クラス転移でみんな勇者なのに俺だけ魔王だった件

ニートは引きこもりたい

暗闇の中で

暗い闇の中ゼンは目を覚ました。

「ここはどこだ?確か俺はアレプトに刺されて……死んだのか?」
周りを見渡してもそこには闇しかない。すると,どこからともなく声が聞こえた。

「あぁ,やっと起きたのかい今代のマスター。」
驚き周りを見渡すも景色は変わらない。

「僕はここにはいないよ。とりあえず現状を説明するよ。ハイ,深呼吸して。」
ゼンは言われた通り深呼吸をして自分を落ち着かせた。

「まず,わかっているとは思うけどここは現実世界じゃない。それと,まだ君は死んでいない。……とは言ってもこのままだと間違いなく死ぬけどね。あっ,現実世界のことは僕もわからないから聞かないでね。はい,僕が知っているのはとりあえずこれくらいかな。質問ある?」

「まず,お前は何者だ?」

「ごめんごめん。当然の疑問だよね。僕はリンク。わかりやすく言うとつなぎ棒だよ。」

「何言ってるんだお前?俺の相棒はリリィだぞ。頭大丈夫か?」

「え,遠慮なく言うね。たしかに君の言う通り今までつなぎ棒の説明をしていたのはリリィだよ。えっと,なんて言えばいいかな……つまり分かりやすく言うと,リリィはつなぎ棒の精霊で僕はつなぎ棒の中にいるって言えばわかるかな?」

「ホントに頭大丈夫か?棒の中に人が入れるわけないだろ。」

「精神だけなんだよ。精神だけリンクしてつなぎ棒の中にいるの。」

「あぁ,まぁだいたい理解した。正直俺にはできないからわからねえけど。
まぁ,それは置いといて,なんでリリィじゃなくてお前が俺に現状説明してんの?」

「あぁ,それは,彼女は今エルって子とつながっているからね。だから僕が説明しているわけ。さて,そろそろ質問は無くなったかい?」

「いや,最後に1個,そもそも俺は今つなぎ棒持っていないんだけどなんで会話できてるわけ?」

「答えは簡単だよ。そもそも君はまだつなぎ棒のマスターでつなぎ棒は常にマスターとはリンクしているからだよ。」

「なるほど。これで俺は疑問が無くなったわけだが,これからどうするんだ?」

「やっと,本題に入れるね。さっきも言った通り,いま君は致命傷を負っていてこのままだと死ぬ。だから今からそのケガを治すんだ。」

「どうやって?」

「慌てないで。今から方法を教えるから。
まずこれは僕と君2人いないとできない。そしてとても難しい。まず,ここは君の精神の中で君自身は意識がない。それで治す方法だけど,最初に君がこの精神世界から現実世界の自分とリンクする。」

「オッケー,もうできたぜ。」

「仕事が早いね。それじゃあケガの位置はわかるかい。」

「あぁ,ソコに行けばいいのか?」

「ついたら,今度は僕とリンクして。」

「ええっと,出来るならでいいんだけどよお前ここに自分の姿とか出せねえか。いや,姿がわかったほうがイメージしやすいからさ。」
ゼンがそう頼むと目の前に真っ白な少年が現れた。

「これで,いいかい?」

「あぁ,よしできた。」

「うん,こっちでも確認できた。じゃあ,後は僕がやるから君はこのまま維持しておいて。」
どれくらい時間がたっただろうか,数秒,数分,数時間,わからないままリンクが戻ってくるのを待った。

「おまたせ,やっと終わったよ。これで君はまた戦える。」

「ありがとなリンク。」

「お礼はこの戦いが終わってからでいいよ。それより,気をつけなよ。君が思っている以上にこの戦いは激しいものになる。今の神はまだ何かを企んでいるようだからね。」

「今の神?」

「おっと,つい口が,まぁ気をつけてね。後,君が死なない限り僕はいつまでも君を見守っているからね。最後に耳を僕の思念体に近づけて。」
最後にリンクから助言をもらい再びゼンの意識は途切れる。そして,誰もいなくなった空間で,

「頑張ってね。………,それにしてもいつの時代もこのスキルを持つ者の運命は変わらないな。」
思念体は少し上を向き過去を思い出しながら最後に,

「いや,スキルじゃなくて種族なのかもね。」

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