《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

第98話~アムマイトを呼んだ者~

 アムマイトにも蜥蜴人にも言えることだったが、行動が非常に大振りだった。動きじたいは隙だらけなのだ。硬い皮膚と、強靭な肉体にたよった戦い方である。



 たとえるなら、プレートアーマーを装った重装騎士。そこに素早さがくわわったようなものだ。急所を狙って突く――という槍使いのセイにとっては、戦いにくい相手ではなかった。



〝怪力印〟と〝斬印〟さえ上手く働かせれば、どんな物質でも貫くことができる。



 フィーを見つけた。
 倒壊した藁ぶき屋根の中に、身をひそめていたようだ。



 セイの獅子奮迅の活躍と、蜥蜴族の協力によって、どうにかアムマイトを撃退することができた。



「さすがウワサにきく《キングプロテア級》の冒険者ですね」



「ありがとうございます」



 まるで戦場跡だった。
 藁ぶき屋根は倒壊して、何人かケガをしている蜥蜴人もいた。〝治療印〟を使ってやる必要があった。



 あまり人前で魔法をいくつも使いたくはないのだが、だからといってケガ人を見捨てるわけにもいかない。



「戦も強いうえに、変わった魔法まで使えるのですね」
 と、ティルは驚いていた。



 フィーも興味深そうにセイのことを見ていた。



「それより、アムマイトを呼び寄せていた者は、見つかりましたか?」



 いくつも魔法を使えることは、あまりセンサクされたくない。そう質問して、話をそらした。



「それがなかなか……」



「アムマイトを招き入れるような者に、心当たりはないのですか?」



 セイはさきほど、蜥蜴族のもとに来たばかりだ。どういう通貨を使っているのか。どういうコミュニティを築いているのか。まだまだ知らないことが多い。裏切り者を見つけ出せるほどの知識はなかった。



「残念ながら、私にも心当たりがありません」
 私も知らないとフィーは申し上げます、とフィーもつぶやいていた。



「すぐに見つけ出したほうが良いですね。また呼ばれたら大変なことになりますよ」



「しかし、簡単に見つけ出せるものではありません」



「そうですね」
「ひとまず、外の警戒を強めることにします」
「わかりました」



「セーコさまには申し訳ないのですが、もう少しここにとどまりください。残っているケガ人を治癒していただきたいのです」



 ティルがそう言って頭を下げた。
 他の蜥蜴人も頭を垂れる。



「もちろんです。私もすこしこちらに用事があるので、もう少しとどまらせていただきます」



 おー、と歓声があがった。
 オレはいま求められてるんだな――と実感できた。女性たちから求められるのもそうだが、今まで他人から熱望されたことなどなかった。他人から求められるというのは、うれしいものだなぁ――としみじみ思う。



 無傷の藁ぶき屋根を用意してもらった。重症の者はさきに手当をしたが、まだケガをしている者には、そこに来てもらうことにした。治療印で治すことにした。

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