《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
119話~シラティウスの戦いⅠ~
「これで、大丈夫だと思うんだが……」
そう言ってカールが薬を煎じてくれた。セイに飲ませた。セイは相変わらず眠り続けている。
宿。
ベッドで眠っているセイのまわりには、女たちが集っている。《愛を求めるもの》たちと、カール・セルヴィルとクロニル・セルヴィル。それからザンザとテルデルンだ。
「まさか、クロカミ・セーコがクロカミ・セイと同一人物だったとはな」
と、ザンザとテルデルンのふたりが唖然としている。
女たちはセイの身を案じているようだが、全身から桃色の熱気を放っていた。目の前に男が無防備に寝ている。男のほんのわずかな体臭が、この場にいる女たちをウツロにして、腰砕けにしてしまう。
「添い寝してあげようかしら」
なんて言い出す者までいる。
「体調が悪いんだから、ジッとしてあげて」
と、シラティウスはみじかく警告した。
ここにいる女たちがウットウシイ。シラティウスは苛立っていた。自分のペットが他人に取られてしまったような気になる。なるべく冷静になるようにしている。あまり怒ると、ドラゴンになってしまいかねない。
「ところでクロカミ・セイに毒を盛った者はどこへ?」
と、ザンザが尋ねてきた。
「隣室に拘束してる」
と、シラティウスが応じた。
「様子を見に行って来よう」
「私も」
ザンザとシラティウスは2人だけで隣室へと移動した。残された女たちが、セイに何かするのではないかと心配だった。だが、いくらなんでも毒で苦しんでいる男を相手に、イタズラは仕掛けないだろうと思った。
隣室。
セイが寝かされている部屋よりかは小さい。2人部屋だ。セイに毒を盛ったプラチナブロンドの女は、ベッドに縛り付けてある。大の字になってうつ伏せに寝ている。白くて大きな尻が真っ赤に腫れ上がっていた。ずっとすすり泣きを続けている。
「こ、これは?」
と、ザンザが眉をしかめて尋ねてくる。
「私がお尻を叩いた」
「何故?」
「誰の指図で毒を盛ったのか。他にもいろいろと聞きだしたいことがあったし、それに楽しかった」
尋問ではあったのだが、シラティウスは楽しんで行った。手を使うと痛いから、乗馬用のムチを馬小屋から持ってきて行った。
「もう、止めて。なんでも言うから」
と、女が悲痛な声をあげる。
この声を聞くと、シラティウスは胸の奥が軽く跳ねる感覚を受ける。他人をいたぶるのが好きなのだ。
「もう少し遊ばせてもらう。尻の肉が裂けるかもしれないけど、毒を盛ったんだから、これぐらいは我慢してもらう」
ひぃぃッ――と女が悲鳴をあげた。
「もう止せ」
と、ザンザがシラティウスの振り上げた腕を制止してきた。
「なぜ止める?」
「見ていて痛々しい」
ベッドに縛り付けられた女は、尻をヘコヘコと上下に降っている。
「あなたが裏切り者だから、その情報を引き出されるとマズイから――。違う?」
「なにを言っているのだ」
ザンザがつかんでいる手を、シラティウスは弾き飛ばした。
「まだトボけるつもり? もうとっくに情報は引き出している。フォルモルを東門に、キリアを副市のバービカンに行かせたのもあなた。そして、セイのことを築城修道院へ向かわせたのもあなた。マッシュ・ポトトを都市の中に招切れたのも、あなた」
シラティウスはムチを、ザンザに向けた。
「なるほど。すでに尋問は終了済みというわけですか、とシドは納得します」
ザンザの変装は溶けてゆき、シドの本性があらわれた。
「……」
「ここなら、あなたはドラゴンになれないでしょう」
シドはそう言うや否や、ダガーを抜きはらった。逆手に持って、上段から斬りかかってきた。
シラティウスはあわてて飛びずさる。ムチで応戦した。横に凪いだムチを、シドは屈んでかわした。身をかがめたまま疾駆してくる。ダガーを器用に手元で回転させて、順手に持ち替えていた。
軽くワキバラを斬られた。
「くぅ……」
痛い。
着ていたメイド服が血でにじんだ。
「前回はドラゴンになっていたから、相手にならなりませんでした。ですが、ここなら、私のほうが優位」
シラティウスは武芸はあまり得意ではない。ドラゴンになって、チカラで圧倒することだけが武器だった。
「父は私の母を捨てた。ドラゴンも男も大嫌いです――とシドは宣言します」
シドはふたたび逆手に構えて、シラティウスの首にダガーを突きたてようとしてきた。
(これは……)
避けれない。
ドラゴンになれば良い。でも、ここにドラゴンになったら、セイに被害がおよぶ。毒がきいているのだ。これ以上のダメージは与えたくない。
