『理外の無才者』〜不利すぎる状況でおれは強くなる〜

アルエスくん@DeusVtuber

勇者編 第七話 マナオブフード

勇者編 第七話 マナオブフード
 
 
 
「おなか空いたな、夕食を食べに行こう。」
 
 ということで、部屋を出た。そしたら、メイドさんがいた。
 
「あの、これ、『洗浄のオーブ』です。着替えなどはすぐに用意できないので、これを使ってください。」
 
「えっと、これなんです? どうやって使うんですか?」
 
「これは、『洗浄』と念じるなり、話すなりすると、触れているものを一瞬で綺麗にするオーブなんです。丸いのですが、小さいので、持ち運びが楽です。」
 
「なるほど、試しに使って見ていいですかい?」
 
「はい! どうぞ!」
 
 『洗浄のオーブ』とやらは、ビー玉ぐらいのサイズの水晶のようなものだ。これを服に付けて……
 
「『洗浄』!」
 
『発動『ジョブスキル『洗浄』』』
 
 服が白い光に包まれた。でも、あんまり違いがわからないなぁ。
 
「あれ?なんかフラフラするなぁ。」
 
「洗浄のオーブは、使うと、使用者からエネルギーを吸い取って発動するんです。魔力だったり、スタミナだったり、もしくはHPだったりするんですが、スタミナを消費されたみたいですね。スタミナなら、すぐに回復すると思います。では、私はこれで。」
 
 そう言うと、メイドさんは言ってしまった。確かに、なんか疲れた感じがする。
 
「さっさと、食堂へ行って、夕食食べて寝ようかな。さっきも寝てたけど。」
 
ーーーーーーーーー
 
 二階の食堂に来た。
 
「なんか、ほんとに大学で見たことあるような食堂なんですけど、やっぱりところどころ日本っぽさがあるような気がするなぁ。」
 
 見たことあるようなカウンターに行く。そこには、メイド服姿という、この場所では違和感を放つ女性がいた。食堂にメイドって。
 
「ご注文はなにになさいますか?」
 
「そもそも、なにがあるのかわからないんですけど。」
 
「この食堂では、ランクA食材を取り扱っています。ステーキやハンバーグ、スパゲッティや、ピザなど、ここにはいろんな食事があります。」
 
「いや、食料とかどうしてるの? って魔法とか使えばどうにでもなるか。」
 
「はい、『保存魔法』を使っておりますので。」
 
「あと、ランクAの食材ってなに?」
 
「この世界では、食材には、魔力の量でランクがつけられており、あなたがたの故郷に魔力がないそうで、魔力をおいしく感じるんですよ? この世界では。」
 
「ふーん。ハンバーグで。あと、白米のごはんも。」
 
「かしこまりました。席にてお待ちください。」
 
 仕方ないので、この食堂の端っこの椅子に座った。
 
 この食堂は、東西に入り口があり、北にカウンター、南に、窓がある。おれは、北東側にいる。もうほとんど人がいねえからな。おれが一緒に食べる人がいないわけだ。
 
「お待たせいたしました。ハンバーグとライスです。」
 
 さっそく届いたので食べよう。やはり、客が少ないからか早いな。手を合わせて、
 
「いただきます。」
 
 さて、まずはハンバーグからだ。テーブルには、箸やナイフ、フォークに、串があった。
 
「いや、なんで串だよ!」
 
「串で食べる文化も近くにはありますので。」
 
「おわ、まだいたのか、メイドさん。」
 
「客が少ないので。」
 
 とりあえず気にせずに食べよう、箸で。
 
 箸でハンバーグを縦に半分、横に半分に割って、まずは右下を食べてみた。
 
「確かに、日本の料理とは違って、美味しいな。なんか、エネルギーがみなぎってくるような。これが魔力なのか。さて、そのまま食べ……ガフッ」
 
 あれ、なんでおれは倒れてるの?なんで体が痛いんだ?
 
「た、大変、早く部屋に運んでお医者様を呼ばないと。」
 
 おれは、メイドさんに運ばれていった、お姫様抱っこで。恥ずかしい……。
 
ーーーーーーーーーー
 
 部屋のベットの運ばれて、おれの隣には、メイドさんとお医者さんらしき白衣を来た女性がいた。てか、この世界、ほとんど髪の毛が綺麗な白髪なんだけど、なぜに?
 
「お医者さん、おれは、なんで倒れたんですか?」
 
「言いにくいが……『過剰魔力摂取』だな。」
 
「なんです?それ。」
 
「自分の魔力上限よりも、魔力を体内にやどすことで起きる症状だ。Aランク食材とはいえ、一口食べただけで倒れるなんて、一体どんなに魔力上限が少なすぎるんだ?Aランク「ゼロです。」
 
「……は?」
 
「だから、ゼロです。」
 
「まじかい?」
 
「まじっす!」
 
「なるほど、これは、今後は食堂で食事を取らずに、使用人たちが食べてるようなランクの低い食事を取るべきだ。メイドよ、これからは君たちの食事を運んでくれ。」
 
「えっと、ランクが低いんですけど、いいんですか? でも、ランクが低くないと、倒れてしまいますもんね。わかりました。メイド長に相談します!」
 
「では、私は帰る。この城に努めているので、二階の北に私の部屋がある。なにかあれば来るように。」
 
 そうして、メイドさんとお医者さんが部屋から出ていった。
 
「まじかぁ、食べるだけで倒れるとか、あるのかよ。魔力って怖いなぁ。」
 
 
 
 あれ、まだおれおなかすいてるんだけど、動けないな。どうしよう?
 
 
 

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