クラス転移でみんな勇者なのに俺だけ魔王だった件

ニートは引きこもりたい

終わらされた戦争

広く静かな世界で戦う音がする。
デュークと光輝の戦いは圧倒的にデュークが優勢だ。それも当然だろう。デュークにとってこの幻想世界は自分のテリトリー。つまりやりたい放題なのだ。かたや光輝は世界そのものは見慣れた景色だがそこから出される未知の攻撃に戸惑う。例えば誰もが剣は触れると危ない。この情報は常識として当たり前に知っている。だがこの世界では光輝たち地球人にとって日常的に使うものが狂気となって襲ってくる。現に今もデュークが手にしているのは傘で撃ってくるのは小石。側から見たら子供の喧嘩にしか使わないその武器はこの世界では剣や魔法として扱われ当たれば良くて中傷悪くて死だ。光輝自身はそれを当たればやばいとわかっているのだが脳はそう思わず思ったように避けれない。この感覚が光輝が苦戦する理由だ。
再びデュークが光輝に傘で切り掛かってくる。光輝はこれをとっさに腕で受け止めようとしてしまう。しかし受け止める前に聖剣でなんとか弾くことができた。するとデュークは拳くらいの大きさで火の魔法を撃ってくる。しかし光輝にはこれがドッチボールに見えてるため完全には避けれず脇腹にかすりダメージがまた蓄積される。

「そろそろ諦めて欲しいのだが。私も無益な殺生はしたくない。私に手を出さないと言うのなら今すぐにでもこの世界から出してあげよう。」
何度目になるだろうか。しかしデュークは再びそう問いただしてくる。そう先ほどからデュークは光輝を本気で殺そうとは思っていないように思える。その証拠として大規模な攻撃は全くせず光輝にでも避けれるくらいの攻撃ばかりを繰り返してばかりだ。

「何度も言うようだけど僕は降参する気はない。その余裕もそろそろ終わりにしてやる。」
光輝はそう言うと目を閉じた。

(視覚を閉じて幻術を破った気でいるのか?だとしたらなんとバカな奴だ。それでは避けれるものも避けれなくなるだけだ。)
デュークは次々と魔法を撃っていく。光輝はそれを全て切り裂きデュークに向かっていく。デュークはそれを見て少し笑うと幻術を解き光輝に切り掛かっていった。先にデュークが剣を横に振りぬくと光輝はそれをジャンプして体制を横にしながらそれを避け縦に剣を振る。デュークはバックステップをして避け今度は剣を捨て光輝の胸に正拳突きを繰り出す。光輝もこの攻撃は避けれず大きく後方に吹き飛ばされる。
おそらくろっ骨が数本折れているだろう。
光輝はゆっくり立ち上がり呼吸を整える。しかしデュークがそれを待つはずもなく飛びながら剣を2本取り出し光輝に向けて投げる。光輝はこれをスライディングして避けると地面に手を突っ込み魔法を放つと地面が大きく爆発した。当然デュークは避けれるはずもなく爆発に巻き込まれる。そのまま後方に大きく吹き飛びビルに激突して止まる。光輝は再び呼吸を整えながらデュークを見るとデュークは全身血まみれで動いてはいなかったが息はあるようだった。光輝は遅い足取りでビルに飛んでいきデュークから数メートル離れた所で止まった。

「俺の負けか。」

「あぁそうだな。」
光輝は剣をデュークに向けるが殺す事にためらいトドメをさせずにいる。

「どうした?何も迷う必要はない。お前は勝者だ俺のことは好きにしろ。」

「そうかよ。じゃあな!」
そう言いながら光輝はデュークに向かって剣から光を突き飛ばす。

一瞬時が止まったと思った。そう思えるほど静かにだが確実に光輝の1撃は止められた。目の前で光輝の剣を人差し指・中指・親指で掴み取っているゼンによって。

「悪いな。この人は死なせられないんだ。」
ゼンは光輝に向かって静かにそう言う。光輝は左手を剣から離し光の魔法をゼンに向けて放つ。しかし魔法は放たれた瞬間消え去った。ゼンは光輝の方を見向きもせずデュークに寄り添う。

「大丈夫か?」

「お,お前,ホント,にゼ,ンか?」
デュークは途切れ途切れにそう言う。

「もう喋るなすぐ治してやるから。」
そう言いデュークを治そうとすると,

「させるかー!」
後ろから光輝がゼンを刺しに突撃した。
しかし聖剣さえもゼンに当たる前に消え去った。

「あ,あ,そ,そんなバカな!」
光輝は驚きながら後ろに下がっていく。
ゼンがデュークから離れるとデュークの傷はすでになくなり服さえ除けば戦争前の状態になっていた。

「どうする?お前がもう何もしないと言うのなら傷を治して聖剣も返してやる。」
光輝にとって聖剣は国から託されたものだ。そう簡単に無くしてはならない。光輝は悔しそうにしながらもおとなしくゼンに従い傷を治してもらい聖剣も返してもらった。

「さて,とりあえずここから出るか。」

「ち,ちょっと待てなんでお前ここに入れたんだ?」

「説明は全て終わってからするから今は何も聞かないでくれデューク。」
幻想世界をかき消すゼンを見ながらデュークはゼンに何が起きたか必死に考えていた。デュークから見たら別人としか思えないほどゼンは強くそして性格が変わっていた。
ゼンによって幻想世界がかき消され戦場に戻るとすでに戦場は戦場ではなくなっていた。
見ると戦場には誰もおらず草原に変わっていた。デュークも光輝も何が起きたか全く分からず周りを見渡しているとゼンが,

「それぞれ仲間に会いたいなら勇者は左に魔王は右に行けば会える。ちなみにもうお前らは戦えない。だからおとなしく戻るんだな。」
そう言われたので一応軽く戦ってみると攻撃は相手に全く通らずどこか遠くに飛ばされるようになっていた。

「おい,お前はどこにいくつもりだゼン!」
どこかに行こうとしてたゼンにデュークが聞くと,

「最後の戦いを止めてくる。これで死傷者はゼロになる。………魔物は助けられなかったが人は全員助けれた。終わらせるかこの意味のない戦いを。」
そう言うとゼンは山に向かって飛んで行った。
デュークと光輝はお互い何もできないためゼンに言われた通りおとなしくそれぞれの仲間の元に帰った。

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