《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

126話~エピローグ~

「それから、どうしたのです?」
 と、レフィール伯爵が尋ねてくる。



 領主館のレフィール伯爵の寝室だった。天蓋つきのベッドには薄いカーテンが引かれている。窓からさしいる風を受けて、カーテンが軽くなびいている。それと同時に、プラチナブロンドの滑らかな髪も揺られていた。



「魔王と戦って、氷漬けにしてやったんですよ
 と、セイはこたえる。



 魔王サタンと悪魔の雨のことは、後世まで言い伝えていかなければならない。そのためレフィール伯爵が記録をしるしているのだ。筆が羊皮紙の上をカリカリと進んでゆく。



「苦戦したでしょう?」
 おおいに苦戦した。



 しかし、やったことはタギールやマッシュを相手にしたときと同じだ。触れて、氷漬けにしたというだけだ。



「どちらかというと、その後のほうが大変でしたけど」



 魔王を氷漬けにすると、モンスターたちも一緒に溶けて行った。平和が訪れるかと思いきや、セイに吹き付けられたのは桃色の戦気である。都市サファリアの女たちは一丸となって、セイから子種をしぼろうと、目をモンスターのごとく輝かせていた。



「女たちに輪姦マワされましたか?」
 と、レフィール伯爵は鼻の頭にシワを寄せて微笑んだ。悪そうな微笑みだ。



「まさか」
 キュリンジ城にあわてて逃げてきたのだ。
 そこまで語ると、レフィール伯爵の筆がとまった。



「セイの英雄譚もこれで終わりですね。これからは、小作りに励んでいただかないといけません。エルフ族のピュラ・ピュラ。獣人族のニヤ・ノ・レ。蜥蜴族騎士長のティ・ティルが交渉に来ています」



「交渉?」



「表向きはこれからどう復興していくか――という問題ですが、どこの部族からは先にセイの子種をもらうかの交渉です」



 セイは苦笑した。
 大変そうだ。



 とはいえ、片っ端から女に襲われるという事態には陥っていない。1人5人までと決まりをもうけて、セイは上手く相手をしている。



「遠方の国からも、セイのウワサを聞きつけていろんな人がこのキュリンジに訪れてきます。交渉は私が行うので、セイは隠れていてください」



「はい」
 誘拐などの危険があるためだ。



「しかし、復興は苦労しそうですね」



 ロイラング王国の国王や王子も、みんなモンスターになってしまっているということだ。他国もだいたい同じような惨状のようだった。王妃や王女も、モンスターに襲われて死亡している国もすくなくはない。



「新しい命が芽生え、この世界も、少しずつもとの形に戻るはずです」



 レフィール伯爵はそう言うと、お腹に手を当ててやさしく微笑んだ。その腹には小さな命が宿っているということだ。



 本日は、晴天。
 雲ひとつない青空が広がっている。

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