Regulus
A beautiful rose is thorny 3
一時間後くらいに、遥から俺の家の前に着いたから開けてくれと連絡があった。
ふらふら歩いて玄関の扉を開けると、遥が俺を見て開口一番にこう言った。
「…お前、またかよ」
「勘違いしないで、俺から誘った訳じゃない」
答えつつ遥を中に入れる。
遥は着ていた上着を俺にかけようとしたけど、俺はそれを目で制した。
溜息をついた遥は、リビングに着くとソファに座る。
「…なにか飲む?」
「いらね。それより何があったんだよ?
お前から知らねー匂いがする。
それに誘った訳じゃないとかさ、また無理矢理やられたんじゃねーの?
お前自身からも無理してますオーラ全開だし」
座れ、というように遥が隣を叩く。
俺の家なのに偉そうだな…と思いつつ隣に座る。
「…別に、兄貴にいつも通りの態度取られて…憂さ晴らしに大学時代に関係もってた後輩に会ったら押し倒されただけ。
二度と行かないよ」
「だけ…まあそうしとけ。
けどさ、そうなる前にお前いい加減股かけんのやめろよ、Reglusに悪評立ったらどうする?」
「そんな事態起きるわけないよ、だって俺だよ?
そこは上手くやるし、いざとなったら司馬の名使って握り潰す」
「…百歩譲ってReglusには問題が出ないとする。
もう一個言いてーのは、そろそろ自分のこと大事にしろよ」
突然内容が変わった遥の言葉に俺は首を傾げた。
自分を大事に?どういうことだろう?
俺が理解出来なかったのを察したか、遥が盛大に溜息をつく。
「…なんで外面は上手く振る舞うのに自分に対しては不器用なんだ?
ちょっと鏡見て自分のなり確かめてみろよほら」
遥に立たされて、背中を押されて鏡の前に立つ。
そこには、白シャツがはだけて肌が見えていてキスマが見え隠れしていた。
俺の顔はというと最悪の一言に尽きた。
「…ボロいなあ」
「だろ?こんなになるまでなんでほっとくかなお前はまったく。
お前が気まぐれ猫なのは分かってっけど、もういい加減そういう自分を省みないのやめろよな。
自分大切にしろよ、お前はReglusの大事なメンバーだろ。
お前以外にReglusのベースはいねーんだ、頼るなら俺たち頼っとけ」
「…わかった、もう今までそういう関係もってた人は切るよ。
けど…自分を大事にする具体的な方法は、遥が教えてよね」
「…へーへ、仰せのままに」
遥が俺の向きを変えて向かい合い、自然に軽く抱きしめてくる。
いつもの俺なら軽くはらうかさらっと抜け出すところだけど、今回だけはこうしててもいいかなと大人しく預ける事にした。
翌日Reglusで集まった時、あとの二人(特に志輝)に心配されて詰め寄られたのは言うまでもない。
そして、それとなくやばいところは伏せて説明してくれた遥に少し感謝したのは内緒だ─
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