わんもあちゃんす
狐と狸とロリ
ひらり、ひらり、舞う桜の花びらが止めどなくベランダに積もる春の夜。
季節感というのは不思議なもので、同じ気温でも夏の終わりと春の終わりでは体感温度が違う。
夏の終わりじゃ暑くてとても着ていられない長袖のシャツを着込み、俺こと北瀬畔はこれから夕食の準備である。
「っとぉ……青い狐と黄色い狸どこやったっけ……」
数日前に開かずの扉と化したシンク下収納は昨日おもいっきしぶち抜いた。
これにより、より快適に中を探すことが出来るのだ。
……虚しい。
「無いな……」
うん、ない。
いやでもおかしい。
数日前に買い置きはしておいた筈なんだけど……
「リ……バ……ボ……」
ん?
なんだ……なんかチキソラーメンでも食うような音がベランダの方から聞こえてくる……
「誰かいんのか……?」
不信感を抱いた俺は、忍び足でベランダの向かい、窓越しに外を覗く。
「バリボリバリボリバリボリ」
「……あ?」
そこに鎮座していたのは、白いキャミソールを一枚だけ着て俺のベランダに座り込む白髪の少女の姿だった。
しかも側には俺が先程まで探し求めていた狸さんと狐さんの残骸が転がっている。
彼女は部屋に背中を向けてなにかを食べている様子なので断定はできないが、手に持っているものは恐らく狐さんか狸さんかのどちらかだろう。
湯入れてから食えよ……
「ってそうじゃねえよクソガキてめえっ!」
我に返った俺は勢いよくベランダの窓を開け放つ。
「ひょえっ!」
その拍子に肩を震わせて変な声を出してしまっていた少女だったが、俺はお構いなしに言葉を続ける。
「人んちのベランダで人の飯食ってんじゃねえよ!
つか誰だよお前……!」
その言葉を受けた少女は俺の方をやっと振り返る。
「……あ」
圧巻された。
この世にここまで美しい顔立ちをしている人間がいるのだろうかと……本気でそう思った。
ロリコンとか幼女趣味とかそういう話ではないのだ。
世の男性は、いや女性さえも、彼女の美貌には見惚れるであろう。
そんな次元の話であった。
「……ごほっ!」
「え?」
「狐さ……ごほっ!
喉に……げふっ!
つまっ、っげ!」
「はぁぁ!?」
この時俺がこいつを家に入れないで救急車でも呼んでいれば、結末は変わっていたのだろうか……?
いや、恐らくまた不法侵入されるからそんなことはないか。
季節感というのは不思議なもので、同じ気温でも夏の終わりと春の終わりでは体感温度が違う。
夏の終わりじゃ暑くてとても着ていられない長袖のシャツを着込み、俺こと北瀬畔はこれから夕食の準備である。
「っとぉ……青い狐と黄色い狸どこやったっけ……」
数日前に開かずの扉と化したシンク下収納は昨日おもいっきしぶち抜いた。
これにより、より快適に中を探すことが出来るのだ。
……虚しい。
「無いな……」
うん、ない。
いやでもおかしい。
数日前に買い置きはしておいた筈なんだけど……
「リ……バ……ボ……」
ん?
なんだ……なんかチキソラーメンでも食うような音がベランダの方から聞こえてくる……
「誰かいんのか……?」
不信感を抱いた俺は、忍び足でベランダの向かい、窓越しに外を覗く。
「バリボリバリボリバリボリ」
「……あ?」
そこに鎮座していたのは、白いキャミソールを一枚だけ着て俺のベランダに座り込む白髪の少女の姿だった。
しかも側には俺が先程まで探し求めていた狸さんと狐さんの残骸が転がっている。
彼女は部屋に背中を向けてなにかを食べている様子なので断定はできないが、手に持っているものは恐らく狐さんか狸さんかのどちらかだろう。
湯入れてから食えよ……
「ってそうじゃねえよクソガキてめえっ!」
我に返った俺は勢いよくベランダの窓を開け放つ。
「ひょえっ!」
その拍子に肩を震わせて変な声を出してしまっていた少女だったが、俺はお構いなしに言葉を続ける。
「人んちのベランダで人の飯食ってんじゃねえよ!
つか誰だよお前……!」
その言葉を受けた少女は俺の方をやっと振り返る。
「……あ」
圧巻された。
この世にここまで美しい顔立ちをしている人間がいるのだろうかと……本気でそう思った。
ロリコンとか幼女趣味とかそういう話ではないのだ。
世の男性は、いや女性さえも、彼女の美貌には見惚れるであろう。
そんな次元の話であった。
「……ごほっ!」
「え?」
「狐さ……ごほっ!
喉に……げふっ!
つまっ、っげ!」
「はぁぁ!?」
この時俺がこいつを家に入れないで救急車でも呼んでいれば、結末は変わっていたのだろうか……?
いや、恐らくまた不法侵入されるからそんなことはないか。
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