「く……」
シラティウスは歯ぎしりした。
そう言ってカールが薬を煎じてくれた。セイに飲ませた。セイは相変わらず眠り続けている。
宿。
ベッドで眠っているセイのまわりには、女たちが集っている。《愛を求めるもの》たちと、カール・セルヴィルとクロニル・セルヴィル。それからザンザとテルデルンだ。
「まさか、クロカミ・セーコがクロカミ・セイと同一人物だったとはな」
と、ザンザとテルデルンのふたりが唖然としている。
女たちはセイの身を案じているようだが、全身から桃色の熱気を放っていた。目の前に男が無防備に寝ている。男のほんのわずかな体臭が、この場にいる女たちをウツロにして、腰砕けにしてしまう。
「添い寝してあげようかしら」
なんて言い出す者までいる。
「体調が悪いんだから、ジッとしてあげて」
と、シラティウスはみじかく警告した。
ここにいる女たちがウットウシイ。シラティウスは苛立っていた。自分のペットが他人に取られてしまったような気になる。なるべく冷静になるようにしている。あまり怒ると、ドラゴンになってしまいかねない。
「ところでクロカミ・セイに毒を盛った者はどこへ?」
と、ザンザが尋ねてきた。
「隣室に拘束してる」
と、シラティウスが応じた。
「様子を見に行って来よう」
「私も」
ザンザとシラティウスは2人だけで隣室へと移動した。残された女たちが、セイに何かするのではないかと心配だった。だが、いくらなんでも毒で苦しんでいる男を相手に、イタズラは仕掛けないだろうと思った。
隣室。
セイが寝かされている部屋よりかは小さい。2人部屋だ。セイに毒を盛ったプラチナブロンドの女は、ベッドに縛り付けてある。大の字になってうつ伏せに寝ている。白くて大きな尻が真っ赤に腫れ上がっていた。ずっとすすり泣きを続けている。
「こ、これは?」
と、ザンザが眉をしかめて尋ねてくる。
「私がお尻を叩いた」
「何故?」
「誰の指図で毒を盛ったのか。他にもいろいろと聞きだしたいことがあったし、それに楽しかった」
尋問ではあったのだが、シラティウスは楽しんで行った。手を使うと痛いから、乗馬用のムチを馬小屋から持ってきて行った。
「もう、止めて。なんでも言うから」
と、女が悲痛な声をあげる。
この声を聞くと、シラティウスは胸の奥が軽く跳ねる感覚を受ける。他人をいたぶるのが好きなのだ。
「もう少し遊ばせてもらう。尻の肉が裂けるかもしれないけど、毒を盛ったんだから、これぐらいは我慢してもらう」
ひぃぃッ――と女が悲鳴をあげた。
「もう止せ」
と、ザンザがシラティウスの振り上げた腕を制止してきた。
「なぜ止める?」
「見ていて痛々しい」
ベッドに縛り付けられた女は、尻をヘコヘコと上下に降っている。
「あなたが裏切り者だから、その情報を引き出されるとマズイから――。違う?」
「なにを言っているのだ」
ザンザがつかんでいる手を、シラティウスは弾き飛ばした。
「まだトボけるつもり? もうとっくに情報は引き出している。フォルモルを東門に、キリアを副市のバービカンに行かせたのもあなた。そして、セイのことを築城修道院へ向かわせたのもあなた。マッシュ・ポトトを都市の中に招切れたのも、あなた」
シラティウスはムチを、ザンザに向けた。
「なるほど。すでに尋問は終了済みというわけですか、とシドは納得します」
ザンザの変装は溶けてゆき、シドの本性があらわれた。
「……」
「ここなら、あなたはドラゴンになれないでしょう」
シドはそう言うや否や、ダガーを抜きはらった。逆手に持って、上段から斬りかかってきた。
シラティウスはあわてて飛びずさる。ムチで応戦した。横に凪いだムチを、シドは屈んでかわした。身をかがめたまま疾駆してくる。ダガーを器用に手元で回転させて、順手に持ち替えていた。
軽くワキバラを斬られた。
「くぅ……」
痛い。
着ていたメイド服が血でにじんだ。
「前回はドラゴンになっていたから、相手にならなりませんでした。ですが、ここなら、私のほうが優位」
シラティウスは武芸はあまり得意ではない。ドラゴンになって、チカラで圧倒することだけが武器だった。
「父は私の母を捨てた。ドラゴンも男も大嫌いです――とシドは宣言します」
シドはふたたび逆手に構えて、シラティウスの首にダガーを突きたてようとしてきた。
(これは……)
避けれない。
ドラゴンになれば良い。でも、ここにドラゴンになったら、セイに被害がおよぶ。毒がきいているのだ。これ以上のダメージは与えたくない。
「く……」
シラティウスは歯ぎしりした。
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