クラス転移でみんな勇者なのに俺だけ魔王だった件

ニートは引きこもりたい

思わぬ苦戦

それから2日かけて9体のハヌマーンを倒し目標までついに残り1体になった。

「はぁー,ここまで長かったなー。」
才道が今までの戦いを思い出しているのかそう言う。

「まぁそうだね〜。でも残り1体だから今日中には終わるかな。」
アレプトは既に終わった気でいる。

「おっと,そうこうしているうちに反応あったぞ。さっさと終わらせて天使の居場所を聞き出そうぜ。」
ゼンのリンク範囲内に入り反応が現れる。しかしそこにいたのは今までのとは違い背丈はゼンたちと同じくらいの白い猿だった。

「なんだ,こんな弱そうなのもいたのか?今までの奴の子供か?」

「いや,そうじゃないよ。本で読んだことあるけど,確かハヌマーンには大きさは関係なくてそれで小さい方が強かったって書いてあった気がする。」

「最後の最後に面倒くさいのが相手かよ?」
3人がそれぞれの反応をしているとハヌマーンは叫びながら前に飛び出し3人に迫る。ハヌマーンが選んだのは才道だった。しかし才道はハヌマーンの突撃を腕を交差させガードするが突進の威力が強く大きく後方に押し出されていく。はやくも才道から見てゼンたちの姿が見えなくなってしまった。
(俺かよ〜。結構俺って運悪いのかな〜。)
 才道がそう思っている中ハヌマーンは才道に向かって今までのハヌマーンより重いパンチを繰り出していく。才道はそれをかわしながらハヌマーンの後ろに剣をいくつも出現させる。しかし才道が剣を飛ばす前にさらにハヌマーンが才道を押し出し剣の射程範囲外まで一気にいく。才道はそれを不快に思ったのかハヌマーンを蹴り飛ばし聖剣を抜く。ハヌマーンは蹴り飛ばされるも全く怯まず間を空けず才道に攻撃を仕掛ける。才道はそれを軽くさばいていき聖剣を振るいハヌマーンに当てるが剣はハヌマーンの肌を傷つけることさえ出来ず跳ね返る。
 才道がそれに驚いていると,ハヌマーンの腕に赤いオーラが纏われ才道を殴り飛ばす。
 才道は山を数個突き破りながら飛ばされる。

「ふんっ!」
才道は気合を入れ空中に踏ん張る。
強い!今まで戦ったハヌマーンよりも。
 今までのハヌマーンも結局のところ3人で協力していたがこのハヌマーンは背丈が小さくさらにそれとは逆にパワーとスピードは大きく速い。
 これらの理由から2人が来てもとてもじゃないが協力できそうになかった。
 しかし,ならば才道が相手に選ばれたのは不幸中の幸いかもしれない。
 ゼンやアレプトは地形を使うか魔法を使っての戦闘スタイルだ。しかし才道の場合自分でなんでも召喚できるので3人の中でいえば1番ハヌマーンとの相性がいい。
 そう考えながら才道は全身に力を入れてかつて使っていた魔王の力を解放する。
 才道の周りに黒いオーラが溢れ周りも少し暗くなる。
 
「グギャギャギャギャギャー」
ハヌマーンは才道のその姿を見て恐怖からか走るのをやめ雄叫びをあげる。
 気づくと才道の周りには既にいくつもの剣と魔物が召喚されていた。

「グギャーーーー」
ハヌマーンは全身から赤いオーラを溢れさせ才道に突撃する。
 才道は手始めに龍を向かわせるとハヌマーンは龍の突進を避け龍の背中を走り出す。
 才道はすぐさま剣をハヌマーンに向かって撃ち出す。
 ハヌマーンはその剣の刃のない部分を足場に才道に近づいていく。
 才道がそれに驚いているとハヌマーンは才道の目の前で消え一瞬で背後に回り込むと振り上げた両手で才道を真下に向かって叩き落とす。
 才道は四つん這いで着地をし上を見るとハヌマーンが叫びながらいきよいよく才道に突っ込んできていた。
 才道はハヌマーンを囲むようにシェルターを召喚し閉じ込める。
 ハヌマーンがシェルターを壊そうと暴れているがなかなか壊せない。
なぜならそのシェルターは才道が魔力を付与させ頑丈にしていたからである。
 その間にゼンとアレプトがようやく才道に追いついた。

「やっと追いついた。飛ばされすぎだよ〜才道くん。」

「げっ,お前その姿完全に使いこなせるようになったのか。」

「「それで現状は?」」

「ああ,今はあのシェルターに閉じ込めているぞ。」

「ならとどめは僕たちに任せてね〜。」
アレプトがそう言いゼンの方を見ると,ゼンもアレプトを見てうなずきかえす。
 そして2人はジャンプしアレプトは闇を纏った剣で,ゼンは黒光で右手を剣状にして同時にシェルターを切った。
 しかしアレプトの剣は折れ,ゼンの右手はハヌマーンが握りしめていた。その姿は完全に無傷である。

「「!?」」

「うわぁ〜完全に上位種だね。」
アレプトがそんな事を言っているとハヌマーンはゼンをつかんでいる右手を上にあげ振り回し地面に叩きつける。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁー。」
あまりの衝撃にゼンもたまらず悲鳴をあげる。しかしハヌマーンの攻撃はそれで終わらず今度は反対方向にゼンを叩きつける。
 その一撃,一撃で地面はひび割れ凹んでいく。
 ゼンは咄嗟にハヌマーンの足元を脆くさせハヌマーンが地面に落ちてる間に手を振りほどく。
 ゼンが息を整えていると下からハヌマーンがいきよいよく飛び出てきた。
 気のせいか先程より体格が太く頑丈に見える。
 そしてそのまま頭上からゼンに突っ込んでいくがゼンはそれを避ける。
 すると先程からの衝撃のせいか地面にでかい穴が開く。ゼンはジャンプし落ちずに済んだ。
 このハヌマーンの戦闘能力を見てゼンは危険に思ったのか一気に大技で決着をつけようとする。
 ゼンは両手を広げ左手に風を集め右手に雷を集める。そして風と雷の玉がそれぞれの手の中に収まる。
 ゼンは両手を合わせジャンプする。すると下から再びジャンプしたのかハヌマーンがいきよいよく出てくる。ゼンは出てくるタイミングを見計らい出てくるのと同時に技を放つ。

「はぁああああああー。」
ゼンによって作られた風雷波がハヌマーンを襲う。

「ぎゃあああああああ。」
しかし,途中で風雷波の勢いが止まる。見ると下でハヌマーンが必死に風雷波を押し返していた。
 アレプトと才道もハヌマーンの危険性をようやく感じゼンの加勢をする。
 アレプトは闇を才道は光を集め同じようにハヌマーンに向けて放つ。
 流石に3人の技の勢いに勝てなかったのか下で3人の技がそれぞれ混ざって大きな爆発を引き起こした。
 3人は疲れたのか地面に降り息を落ち着かせるためにその場に座り込む。
 下を見るとハヌマーンが血だらけの様子で力尽きていた。

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