《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

第85話~朝~

 たとえるなら、リンゴやモモの果実をタップリと吸わせたパン生地にくるまれているといったところか、あるいは、砂糖をふんだんに混ぜ込んだバターの海に溺れているとでも言うべきか……いや、何かにたとえるということが、おこがましいのかもしれない。



 宿。
 木造の簡素なつくりだが、4人部屋というだけあって、広さは充分だ。



 4台のベッドが並んでおり、端にはクローゼットが置かれている。クローゼットは開けっぱなしになっていて、みんなのブリオーがかけられている。敷居の低いパーテーションで区切られている向こうは居室になっている。



 セイはベッドの中で、のぼせていた。
 長湯したときのように、頭がクラクラする。



 右耳にはキリアの寝息が、左耳にはフォルモルの寝息が、やさしく愛撫するように吹き付けてくるのだった。セイの右腕にはキリアがしがみついている。左腕にはフォルモルがしがみついている。



 しかも2人とも服を着ていない。女体の柔肌がセイのカラダを包みこんでいる。フォルモルの肌は妙な吸引力がある。吸い付くような肌――というのは、こういうことを言うのだろう。大人の女の肌だった。一方、キリアは鉄のサラリとしている。それもまた男にはない質感だ。



「あの……。朝ですよ」
 めくるめく肉林のなかで、セイはつぶやいた。



 先に目を覚ましたのは、フォルモルだった。



「あら。ホントウね」



「なんていうか……くっ付きすぎじゃないですかね」



 夜はなんともなかった。



 景色が白々としてきたころ、気づくと2人がもぐりこんでいたのだ。愕然を通り越して、セイはボウ然としていた。



 淫靡な空気がたちこめているかのようだ。



「ちょっと寒くなってきたからね。霧のせいかしらね」



「暖炉に火を入れれば良いじゃないですか」
「手間だったから」



 だからといって、服を脱いでベッドに潜りこむことはないだろうに。



「私も同じだ。セイも寒いだろうと思ってな」
 いつの間にか起きていたキリアが言った。



 フォルモルとキリアは、各々の〝封印〟の件があってから、セイへの態度が一変した。いや。以前から嫌われてはいなかったと思う。だが、好意よりも1つ上の感情を向けられているような気がする。



 他の女たちとどうように、男が少数になったことで、女の本能が呼びさまされているのか。あるいは単純に、セイの株が上がったのか、どちらかはわからない。



「ふたりともわかってますか? 変な話ですけど、霧が出てるあいだはオレは、異性と交合するといった行為はできないんですからね」



「わかってるわよ」



「わかってるなら、こういうことは止めてください」



 照れ臭い。
 そのうえ、この状態で我慢しろというのは酷なものがある。拷問にもひとしい。



「でも、この騒動が収束したら、セイは世界中の女性とのあいだに子供を作らなくちゃいけないわけでしょう」



「ええ、まぁ……」
 そう言われている。



 理屈はわかるのだが、セイの想像を絶している。ホントウにそんなことになったら、死んでしまうんじゃないかとさえ思う。



「こうして独占していられるのは、今のうちだけだから。これって悲しいことだと思うの」



「別に死ぬわけじゃないんですから」



 フォルモルがさらにくっついてくる。



 やわらかい二つの双丘が押し付けられる。限りなくやわらかいのだが、適度な弾力を持っている。



 おっぱいというのは、ホントウに不思議だ。どうして似通った感触のものが、手近なところに見当たらないのだろうか。



 あばら骨の奥で、セイの心臓が躍動していた。



「別に交わらなくとも、処理を手伝うぐらいのことはできるでしょう」



 フォルモルが艶めかしい声でつぶやいた。



「それ以上は、いろいろとアウトです」
 枕をフォルモルの顔に投げつけた。

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