《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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109話~築城修道院へ~

「はーい。セーコ」



 シラティウスとはいれかわりに、冒険者組合に入ってくる女の一団があった。《愛を求めるもの》アストランチアだ。そして先頭にいるのが、ゴウス・エインだ。



 亜麻色のベリーショートの髪をしているにも関わらず、女らしい色気を拭いきれていない。胸がでかいので、余計の女らしく見えるのかもしれない。



 他の女たちと違うのは、エインの肌はそんなに白くないということだ。健康的な小麦色の肌をしている。白い女には美しさを感じるが、エインのような肌にも健康的な魅力があった。



「ああ、どうも、お久しぶりです」
「しばらく会えなかったから、寂しかったよ。どこに行ってたんだい?」



 やたらとくっ付いてくる。
 いつもやフォルモルやキリアが、遮ってくれる。今日はカバーに入ってくる者が誰もいない。他の女たちも、やたらとセイにくっ付いてくる。この様子だとまだセーコのことを、セイだと疑っているのだろう。



「まあ、色々と……」



 数日前は蜥蜴族のところへ行っていた。戻ってきてからも、《愛を求めるもの》アストランチアは避けるようにしている。



「ザンザから聞いてると思うけど、築城修道院に取り残されている人たちの救出に向かう。一緒に行ってくれるね?」



「ええ」



「それじゃあ、決まりだ」



 エインはそう言うと、セイの頬に軽くキスをしてきた。「あ、エインだけズルい」「私もさせてよ」と女たちが押し合いへし合い、セイの頬にキスを仕掛けてきた。バレてる。男だって、ぜったいバレてる。



 でも、
「オレが男だって気づきました?」
 なんて尋ねられるわけがない。



 セイはされるがままになっていた。これから大事な作戦だというのに、頭がくらくらしてきた。



「ぐ、具体的な作戦を考えなくても良いんですか?」
 押し寄せてくる女たちを、押し返して、セイはそう疑問を口にした。



「だいたいは決めてるんだ」
 と、エインは続けた。



「副市の城門棟から築城修道院までは、道が伸びている。真っ直ぐ突き進んでいければ良いが、残念ながらそれは難しい」



「でしょうね」
 それはモンスターの群れのなかを、突っ込んで行かなければならない。



「そこで、河港門から抜けることにする。舟で水掘りから川の本流のほうへ向かう」




 都市サファリアの水掘りは、川から引いてきているものだ。



「流されません?」
 数日続いていた雨のせいで、だいぶ水かさもあがっている。



「流れが強くなる前に、陸地にあがる。たしか修道院にも舟着場があるはずだ」
 たしかに築城修道院は、川沿いにあったような気もする。



 記憶が曖昧だ。
 このあたりに来て日の浅いセイよりも、エインの言うことを信じるべきだろう。



「じゃあ、河港のほうに行きましょうか」



「身を隠して行くから、そんなに大きい舟は出せない。重い甲冑や盾は置いて行ってくれよ。最低限の武器だけにしてくれ」



「オレは問題ないですよ」



 常に槍一本だ。
 イザというときは、〝無限剣印〟でカラダから剣を生やすことができる。



「人数も制限する。ちょっと待ってくれよ」



 エインは《愛を求めるもの》アストランチアの中から、人を厳選しているようだ。どう考えても築城修道院の者を助けに行くというのは、危険な任務だ。が、どういうわけかみんな積極的だった。




「私が行くから、あんたは待ってなさい」「あんたのほうが待ってなさいよ」「2人とも待ってなよ、私が行くから」……と言い争いになっている。



 ホントウに事の重大さをわかっているのか、怪訝に思えてくる。口論のすえにエインを含めてメンバーは5人にしぼられた。セイもふくめれば6人だ。



「それじゃあ、この6人で、築城修道院救出作戦に入るよ」



 おー、と女たちが声をあげた。
 セイも小さく声をあげておいた。

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