Regulus

嘉禄(かろく)

The everlasting second troops


今年は、志輝が大学を卒業する前の最後の学園祭。
慶が事故に遭ってReglusが解散して、歩む道は分かれてしまったけど遥がちょっと前にこう言った。


『志輝、お前のことだからもう就職先決まってんだろ?
だったらいつも通りミスターコン出てくれよ、な!』


志輝は毎度のことながら嫌そうだったけど、あれよあれよという間に話は進み知らないうちに出ることになっていて志輝は落ち込んでいた。
もちろん俺は自主的にエントリーしていた。
毎年志輝に負けていたから、志輝が卒業する前に何としてでも勝ってNO.1になるつもりで。


そして学園祭当日。
俺の学んできたこと全てを詰め込んで服を選び、身についたモデルとしての技術を駆使してミスターコンに挑戦した。
全員のパフォーマンスが終わり、出場者がステージ上に並んで祈るような想いで結果発表を待つ。
順位が下の人から読み上げられていく。
俺と志輝はまだ呼ばれない。
やがて二位に差し掛かる。
俺は毎年二位の常連、志輝は毎年一位。
頼む、志輝が卒業する前に勝たせて…!
志輝がいないミスターコンなんて俺の独壇場になるに決まってる、そんなのつまらないから…!

強く願いながら俺は目を閉じた。
司会者の声が響く。


「二位を発表致します!
…エントリーNo.3、司馬由真!
そして栄えあるNo.1は穂高志輝!
有終の美を飾りました!」


その瞬間女子の黄色い歓声が響く。
みんなの笑顔が目に飛び込んでくる。
でも俺は笑えなかった。

また負けた。
最後まで勝てなかった。

そして志輝は王者のまま卒業していった。
その後、俺はミスターコンへのエントリーをやめた。
遥には文句をかなり言われたけど、気にしなかった。

…でもここで終わる俺じゃない。
志輝にはいつかファッションに関する何らかの形で挑戦するつもり。


「…待っててね、志輝」


今頃慶と作曲でもしてるであろうその人に少し思いを馳せる。
身震いとかくしゃみとかしてたら面白いな、と思いながら俺は目の前にある作業に取り掛かった。



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