《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
120話~シラティウスの戦いⅡ~
不意にシドの振るったダガーが弾き飛ばされた。一本の棒が、シラティウスとシドの間に割り込んでいた。
「いい目覚ましになりましたよ」
そう言ったのはセイだ。
シドのダガーを弾いたのは、セイの槍だった。
「もう大丈夫なの?」
シラティウスは尋ねた。
「まだ若干、手足は痺れるけど、カールの煎じてくれた薬がきいたみたいだ。かなり動けるようになった」
「そう」
助かった。
ただ、セイに助けられたことに、すこし違和感をおぼえた。シラティウスは半分は人だが、半分はドラゴンだ。
同じ人族を見ていても、か弱い存在に見えることがある。それはフォルモルやキリアだってそうだし、セイのこともチッポケな存在に見える。自分が守ってあげなくちゃいけない存在に見える。だから助けられることに、違和感があったのだ。
「腐ってもドラゴンハンター。このシド・アライン。手足のしびれている男に遅れは取らないのです」
「いや。無駄な抵抗はよしたほうが良いぜ」
セイがアゴをしゃくって見せた。
テルデルンや《愛を求めるもの》が、シドの背後に構えていた。
「せめてシラティウスだけでもッ」
と、シドは新たにダガーを構えて、シラティウスのもとに駆けてくる。逆手に持って上段に構える。
さっきと同じ構えだ。
「おっと」
と、セイは槍の柄で、シドの胸を突いた。
「うっ」
と、シドがよろめいた。
「そんなに振り上げちゃ、隙だらけだぜ」
セイが足払いをかけると、シドはアッサリと転倒した。今だッ、とテルデルンが声をあげた。
《愛を求めるもの》の者たちが、シドのことをひっ捕らえた。シドはたちまち拘束された。
「尋問なら、私に任せて」
と、シラティウスが名乗り出た。
今まで散々、命を狙ってくれた詫びをしなくてはならない。この馬用のムチで尻を叩きまわしてやろうと思った。
「よせよせ。シドが怯えてるじゃないか」
顔を青くして、歯をカチカチと鳴らしていた。そういう顔をされると、イジメたくなるのだ。
「大丈夫。あれは演技だから、それに尋問は必要だから。尻の肉が裂けるまで、叩きのめしてあげるつもり」
「だから、よせって」
と、セイがシラティウスからムチを取り上げた。
「あ……」
「見かけによらずドSなんだよなぁ」
ホントウならムチを取り上げられたことで、すこしは苛立っていたかもしれない。けれど、今はあまり厭ではなかった。セイが無事だった。それが自分の胸の奥に、大きな安心を生んでいることに気づいた。
(彼がいれば……)
万が一、ドラゴンになって暴走しても、止めてくれる。チッポケな存在のくせに、シラティウスの心の中では、セイは大きな存在だった。
「いい目覚ましになりましたよ」
そう言ったのはセイだ。
シドのダガーを弾いたのは、セイの槍だった。
「もう大丈夫なの?」
シラティウスは尋ねた。
「まだ若干、手足は痺れるけど、カールの煎じてくれた薬がきいたみたいだ。かなり動けるようになった」
「そう」
助かった。
ただ、セイに助けられたことに、すこし違和感をおぼえた。シラティウスは半分は人だが、半分はドラゴンだ。
同じ人族を見ていても、か弱い存在に見えることがある。それはフォルモルやキリアだってそうだし、セイのこともチッポケな存在に見える。自分が守ってあげなくちゃいけない存在に見える。だから助けられることに、違和感があったのだ。
「腐ってもドラゴンハンター。このシド・アライン。手足のしびれている男に遅れは取らないのです」
「いや。無駄な抵抗はよしたほうが良いぜ」
セイがアゴをしゃくって見せた。
テルデルンや《愛を求めるもの》が、シドの背後に構えていた。
「せめてシラティウスだけでもッ」
と、シドは新たにダガーを構えて、シラティウスのもとに駆けてくる。逆手に持って上段に構える。
さっきと同じ構えだ。
「おっと」
と、セイは槍の柄で、シドの胸を突いた。
「うっ」
と、シドがよろめいた。
「そんなに振り上げちゃ、隙だらけだぜ」
セイが足払いをかけると、シドはアッサリと転倒した。今だッ、とテルデルンが声をあげた。
《愛を求めるもの》の者たちが、シドのことをひっ捕らえた。シドはたちまち拘束された。
「尋問なら、私に任せて」
と、シラティウスが名乗り出た。
今まで散々、命を狙ってくれた詫びをしなくてはならない。この馬用のムチで尻を叩きまわしてやろうと思った。
「よせよせ。シドが怯えてるじゃないか」
顔を青くして、歯をカチカチと鳴らしていた。そういう顔をされると、イジメたくなるのだ。
「大丈夫。あれは演技だから、それに尋問は必要だから。尻の肉が裂けるまで、叩きのめしてあげるつもり」
「だから、よせって」
と、セイがシラティウスからムチを取り上げた。
「あ……」
「見かけによらずドSなんだよなぁ」
ホントウならムチを取り上げられたことで、すこしは苛立っていたかもしれない。けれど、今はあまり厭ではなかった。セイが無事だった。それが自分の胸の奥に、大きな安心を生んでいることに気づいた。
(彼がいれば……)
万が一、ドラゴンになって暴走しても、止めてくれる。チッポケな存在のくせに、シラティウスの心の中では、セイは大きな存在だった。
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