優しい神様

山田さん家の猫

優しい神様

そのカモメ、大空を知り、大空に生きる。
太陽に焦がれ、空を羽ばたく。
されど、目指せど目指せど、太陽に届くことならず。


その人間、大地を知り、大地に生きるが、 大地を嫌う。
海を渡れども、大地に着く。
空を渡れども、大地に着く。
太陽に焦がれ、空に焦がれる。
勉を学び、空を越え宇宙を目指す。


その魚、大海を知り、大海に生きるが、
大海に飽くる。
大地に焦がれ、地上にゆくが、世界は狭まる。
後悔すれども、大海に戻れず。
大海を諦めど、
太陽に焦がれ、空に焦がれる。


そのカモメ
その人間
その魚
神に祈る。


太陽、大空を知り、大地を知り、大海を知り、焦がれる。
されど近くことならず。


その神、幼き神。
優しき神。
そのカモメ、その人間、その魚、太陽の言葉を聴く。
かの者達(カモメ・人間・魚・太陽)の願いを叶えるべく、太陽を空へ大地へ海へと近づける。
かの者達、願い叶えど、喜ばず。
怒り、苦しみ、泣き叫ぶ。
幼き神、自らが招いた結果に涙し、神を辞める(消滅する)。


その神、時の神。
幼き神の父の神。
時をつかさどり、過去へと戻る。
されど、干渉することは許されず。
繰り返す。
何億とも繰り返す。
やがて時の神は、神を辞める(消滅する)。


その神、創作の神。
幼き神の母の神。
時の神の番(つがい)の神。
間に合わなかった神様。
その神、命創れど、神は創れず。
一人ぼっちの神様。
神を辞めることせず。


幼き神の罪を背負う、一人ぼっちの神様。
神を辞めること(を許)せず。
箱庭創り、命る。
箱庭見ながら、涙する。


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