『理外の無才者』〜不利すぎる状況でおれは強くなる〜

アルエスくん@DeusVtuber

聖編 第三話 ホーリーシスター

聖編 第三話 ホーリーシスター
 
 
 
 とりあえずギルドのヤバさを教えられたおれは城へ帰るために歩いていた。
 
「転移魔法は事故とかありそうで怖いからなぁ〜……」
 
 あれ? なんか近づいてくる?
 
「なんだこれ? なにかが近づいてくるのがわかる……これは魂の感覚?」
 
 なんでだ?
 
「別に感知系の魔法は使ってないんだけど……あぁ! 眷属だからわかるのかな?」
 
 そういえば、オークの王様を眷属にしたの忘れてた……。
 
「なるほど、つまり、今近づいてくるのは、あのオークか……。
 確か元魔物はギルドに『人化』スキルを強制的にもらうんだっけ?」
 
 そうこうしているうちに、オークの反応が目の前に来た。
 
 しかし……。
 
「あれ? 幼女?」
 
 目の前に来たのは、緑色の髪の毛と緑色のドレスを来た、幼女だった。
 
「おー、お主、わしを支配しておいて、なぜ放置してた?」
 
「え? だれ?」
 
「誰って……わしじゃ! 貴様に魂を支配されたオークキングじゃ!」
 
「え、いや、君みたいなやつ知らないけど?」
 
「だから! あのときのオークじゃ! 人化したんじゃ!」
 
 いやいや。だってジョブが『キング』だって言ってたぜ?
 
「だって、あいつはオーク『キング』だったんだぜ? おまえ幼女じゃん……」
 
「わしが女でもジョブは『キング』だったんじゃ〜!」
 
「それ、おかしくね? 普通は『クイーン』じゃね?」
 
「こんなに否定するなんて……わし泣くぞ!」
 
「泣けば?」
 
「うえーん」
 
「めっちゃ棒読みだし……」
 
 さっさと帰ろ。
 
「待ちなさい。そこの小悪党」
 
「今度はだれ?」
 
 振り替えると、教会にいそうなシスターが立っていた。
 
 白髪で十字架のネックレスをつけている。
 
 だけど、黒いシスターの服ではなく、『白い』シスターの服を着ていた。
 
 要は色違いだ。
 
「私はホーリー。この国の聖女です。
 あなた、幼女を泣かせましたね?
 脅迫罪で逮捕ですよ。おとなしくついてきなさい」
 
 あれれ? なんかおもしろいことになってきたぞ?
 
「断るといったら?」
 
「『ホーリーアロー』」
 
 
『発動『スキル『聖技『ホーリーアロー』』』』
 
 白いエネルギーの矢が飛んでくる。
 
「うわ、あぶね!」
 
 咄嗟にしゃがんで避けたけど……。
 
 こいついきなりスキル撃って来やがった!
 
「いきなりはひどくね?」
 
「それを軽々としゃがんで避けておいて、説得力はありませんよ? それに……」
 
「それに?」
 
「あなたみたいな小悪党は逃げ足が速いんです。先手必勝は当たり前です。『誘導ホーリーアロー』」
 
『発動『スキル『聖技『誘導ホーリーアロー』』』』
 
 今度もしゃがんで避ける。
 
「ん? 待てよ? 誘導? まさか!」
 
 後ろを振り向くと、過ぎ去った白い矢が『カーブ』して、こっちへ再び向かってきた!
 
「なるほど、こういうスキルもあるのか! 『ソウルシールド』!」
 
『発動『イメージ式魔法『ソウルシールド』』』
 
 白い盾を魔法で作り、矢を受けとめ……られずに矢は盾を避けておれに向かってきた。
 
「まじかよ! 『ファイヤボール』!」
 
「後ろががら空きですよ。『ホーリネスウィンド』」
 
『発動『イメージ式魔法『ファイヤボール』』』
 
『発動『スキル『聖技『ホーリネスウィンド』』』』
 
 火球が白い矢に直撃し、相殺する。
 
 が、しかし、おれは白い風を背中から受けて…、『空』を飛んでいた。
 
「たか〜い!
 やべえな……痛覚は消してるから着地は別にいいけど……。
 さっきの白い風の威力が強すぎる。
 つまり、『スキルレベル』が高い。
 もしくは『ステータス』が高い。
 しかも、自分のスキルで『技スキル』を使ってたから、『カスタムオーブ』も使いこなしてるだろう。
 意外と強いな、あのシスター。
 聖女って言ってたな」
 
 さてと、おれはどこまで飛ばされるんだ?
 
 
 

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