が次々と波となって押し寄せる。
(どうして、怖がっている…の…っ?)
自分でも良くわからない。
(自覚してしまうから?)
否。
(思いに気付いてしまうから?)
否。
(そうだ……)
簡単な話だ。
____________救おうとした人が、目の前で死ぬのが怖いからだ。





「やめてええええぇぇぇぇぇっ!!!」



頑張って押し出したのは、悲鳴の絶叫。
耳を塞ぐ。
息が荒くなる。
(まともに、息が出来な…い………っ)
『主……!』
「ら………るぐ……っ」
救いを求めるように、剣に手が伸びる。
涙が視界を覆う。
足元がおぼつかない。
不意に、剣が光を帯びる。
「らる………ぐ……?」
その光は徐々に人の形になり。




「______主……っ!」

抱き締められた。
正面から包み込むように。
「……ぇ?」
「主、我が……俺がいるから、安心してくれ」
(ラルグ……?)
自分のずっと近くにある、愛剣の魔力。
「大丈夫、大丈夫だから。主は、主のしたいことをすれば良い」
「う、ん………」
さっきの出来事が無かったかのような、静寂。
私は、その静寂と、確かな温もりに身を任せ、意識を手放した。


久しぶりです。
さらっと流れていますが、ラルグ君、擬人化しましたね。
その内、Twitterにでも絵をあげようかと考えております。
※わかっているとは思いますが、ラルグ君は男性です。
ようやくメインで男性が出てきましたね。
恋愛展開は未定です。
もしかしたら、もあるかもです。

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