適当に強そうなスキルを選んで転生したけれど、8000年も生きる間にすっかり忘れてしまったので無自覚チートでスローライフを送ります

御丹斬リ丸

第3話 転生したら必ず地上スタートだと思った?





こちらは快晴、そして大空。
皆さまお元気でしょうか、転生した途端に上空に投げ出されたようです。
笑っちゃいますよね。



「このくそじじぃがぁぁぁぁあ!!!」



と叫んだ途端、上空で停滞していた体はいきなり重力に引っ張られるように落下を始めた。


「ああああぁぁあ…ぁあ」


「おちるあおちるぅぅうぅ!」


何をトチ狂ったのか平泳ぎを始める俺。
あ、そこは平泳ぎじゃなくてクロールじゃね?
などと冷静になってきた頭が自分に語りかけてくる。





「止まれ止まれ止まれぇぇぇぇぇ!」



だが、頭が冷静でも口からは焦りが出る。
止まれって言って止まったら苦労しねぇよ。
そもそもそんな力があったら捲れろって言えばパンツ見えるとか死ねって言ったら死ぬとか出来るだろうし、あ、そういえばそんなようなラノベ読んだな。
あぁ、まだ読み終わってないから後でもいいからこっちに送ってくれないかn



「ーーーああああぁぁあ!?ぐへぇっ!!」




《回想終了》
え?無理だから。落ちている時にあれだけのこと考えるのはさ。





クソジジイによって転移させたのは、空中でした。
転移ポイントがずれていたのか、嫌がらせなのかわからないが、地上より80m程上空から投げ出された結果、体全体を地面に叩きつけられ、ただ今もがき苦しんでおります。
ご機嫌いかがでしょうか、皆様?
私は、初っ端から死にそうです。


不老で丈夫な身体のおかげでしょうか、体からもうもうと煙が上がって再生を始めています。
落ちた衝撃で吹き飛んだ手足はブーメランを飛ばしたように空中で回転して元の場所にひっつきましたね。ぇぇぇ。これって不死じゃん。




「死ねぇ!!嘘つき、詐欺師、老いぼれ偏屈ジジイめ!」




はぁはぁはぁ…


無意味だ。




やめよう。
まずは、人里を……と言いたいところだが、ここはなんだ?



あたり一帯が岩だらけになっており、ジメジメしている。


が、生物の気配をまるっきし感じさせない。
川もあるが、何もいない。
植物もあるが食べられそうにない。
木もないし、何コレ?




さて、どうしようか。
石を削ってカマド作るか、木を加工して作業台作るか迷……って、ゲームじゃねぇんだよ!


とりあえず、敵はいなさそうだから現在の状況を確認しよう。


何の説明もなくよくわからん世界に転移した。
持っている能力は、不老、頑丈な身体、素材加工。
所持品、落下の衝撃でボロボロになった割には体と一緒にちぎれた部分が再生した素材不明のロープ・半袖シャツと長ズボン。
このエリアに植物以外の生物はいなさそう。
食料、家、火がない代わりに水はある。




酷いな。
やっぱりクソジジイだな。


まずは、違う世界に来たらやりたいことその②をやろう!


その①は、ってか?
それはチート貰うだな。だから済だ。



ドキドキするなぁ…


「ステータス」


……


「ステータスオープン」


…ん?


「ステータスオープンッ!」



「status open」


ネィディブ発音は関係ない…か。




「親愛なる魔よ。内なる力を示し給え!ステータス」



……何もおこんねぇぞ?



「んぎぁあぁあぁあ!!恥ずかしいぃ!


何なんだよ!何でひらかねぇんだよ! 」




老いぼれぇの人、聞こえますかぁー?
ファンタジーなのになんでステータスも町も生物もいないのでしょうか?えぇ?なぁ?



叫んだおかげで疲れた為、一度座る。


ぐぅ〜


腹が鳴るな。


ググググギュウ…


ふふふ、我が腹部に封印されし暴食の悪魔が暴れ出したようだ…
ククク、我を苦しめて困るのは貴様だジジイよ…
7つの大罪の1つ暴食が解き放たれれば、この世界は終わりだ…



ヤバイヤバ過ぎる。
腹が減って思考がおかしくなっていやがる。




これしか食えそうにない。
だか、文明人としてこれは食いたくない。


嫌だ嫌だ!






うわぁ……無理無理ぃ!?!









◇◇










その日、一人の大人が泣きながら苔を食う姿をどこかの神が笑い転げながら見ていたと言う。







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読んでいただきありがとうございます。
上空スタートはとある作品をリスペクトした結果です。パクリではないです。落下してもいきているので。
これからも他作品で好きな要素を盛り込む予定です。
作品を汚していると不快に思われる方がいたらすみません。



          

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