《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

第87話~怪我をした物書き~

 出汁巻き卵を食べて、カルボナーラをすすっていた。他の冒険者たちも少しずつ、ギルドにやってきた。朝食を食べている者もいれば、クエストボードを見つめている者もいた。トウゼンながら、全員が女性だ。



「そう言えば、今朝がた物書きがケガをしたらしいよ」
 と、不意にエインが話題を切り出した。



「こんなご時世に物書きがいるんですか」
 セイは、多少驚いた。



 物書きを軽んじるわけではない。むしろ不思議なことに、時代が陰惨で暗くなるほど、フィクションは求められる。物語を語る者は、牢獄でも人気になる。ただ、この状況でもめげずに物語を書いている者がいるというのは、意外でもあった。



「知らなかったの?」
 と、エインが意外そうな声をあげた。



「エインは知ってるんですか?」



「サファリアではかなり有名な物書きだよ。男性をいろいろとエッチな目に遭わせる物語なんだけど……」



「げほォ」
 食べていたカルボナーラをノドにつまらせてしまった。



「たしか〝英雄印〟を持つ男も物語に出てきたはずだよ」



「ぐはァッ」
 あわてて飲んでいた水も、吹き出してしまった。



「大丈夫かい?」
 と、セイの反応を面白がるように、エインは見ていた。



「その物語の中で、〝英雄印〟を持つ男はどんな目に遭わされてるんです?」



 私もちょっと興味あるんで、と怪しまれないように付け加えておいた。



「たとえばねぇ、縄で縛りあげて……」
「やっぱりいいです」



 あわてて遮った。
 聞かないほうが良さそうだ。



「そういう物語のひとつやふたつないと、やってけないんだよ。男がいないんだから」



 はあ、とエインは艶然えんぜんとした吐息を落とした。



「エインはそれを読んでるんですか?」
 セイは吹き出した水を、フォルモルがハンカチで拭き取ってくれていた。



 繊細な問題だったのかもしれない。エインはやや顔を赤らめた。



「私だけじゃないよ。みんな読んでるよ」
「みんな?」



 セイの服を拭いてくれているフォルモルの顔を見つめた。



「ええ。全巻買ったわよ。宿に置いてるもの」
 とフォルモルは平然とこたえる。



 こういうことに動揺しないのは、さすがフォルモルだ。



 キリアだって熱心に読んでるし――とフォルモルが付け加えると、今度はキリアが水を吹き出していた。



「わ、私は、気になってちょっと手に取ってみただけだ」



「あら、鼻息荒げて読み進めてたくせに」
 フォルモルがからかっている。



「ウルサイッ」
 キリアは顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。



 話がそれている。
 セイが軌道修正することにした。



「それで、どうしてその物書きがケガを?」



「ああ。なんだか、ドラゴンに襲われたとか――って話だよ。たしか《セルヴィル薬剤店》どことの双子じゃなかったかな。しかし、ドラゴンなんてホントウにいるもんなんだねぇ」



 エインは感心するように言った。



 ドラゴン――。
 気になる。



「ちょっと詳しく教えてもらっても良いですか?」
 と、セイは身を乗り出した。



「いいよ」
 と、エインは快くうなずいてくれた。



 クロニル・セルヴィルという物書きと、カール・セルヴィルという薬師がいる。双子らしい。2人は《セルヴィル薬店》という店を構えている。そこの妹であるクロニルがドラゴンに襲われたということだ。



「私が聞いたのは、それぐらいだよ」
 と、エインは話をむすんだ。



 白いドラゴンというのは、シラティウスのことだろう。



 その2人から話を聞いてみる必要がありそうだ。

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