《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
第88話~セルヴィル薬店~
シラティウスが戻っているかもしれない。そのことを考えてフォルモルとキリアには宿に戻ってもらった。
《セルヴィル薬店》
都市サファリアには石畳のストリートが伸びている。ストリートは都市中央広場から、城門棟まで伸びている。
すこし脇道にそれると、細い通路がいくつもある。その裏路地の一角に木造家屋の薬店があった。葉っぱの模様が刻まれた木造看板が出ていた。トビラ。ノック。返事がない。カギは開いていた。
カウンターテーブルがある。大量の植物がプランターに植えられていた。カウンターテーブルの奥には、6台のベッドが並んでいる。ベッドには少女がひとり寝かされていた。
青い髪をショートボブにした少女だ。
「ん?」
緑の髪を奔放に乱れさせた少女が、セイをみとめると、あわてて走ってきた。青い髪の少女とよく似た風貌をしている。背は小さい。シラティウスと同じぐらいだ。
「悪りィが今日は店はやってねェんだ。見てわかる通り、妹がケガをしちまってよ」
「ケガというのは、ドラゴンに襲われたっていう?」
「その通りだ。今、医者に診てもらってるが、かなり重症なんだ」
セイは室内を見渡した。
ベッドに寝かされている青いショートボブの少女が、物書きをやっているというクロニル・セルヴィル。そして今、セイの目の前にいるのが双子の姉であるカール・セルヴィルなのだろう。
白衣をまとった老婆がいた。
それが医者だ。
「オレが診ようか?」
「あんた、医者なのか?」
と、カールは驚いたような表情をした。
「医者ってわけじゃないけど」
もしかすると〝治癒印〟のチカラで治るかもしれない。
「医者じゃないないなら診ても無駄だ。都市サファリアでイチバンの名医に来てもらってるんだが、治りそうもないって言われた」
「ケガなんだよな?」
「白いドラゴンにやられた」
「いちおう診せてくれ」
〝治癒印〟は死んでさえいなければ、かなり深い傷でも治る。ただ、かなり稀少な印なので、世間には広まっていない。
ヒール教というフォルモルの親がやっていた宗派が浸透していれば広がっていただろうが、シルベ教に潰されてしまった。シルベ教の大学で医学をおさめたものが医者をやっているというのが実情だ。
「わかった。妹が助かるのなら、なんだってしてもらいたい」
通してもらった。
上半身を裸にした少女が寝かされていた。背中。おさない雪肌。えぐられていた。血がとめどなく出ており、骨が露出してしまっている。痛々しいを通り越して、グロテスクだ。さいわいにも臓器までは傷が届かなかったようだ。
「いかんな。ここまで深いと、どうしようもない」
と、医者と思われる老婆がつぶやいた。
「ちょっと失礼」
「何をするつもりじゃ?」
と、医者が尋ねてくる。
「魔法です」
セイは右手に治療魔法の白い光をまとわせた。やさしく少女の背中をナでた。たちまち傷がふさがってゆく。白い肉が再生されていった。完全に治った。荒かった少女の吐息が落ちついた。
「な、なんじゃ、そのチカラ?」
と、医者は目をみはっていた。
いくつもの魔法を使えることは、あまり他人に知られて良いことではない。〝英雄印〟の持ち主だと露見するおそれがある。
ナイショにしておいてください、と言った。
《セルヴィル薬店》
都市サファリアには石畳のストリートが伸びている。ストリートは都市中央広場から、城門棟まで伸びている。
すこし脇道にそれると、細い通路がいくつもある。その裏路地の一角に木造家屋の薬店があった。葉っぱの模様が刻まれた木造看板が出ていた。トビラ。ノック。返事がない。カギは開いていた。
カウンターテーブルがある。大量の植物がプランターに植えられていた。カウンターテーブルの奥には、6台のベッドが並んでいる。ベッドには少女がひとり寝かされていた。
青い髪をショートボブにした少女だ。
「ん?」
緑の髪を奔放に乱れさせた少女が、セイをみとめると、あわてて走ってきた。青い髪の少女とよく似た風貌をしている。背は小さい。シラティウスと同じぐらいだ。
「悪りィが今日は店はやってねェんだ。見てわかる通り、妹がケガをしちまってよ」
「ケガというのは、ドラゴンに襲われたっていう?」
「その通りだ。今、医者に診てもらってるが、かなり重症なんだ」
セイは室内を見渡した。
ベッドに寝かされている青いショートボブの少女が、物書きをやっているというクロニル・セルヴィル。そして今、セイの目の前にいるのが双子の姉であるカール・セルヴィルなのだろう。
白衣をまとった老婆がいた。
それが医者だ。
「オレが診ようか?」
「あんた、医者なのか?」
と、カールは驚いたような表情をした。
「医者ってわけじゃないけど」
もしかすると〝治癒印〟のチカラで治るかもしれない。
「医者じゃないないなら診ても無駄だ。都市サファリアでイチバンの名医に来てもらってるんだが、治りそうもないって言われた」
「ケガなんだよな?」
「白いドラゴンにやられた」
「いちおう診せてくれ」
〝治癒印〟は死んでさえいなければ、かなり深い傷でも治る。ただ、かなり稀少な印なので、世間には広まっていない。
ヒール教というフォルモルの親がやっていた宗派が浸透していれば広がっていただろうが、シルベ教に潰されてしまった。シルベ教の大学で医学をおさめたものが医者をやっているというのが実情だ。
「わかった。妹が助かるのなら、なんだってしてもらいたい」
通してもらった。
上半身を裸にした少女が寝かされていた。背中。おさない雪肌。えぐられていた。血がとめどなく出ており、骨が露出してしまっている。痛々しいを通り越して、グロテスクだ。さいわいにも臓器までは傷が届かなかったようだ。
「いかんな。ここまで深いと、どうしようもない」
と、医者と思われる老婆がつぶやいた。
「ちょっと失礼」
「何をするつもりじゃ?」
と、医者が尋ねてくる。
「魔法です」
セイは右手に治療魔法の白い光をまとわせた。やさしく少女の背中をナでた。たちまち傷がふさがってゆく。白い肉が再生されていった。完全に治った。荒かった少女の吐息が落ちついた。
「な、なんじゃ、そのチカラ?」
と、医者は目をみはっていた。
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