《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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121話~シド・アラインの証言~

 手をにぎりしめて、思いきり開く。



 カールの薬がきいているのだろう。痺れていた手の感覚が戻りつつあった。足の指先にも意識を向けてみる。大丈夫だ。ちゃんと動く。



「助かった。無事に解毒できたみたいだ」



「気を付けなよ。あんたには――その――簡単に死なれると困るんだから」
 と、カールが照れ臭そうに言った。



「ああ」
 と、セイはうなずいた。



 冒険者ギルド。
 テルデルンがシドから話を聞いていた。



「今は緊急時だ。情報を秘匿したり、嘘偽りがあった場合には拷問もやむなしとする。そのときには、シラティウスくんに尻を叩かれる覚悟をしておけ」



 と、テルデルンがそう言うと、シドは青い顔をしてうなずいていた。そのシラティウスはムチを握りしめて、尋問の様子をうかがっている。



「まずザンザのことだ。君がザンザに化けていたということは、ホンモノのザンザはどこにいるのだ」
 と、テルデルンが問いかけた。



「馬屋の奥にいるのです。シドは不意を突いて、ザンザという女を拘束して放置してきたのです。シドは嘘は申しません」



 と、シドはシラティウスのほうに目を向けてそう言った。



「どこの馬屋だ?」
「この冒険者ギルドのすぐ隣にある馬屋です」



 冒険者のひとりに様子を見に行かせた。冒険者はすぐに戻ってきた。ザンザを連れていた。



「なら次の質問だ。どうしてザンザの姿に化けて、都市に潜入していたのだ」



「私の受けた命令は、フォルモル・ラレンチェとキリア・ユーナ。そしてクロカミ・セイを指定の場所に誘いだすこと」




 指定の場所というのはつまり、おのおの指示された場所のことだろう。



 フォルモルは東口の城門棟。
 キリアは副市のバービカン。
 そしてセイは、築城修道院。



 そこまで聞いて、セイはハッとした。



「もしかして、キリアやフォルモルも危険な目に遭っているということか!」



「フォルモル・ラレンチェのもとにはタギール・ジリアルが、キリア・ユーナのもとにはマッシュ・ポトトが向かっている。でも、それだけじゃない。あの2人は、〝完全印〟を魔王から貰い受けた」



「〝完全印〟……」
 レフィール伯爵から、すこし聞いている。



 手に入れると、人ではない完璧な存在になると言う。



「君も、それを貰い受けたのかね?」
 と、テルデルンはシドに問いかけた。



 いいえ、とシドはかぶりを振った。



「私は怖ろしいと思ったので、〝完全印〟をもらうのはやめておきました。だから、もらった2人がどうなったのかは、わかりません」



「やけに素直にしゃべるな。そんなに尻を叩かれるのが厭か」
 と、テルデルンは小さく笑ってそう言った。



「シドはただ、ドラゴンを倒すチカラが欲しかっただけです。シルベ教が何か恐ろしいことをしようとしている。そうとわかってシドは、すこし怖くなったのです」



 シドへの尋問はまかせて、セイはフォルモルとシラティウスの援護をしに行こうと思った。



 そう思ったやさきだった。



 轟音とともに、冒険者ギルドの屋根が破れた。誰かが落ちてきた。フォルモルだ。ハルバードを構えている。



「フォルモルッ。無事だったんですか!」



「あら。セイ。良かったわ。無事に解毒されたのね」
 と、フォルモルはハルバードを構えたまま、ニコリと微笑んだ。メイド服はボロボロに破れているし、ところどころ傷を負っている。



「フォルモルのほうも、無事でしたか」



「いちおうね。ただ、変なのに付きまとわれていてね」




 来るわよ――とフォルモルが言うと同時に、冒険者ギルドの壁を突き破って、黒い粘液が飛び出してきた。フォルモルはハルバードで粘液を断ち斬った。



「な、なんですか、これは」
 ギルド内にいた者たちが、総立ちになった。



「タギール・ジリアルだった存在――とでもいうべきなのかしらね」



 東口の城門棟がケルベロスによって破られ、タギールが突入してきた。それをフォルモルは返り討ちにした。返り討ちにしたは良いが、殺したらこんな姿になってしまったということだ。



 そのタギールが姿をあらわした。



「げッ」
 と、セイは思わず声をあげた。



 首から上がなかったからだ。首のかわりに黒い粘液があふれ出している。壁を突き破ってきた粘液は、どうやらその首から出ているようだ。



「おそらくあれが〝完全印〟の能力だと思われるのです。あの生命体はおそらく死にません――とシドは忠告します」



 と、シドが言った。

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