宗教を後ろ盾にやりたい放題やった聖騎士、何故か勇者パーティの補佐役になったけど別に世界を救うとかどうでもいいです

御丹斬リ丸

世界が危機に瀕している割には肥えた王様がいる、そんな勇者召喚





3








ん?何だ?




霧に覆われていた意識が覚醒すると、いつのまにか座っていたようだ。
肌から伝わるヒヤリとした感覚によくよくあたりを見てみれば石造りの壮大な空間がそこにはあった。


僕を中心にした円からなる幾何学模様からはキラキラと白い光が漏れ出している。


そして遠目に見るように、長く白い髭を、腹には脂肪を蓄えた老人はピカピカと輝くとても趣味の悪い椅子に座っている。
右手でグラスに入ったワインのようなものを飲みながら、空いた左手ではべらかせている美女の胸をわしわしと触り口元を緩ませているが、目はぎろりと肉食獣が獲物を見るようにこちらを見ていた。
僕を取り囲む形で重厚な金属鎧達もこちらをジッとみつめている。




すると髭を生やしたおっさんは突然立ち上がり大袈裟な素振りを見せてこちらに語り掛けてきた。










「よっこらせ、うぉっ……ごほん。




よくぞ参られた勇者よ!
我が神よ……悲願がついに叶います…ぐずっ。


あー、我はアルデンテ教国Ⅻ位階首長アーデウス・フィルク・アビスである」






なんか締まらない紹介だがこのおっさんは王様らしい。首長というのは確か王様だったし。
ターバン巻いた石油王の国とかの、人。
でもアラブ系では無いみたいだ。
ちょっと顔の濃いヨーロッパ人、国で例えるならイタリアと言ったところかな。
イタリア語なら僕でも話せるな
ボンジョールノ!ピッザ!ナポリタン!




ん?
こんな下らないことじゃなくてさっきなんか凄いこと言わなかったかな?
ゆ、勇者とか。








「まず初めに、謝罪させて頂こうと思たう。
我々の事情でここに呼び出した事、大変申し訳なく思っている


今まで普通に生きていたというのに勇者という職業を義務を勝手に追わせてしまったこと、謝罪してもしきれない。
ただ、我の話を聞いて欲しい。
第一に、我は私利私欲の為に勇者を召喚したのでは無いということ。


そして、今この世界は魔王とその眷属である魔族により危機に瀕しているということだ。」


「勇者よ。この通りだ、頼む。
無辜の民を、未来を託す子達を、我々を助けてくれ」


そう締めくくり、王様は膝を曲げて地面に頭をつけるような形で僕に頭を下げた。土下座と言いたいが脂肪によって土下座にはならずクラウチングスタートのような格好になっている。


「へ、陛下! なりませぬ!」


先程までおっぱいをわしわしされていた女の人が陛下(笑)により頭をあげるように言う。








「うん、それもそうか。あーめんど……して、勇者よ。
魔王討伐の話受けて頂けるか?」




今耳を疑うようなことを言っていたが気のせいだろう。


それにしても、召喚勇者というわけだし僕にはきっとチートがあるはず。
それに魔王わ倒す勇者なんて憧れるじゃ無いか!


「はい、やります!魔王を討伐し世界に平和をもたらします!」




「おお!勇者よ!感謝するぞ。
では、彼を連れて行くがよい」


え?ステータス確認とか鑑定とか姫とイチャイチャとか騎士団長と訓練とか手頃なダンジョンでレベル上げとか無いの?
そんな困惑をしていると王様の左手にある黒い扉がギィィ…と音を立てて開いた。


首元から爪先まで真っ黒な服を着て、頭には白と黒のツイン帽、目つきの悪い半目をしており、口は不気味に釣り上がっていた。
黒いピエロ。
ファンタジーなこの世界観をぶち壊す奴が出てきた。


勇者になったからかなのかはわからないけれど黒く禍々しい波動の片手剣を二本ぶら下げ、コミカルな動きをしながらこちらに近づいてくる。


「ひっ…」
あまりの不気味さについ悲鳴に似た声が出かけ口を閉じる。


そしてピエロは僕の前に立つと背中から取り出した白い板にサラサラと何かを書き上げクルリとこちらに見せた。




【おうおうおう!随分弱そうな坊ちゃんじゃねぇか!がははは。オレは、ラージュ。よろしくな(゜ω゜)>】




ヤバイ奴だ。こいつ。

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