適当に強そうなスキルを選んで転生したけれど、8000年も生きる間にすっかり忘れてしまったので無自覚チートでスローライフを送ります

御丹斬リ丸

第6話 とても暇なので主人公キャラが旅に出るとよくあるオーバーテクノロジーな遺跡を作った




歩いた先に何かある。
そんな希望を持って歩いた先には何もなかった。
もしかして本当にこの世界は何もないのではないだろうか。


不安にかられたりはしないが、何をすればいいのかよくわからない。
不老にほぼ不死身と言って代わりのない体、そしてノーリスクでプロ級の加工が可能なチート能力。
この原始の惑星で仮に知的生命体がいたのならばそいつらの中で俺は神か何かになっていただろう。
が、残念ながらいなさそうだ。
知的生命体が生まれるとすれば散々腹に収めた不味い苔だけ。
ありえないとはいえない。
魔法も魔力も確認できていないが俺というこれ以上ないファンタジーな生き物がいるのだから。


と言っても苔が知的生命体へ変化するまで待っていられないしな。
人間がいなくてもモンスターがいたのならばまだ良かった。
がいない。
燃える危険な水や得体の知れない苔を主食に木や石と言ったものまで食べる雑食のモンスターならここにいるが。


まぁいい。時間は永遠にある。
建築法に引っかかりそうなイカれた建物でも建ても怒られないし。
あ、建物といえば遺跡でも作っておくか!
もしも俺以外の転生者が現れたとき、こんな苔と岩しかない世界じゃ絶望しちゃうだろうし。
こちらには丁度いいことに人間業ではない加工も可能なチートがあるわけで、細かすぎる装飾とか、思わせぶりな謎の言語で書かれたヒエログリフ。
うーむ、考えただけで心踊るな!
で、一見絢爛豪華な神殿だが隠して階段があって、地下には悍ましい謎の祭壇があって邪神的なものが飾られているとか、あぁっ!設定に燃えてきたぁー!


知的生命体が現れて
街が出来て
転生者が現れて
冒険に出て
そしてオーバーテクノロジーで作られた遺跡に立ち寄り、俺によって作られた真実を知り邪神を倒す旅が始まるとか?とか!
ヤベェ考えただけでヤベェ。


そうすると思わせぶりな壁画も用意しなければいけないな!これは。



興奮して寝るのを忘れてずっと案を練りつつけた。
暇つぶしで素材加工のスキルを使い続け、慣れた俺は目をつぶってでも精密な加工が、可能になった。


あ、削りすぎたやり直しだ…。
やっぱり目を開けた方がいいね。


素材である岩石は地面を使い立派な柱を屋根をまるまる一枚岩から掘り出した。
神殿と言って思いついたのがギリシャの有名なアレしかなかったのでそれっぽい感じで作り上げ、最奥に祀られている神様の首を回すと地下への階段がゴゴゴゴゴと演出重視の登場をする仕掛けがついている。
当初、頭を回転させると現れる階段は床がスライドし階段が現れるタイプだったが、完成後に開いてみたところ全然音がしなくて萎えたので改良したのだ。
石をとんでもなく滑らかにする素材加工先生の力量には感服なのだが、ロマンに欠けるのでワザと荒削りに戻しておいた。


ここにたどり着いたとしても、神様の首を回すまで至らないのではと不安になった俺は暗号をちりばめた壁画を天井、壁に配置し見つけられるように努力した。
そして改良版は首を回すと、耐震構造から免震構造へと変えられた神殿が地下にある大量の歯車によりゴリゴリと擦られ、ガタガタと揺れたあと荒削りの床に歯車が引っかかってとてもうるさい音を立ててスライドし、下から押し上げるように階段が一段一段上がってくるとてもロマンあふれる構造になった。


ここからが一番力を入れたところで階段を降りた先はとんでもない大空間となっており、洞窟に地下神殿を増築したかのような見た目になっているがもともとそんな都合のいいものはなかったので俺が頑張ったのだ。
洞窟に見えるようにひたすら細かく削った。
広い空間は他の遺跡の石材を取るために掘ったついでに、『あ、これ地下神殿にしちゃおう』と思い改造した結果だ。
そして最奥地には燃える水を使った炎で照らされる禍々しい像!
禍々しく薄汚い浮浪者のような髪を生やしちょりちょりのヒゲと憎ったらしい顔をした老人。
右手には天使を掴み左手にはゴツゴツとした謎の物体を握っている。


そう、なんとなくわかったかもしれないが、あのクソジジイを元に、いや寸分違わぬように丹精込めて作った"邪"神像だ!
天使はあの唐揚げにされたやつを元に掘り、左手に握られたのはレモンだ。
レモン汁を目に飛ばしてきた恨みは忘れん。


ふっ、ふっふっふっ。


ふっはっはっはっぁー!!
貴様はもう終わりだ!
邪神様になって頂くのだからなぁ?



あーはっはっは!げほっ…ごほっ








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読んでいただきありがとうございます。
補足しないといけない部分があったのでこちらに後書きとして書かせていただきます。
プロローグの2話目でもらったはずの生活魔法というスキルに関してもう主人公は忘れています。
それから、これもプロローグ2での会話で新道とありましたがワザとです。宗教がらみは要らぬ反感を買いやすいので濁しました。
それでも不快に思った方がいればすみません。


オーバーテクノロジーで作られた遺跡の話は次回も続きます

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