剣と魔法の輪廻譚

にぃずな

愛剣と戦闘

衝撃的な告白を聞いてから、1年が経過した。
因みに、私の見た目はフワッとした薄柿色をした肩ほどの髮の長さで金緑石のような目の色をしている。
身長は、まぁまぁだね。
「ミ~フ~ユっ!」
「に"ゃ"っ?!」
後ろから勢いよくお姉ちゃんが抱きついてきた。
「な…に?お姉ちゃん?」
「あー…、えっとね~…」
小さめの声で、
「1年前の私の言葉。どう思ってるかなと思って」
やっぱり、そろそろ学校に行くからね。
答えは、もうだしてるし、覚悟もした。
(どう思ってるか…ね…)
正直自分でもよくわからない。
家族としか言えない。でも…。
(…………………。)
「嘘じゃないのは理解してる。多分、私が転生者だって気づいてるでしょ?」
「ミフユが《ブレード》を使った辺りからだけどね」
「でも、私の気持ち事態は変わらないし、これからも変えないよ。お姉ちゃんはお姉ちゃんでしょ?」
「…………。うん、そうだね。私は__」
真剣な顔で。


「ミフユには、敵対しない。自分が何であろうと、姉でい続けるよ」
思いもしなかったし、待っていた言葉だ。
(良かった…)
異常に安堵してしまって、お姉ちゃんに抱きつき返した。
「わっ!ちょ、ミフユ?」
「お姉ちゃん、ありがとう」
「……いいって、ミフユに嫌われなければ良いし、何せ、私はここに生まれた正真正銘のおねーちゃんだからね!」
ニコッと、いつもの調子で笑った。
(暗黒魔術騎士とは思えないなぁ…)
初めて見たときは、真っ黒な全身鎧だったし…。
「あっ、ねぇお姉ちゃん。剣。どうしよ…」
「一緒に取りに行こうか?洞窟とかに」
「分かった。すぐ行こうか」
「オッケー!行こう!」
あっさりと決まった。流石騎士と言うべきかな…。
で、何処の洞窟何だろう?
「じゃあ、北の命桜神樹めいおうしんじゅの近くにある、ラルグレルフの竜洞窟に行こう!」
まさかの超難易度の洞窟何だね。
しかも、結構遠いって聞いた気が…。
まぁ、良いや。


1時間後、洞窟前までついた。
「本当なら、1日位かかるんだけど、簡単についたね。」
隣にいる、漆黒の全身鎧お姉ちゃんに話しかけた。
「まぁ、ミフユが実力ありありだからね。当たり前でしょ?」
「まぁ…、そうだけど」
現在、私の格好は、長袖短パンという、超軽装である。
剣は、簡単なショートソード。
《ブレード》を使えば良い話だけど、まぁ、そこは何となくって言うか…。
それ以前に、全身鎧を着てきたお姉ちゃんは用意周到すぎる気もする……。
「ねぇ、ミフユ。格好簡素過ぎない?」
「……………良い武器や武具無いし……。」
「まぁ、その為に、ここに来たんだもんね……」
そもそも、姉と一緒に高難易度の洞窟にいるのがおかしい気も…。
(…………………。考えるの…止めよ…。)
そう思いながら洞窟へ足を踏み入れた。


「ひゃー、思ってたより広いね」
「そりゃぁね。何せ竜のいる洞窟だしね」
古き竜王のいる洞窟とされているけど、実際はわからない。
神話だか、何だかの話だから、嘘の可能性が高そう。
「うーん、そろそろ最深部じゃないかな?」
お姉ちゃんが、そう言うので周囲を見る。
「本当?まだじゃないの?だって、入ってから1時間も経った?」
「どうだろう。でも前に入ったときは、そろそろだったような…」
首を傾げているけど、全身鎧だから可愛げを感じない。
すると開けた空間に出た。
空間の奧に、竜らしき姿を捉えた。
『何者だ?侵入者とは、どんな阿呆だ?』
威厳を感じさせる声。
まぁ、初っぱなからバカにされたけど。
「いたね。お姉ちゃん」
「竜王?かな?」
『ほう、我の前に怯えず普通に話すとはな』
緊張…は、正直していない。
むしろ、楽しみなぐらいだ。
(久々の戦闘かぁ、ちょっと楽しみ)
『まぁ、良い。構わず掛かってこい。相手をしてやろう』
そして、咆哮をあげた。


