《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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第77話~ケイテ城・廊下~

 ロロナの証言では、マッシュ・ポトトがケイテ城に身を潜めているということだった。獣人族の〝封印〟を取り返すためにも、足を踏み入れる必要があった。



 しかし、またいつどこから亡霊が襲ってくるかわからない。警戒を怠ることはできなかった。



「傭兵団の亡霊を呼び出しているとすれば、それをやってるのは、マッシュ・ポトトというもと領主でしょうね」
 と、セイは言った。



 マッシュ・ポトトには霊をあやつる印がある。 その証言もロロナから聞きだしたものだ。



 城内に入っていた。
 暗い石畳の通路だった。石造りの蛇の腹のなかを歩いている心地だ。月光がない分、不気味な雰囲気は濃厚になっていた。だが、散乱した死体がないので、鼻をおさえる必要はなかった。



「セイ。すこし歩く速度を落としてはもらえんだろうか?」
 キリアがそう言った。



「やっぱり調子が悪いんですか」



「いや。そうではない。ただ、敵が亡霊となるとどこから跳びだしてくるかわからんだろう。警戒するに越したことはない」



「はぁ」



 足速に進んでいたわけではない。セイだって警戒はしている。曲がり角や、部屋の中は慎重に調べている。



 キリアは異様に及び腰になっていた。
 もしかして……と感づいた。



「亡霊が怖いんですか?」
「こ、怖くなんかないッ」



「怖いんですね」
「うぐっ」



 どうやら図星のようだ。



「父親の亡霊を呼び出して欲しい――とか言ってたくせに」



 すこしカラカってやろうと思って、そう言った。日頃、破廉恥だと言われている仕返しだ。



 胸ぐらをつかんできた。
 激しく前後に揺さぶってくる。



「それとこれとは話が別だろう。明るいところで父親の霊を呼び出すのと、亡霊が出ることがわかっている、こんな暗い通路を歩くのとでは、恐怖の度合いが違うに決まっているだろうが!」



 キリアの声が響いた。
 しーっ、と制した。
 すまん、とキリアは短く謝った。



「怖いんなら、日が昇ってから出直しますか?」



「そういうわけにはいかん。せっかく、マッシュ・ポトトがここに潜んでいるという情報をロロナから引き出せたのだ。亡霊がいるということは逆に、ヤツが逃げていないという証拠。逃げられては捕まえられん」



「ええ」
 もっともだ。



「ギャ」
 と、不意にキリアが叫び声をあげた。



 天井に人の顔が浮かび上がっていた。セイも悲鳴をあげそうになった。亡霊だ。手に剣を持って襲いかかってきた。その剣を槍で叩き落とした。亡霊のカラダに槍を突き刺そうとした。が、槍は空を切って、亡霊は霧散するように消えてしまった。



 手ごたえがない。
 ムダじゃ、とニヤが言った。



「亡霊は空気や水のようなものじゃ。実体を持たん。斬ろうと思って斬れるものではない」



「困りましたね」
 防御に徹するしかないわけだ。



「いっこくも早く、亡霊を操っているマッシュ・ポトトを探し出すことじゃな」

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