自称聖者のクズくてニューゲーム【改正中】
リア充爆発しろって思ったら自分も巻き込まれて死にました。
「なぁ!隆二、後で二次会行こうぜ!
「駄目っ!私とりゅうくんは後でデートするの!」
「相変わらずモテモテだな…」
「ちょっと!?里奈ぁ!デートってどう言うことよ!」
とあるファミリーレストランで楽しく晩餐を開いているのは、私服姿の5人。
一人はやたら元気のいいヤンチャな男、一人は隆二と呼ばれる男にベタつく女、
一人は神経質ぽい細メガネのイケメン、
一人はこれまた気の強そうなお嬢様、
そして一人はその渦の中心の美少年。
その名を神峯隆二という。
成績優秀で人脈も広く、その甘いマスクにこの世の女性はメロメロになるだろう……一言で言えば完璧人間である。
ただし、純粋すぎる彼に対し友人達はしばしば不安を覚えるのであった。
「デートしたいの?じゃあみんなでデートして帰りに二次会しよう!」
「「「「はぁ〜…」」」」
訂正しよう……完璧人間である彼は、俗に言う残念イケメンなのだ。
女心など知らず、
”二次会行きたい人とデート行きたい人がいる”→じゃあ、みんなで行けばいいんだ!
全く残念である。
「りゅうくん!私と二人でデートはだめなの!?」
「いやでも、二次会行きたいって言ってたし…」
数時間前から二人の男と二人の女に挟まれて楽しそうにイチャつく隆二を、ファミレスの従業員が忌々しそうに睨むつけていた。
"いつまでいやがるんだ死ねリア充が"
と悪態をつきながら注文を受けたメロンソーダ3つとストロー5本を運んでいた。
「失礼します。こちらがメロンソーダになります」
男はなぜ5本も必要なのかという疑問を持ちつつメロンソーダをテーブルに置いていく。
先ほどからイチャつく彼らにイラついていた彼は手に持ったストローを目玉にぶっ刺したい衝動に駆られるが必死に押し殺し、笑顔で話しかける。
「わぁー、りゅうくん一緒に飲んでいい?」
「わ、わたしも!」
「まぁ、いいよ」
これから起ころうとする究極のリア充の行為に身を震わせていた。
ファミレスの従業員の頭の中がリア充どもに対する悪意で満たされたとき、それは起こった。
地面にいきなり幾何学模様と謎の文字が書かれた光の紋章……いや、魔法陣が現れ6人を包み込んだ。
この光景にファミレス中が混乱に陥り、ちょうど魔法陣内にいた6人も逃げ出そうとする。
しかし、空間が固定されたかのように体が動かず声がだせず、必死の抵抗も虚しく光に飲まれた。
徐々に光が収まり、眼を開けると6人が椅子に座らされていた。
辺り一面草原にどこまでも青い空、不自然に浮かぶ学校椅子に座らされていた。
まるで一昔前のWi○dowsのスタート画面のような草原だ。
そして、この空間に来ても体を動かせずや声もだせず、ただただ静穏に包まれていた。
そのせいか緊張に包まれた空気感になっていたが一人邪なことを考えている奴もいた。
"これって異世界召喚ってやつか?だとしたら俺は巻き込まれた主人公だな。巻き込まれた主人公って最強だしな"
先ほどから登場していた従業員の男、加藤志乃はこの日、ファミレスを経営する親戚から頼まれたて渋々、仕事を受けた助っ人従業員である。
本業はゲーム実況者で主にVRMMOで対人戦を主とするプレイスタイルをしている。
”ゲーム実況者ってつまり遊んでるだけだろ?暇だろ?”
と親戚に挑発され、手伝ってしまった志乃である。
さて、ファンタジックな出来事に巻き込まれ混乱しているのか、自らを主人公やら巻き込まれた最強とかほざいているが暖かい目で見てやって欲しい。
『さて、混乱しているところ悪いのだが、聞いてくれないかな』
とここで空間をこじ開けるように景色が歪み中から薄く発光する杖を持った女性が現れた。
『声が出せなくて不満だろうがすまないね。私は五月蝿いのがきらいなのだよ』
志乃曰く、リア充組は女神のような女性に釘付けであったが、肝心の志乃は虚ろな目で女性を見ながら”ああ言う杖って課金装備だよな”とどうでもいいことを思っていた。
『おっほん…。私は君たちで言う異世界で女神をやっているルーフェルという。さて、説明を始めていいだろうか』
そんな志乃のアホな思想を感じてか一度咳払いした自称女神はジロリと志乃を睨みつけてから次へと説明を始めた。
『君達は数秒前、我々神々が管理する異世界から召喚された。
しかし、其方……つまり地球の管理者により妨害され君達は時空の狭間に閉ざされてしまった』
『本来ならば永遠に彷徨うことになるところをこの私が見かねて助けてあげたのです』
『おお、かわいそうに…そう思った私は地球の管理者と相談し転生させることになったのです』
とても演技くさい話し方にお前はNPCかとツッコミを入れた志乃を無視し自称女神(痛)は話を続けた。
『君達10代…あー、一人20後半もいるが、あまりにも若くして死んで可哀想だと嘆く地球の管理者が、融通を利かせてくれたのです!』
は?お前が閉じ込めといて可哀想と嘆くって頭逝かれてんだろ…クタバレクソと地球の管理者に呪言を吐きつつ、前座はいいからさっさと結論を言えよと常に上から目線の志乃。
『ただ我々も暇じゃないのでな、一人一人希望を聞いてられないのだ。わかるな?
今流行りのキャラクターメイキングで自由に選んで貰おうと思うのだよ』
キャラクターメイキングで転移とか転生とかが流行っていることは、おっさんはゲームはやるが漫画もラノベも読まなかったため知らなかった。
ーーパンっ!
女神は杖を掲げ……ようとして首を傾げたあと杖を投げ捨て手を叩いた。
すると、目の前に半透明の画面が現れ、VRMMOでキャラクターメイキングをするときのような表示が出現した。
不思議な画面を出現させた女神に対しこの場にいた全員が”杖使わねえのかよ”とツッコミを入れたのは余談である。
『これから君たちがいくのは剣と魔法の世界だ。君たちの世界のゲームというものを少しばかり流用して作らせてもらったのだがな。…流用と言っても少しだけ参考にしただけだがな。
まぁいい、つまりはファンタジーな世界だから間違えておかしなスキルを選択しないようにということだ』
よくあるやつね。本当に適当だな…世界を作るときにゲームを流用とかしていいのかよ。
著作権問題になるぞ?
『制限時間は20分だ。時間になったら自動で転生する。選ばなかったらランダムになるし、今後に関わるのだから慎重に選べよ。”始め!”
……といったら声も出せるし体も動かせる。最後に質問…一人一つまで答えてやる』
やめろって、それ。
さっきからうざいから。
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