(さて、どう攻めよう…)
竜の攻撃を全て回避しながら考える。
狙うは首か、コアか、目だけど、最初は…。
「翼かな…」
「分かった。ついて行くよ。ミフユ」
《身体強化》
身体能力を一時的に向上させ、一気に迫る。
『小賢しい。《ブレス》』
高威力だけど、焦らず横に避ける。
「お姉ちゃん!」
「了解!《グラスプ=クリミナルチェイン》」
お姉ちゃんの後方から魔方陣が出てきて、無数の鎖が伸びる。
鎖は竜の首を捉え、手足も捉えた。
『ふん、封じても無駄だぞ?《フォトンブラスト》』
竜の口からレーザーのようなものが放たれる。
詳しく表現すれば、陽属性を纏わせた直線の暴風とも言える。
まぁ、簡単に避けられるけど。
「当たらなきゃ、単なる悪足掻きだよ?《スキルイレーズ》」
竜の全能力を抹消する。
私は跳躍して鎖にのり、鉄剣を向ける。
《ソードプログレス》
剣の基礎ステータスを底上げするスキル。
こうすることで、今の鉄剣は、魔剣と同等か、それ以上の役割を果たすだろう。
「これでおしまい。《ヘルフレアスパーダ》」
青い炎を纏わせ、竜へ降り下ろす。
剣は首付近にあるコアを確実に捉えた。
目から光は消え失せ、竜から感じた覇気もなくなった。
「倒せた?かな」
「お姉ちゃん、それ、フラグ」
「あ…」
フラグを完全に回収してしまった。
正直、あっさり倒せすぎじゃないかとか思ってたけど。
竜から淡い光が出て、コアを再生させた。
『ふ、はははは!良くぞ我を倒したな!だが残念だったな』
お姉ちゃんと私は剣を再び構え、様子を伺う。
『なぁに、もう戦う気はない。むしろ頼みがある』
「「………え?」」
混乱する私とお姉ちゃん。
それもそうだが、
「嘘は…感じないね…」
『まぁ、事実だからな』
それより、頼み事って?
また、魔王倒せとか、あれを破壊しろとか、世界を統一しろとか?
嫌なんだけど。
『嫌そうな顔をしないでくれぬか?』
「……………用件は?」
『そうだな。お主、我と契約してくれぬか?』
ん?何て?契約?
疑問符が次々に浮かぶ。
(何するんだろう?)
過去に契約はしたことはあるけれど、どんなんだったっけ?と思うほど薄っぺらかった気がする。
「ねぇ、契約ってどんなことをするの?」
『手を我に向けろ』
まさかの命令形。いや、気にしないでおこう。
言われた通りに竜へ手を向ける。
『我の名はラルグレルフ。いにしえの竜王である』
あ、本物だったんだ。今思うことじゃ無いけども。
空気をぶち壊した気がする。
『我が身この血は全て汝に捧ぐ。仰せのままに使う事をここに誓おう』
何か…案外壮大だね。失礼だけど。
すると、私の目の前に緑色の石が出てきた。
『これで契約終了だ。我が主。それを受け取ってくれ』
「あ…、うん」
『そういえば、主は剣が無いのだろう?ならば我が剣になろう』
「え?良いの?竜王なのに?」
『構わん。主の役にたてるのならむしろ従魔からしたら本望であろう?』
本当ですか。
いや、ありがたいと思おう。
竜王、ラルグレルフが目の前で剣に変わった。
『存分に使ってくれ』
「良かったね。ミフユ」
「あ、まぁうん」
「帰ろ。怒られちゃうよ?お母さんとお父さんに」
「うん。帰ろっか。お姉ちゃん」
案外淡白な竜王戦が終わり、私とお姉ちゃんは洞窟をでた。
新しい、愛剣と共に。

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