《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

第73話~取り調べ~

 良いことを思いついた――とニヤは、セイのことを牢屋に連れて行った。セイを捕まえるためではない。そこにロロナが捕まっているのだ。



 細い洞窟になっていた。



 大空洞と同じく瑠璃色の明かりが洞窟全体を照らしていた。左右には鉄格子のはめられた空間がある。



 檻だ。



 囚人と思われる人たちが捕まっている。罪を犯した者たちのいる場所だと思うからか、どことなく空気が禍々しく、よどんでいるように感じてしまう。



「ここはいちおう監獄として使われておるところじゃ。あのロロナとかいう暗殺者はイチバン奥の部屋に閉じ込めてある」



「どうするつもりなんですか?」



 人を何人も殺しているのであれば、死刑が妥当なところだ。しかしそれは人族のセイの価値観だ。獣人族がどういった法律を定めているのかは、セイはわからなかった。



「あのロロナという少女は、雇われた者に過ぎん」



 洞窟の中だから声が響く。
 ときおり囚人たちの「うぅ」とか「あぁ」といったうめき声が聞こえてくる。



「ええ」
「拷問して、雇い主を聞きだすべきであろう」



「ご、拷問ですか……」



 情報を引っ張り出すのに、そういった手法をとることもある。だが、あまり血なまぐさいことは好きではない。



 胃が重く沈むようなセイの感覚を、ニヤは敏感にかぎとったようだ。



「案ずることはない。痛いことはせん。でも少し、恥ずかしい目には合ってもらうかもしれんがな」



 ニャハハッ――とニヤはうれしそうに笑っている。



 まだセイにナめられた余韻を引きずっているようで、ニヤの頬は桃色に染まったままだ。



「ここじゃ」
 と、ニヤは脚をとめた。



 他の檻と同じように鉄格子のはめられた壁穴があった。鉄格子の奥にはロロナがいた。あの巨大な鎌はキリアの“怪力印”を利用した槍の一突きで破壊した。鎌がないとただの小さな女の子にしか見えない。



 土壁から鎖が伸びていて、両手をバンザイするようなカッコウで拘束されていた。真紅のドレスはつけたままだった。



 真っ赤な双眸ひとみが薄暗闇の中でかがやいていた。充血して濁ったような赤ではない。磨き抜かれたルビーのような赤だった。



 鉄格子を開ける。
 ニヤとセイは牢の中に入った。



「おう。なんなのだ? 拷問とか聞こえたのだ。やれるものならやってみろなのだ。私は今まで何度か敵に捕まったこともある。そういった類のことはされているのだ。鉄の靴をはかされたこともあるし、爪をはがされたことだってあるのだ」



 ロロナはそう言うと、拘束されていない脚を蹴り上げた。



 靴がセイの顔面めがけて跳んできた。
 受け止めた。



 ロロナの脚は幼い少女のものだったが、言われてみるとたしかに酷い傷が多かった。自業自得とはいえ、拷問の痕跡に間違いはない。



「うん……?」
 ロロナはセイの姿を見ると、ポカンと口を開けていた。



「あ……」



 セイは、女の姿に戻っていないことを思い出してあわてた。しかし、そのままで良い、とニヤが言った。



 どこからともなくニヤは縄を取り出した。暴れられないようにニヤの脚を縛ってしまった。両手をバンザイして、脚を固められて「Y」の字型になっていた。



「男――。そうか、お前が〝英雄印〟を持つ男なのか。いくつも魔法を使えたのは、そういうわけなのか!」



 男?
 男だって?
 と、他の檻からもザワつく気配がした。



 他の囚人からは顔が見えていないので大丈夫だろう。が、ロロナにはバレてしまった。男になったり、女になったりするのに忙しくて、ウッカリしていたのだ。


 そんな周囲の喧騒をよそに、ニヤは愉快気に笑った。



「さてさて、雇い主が誰なのか拷問で白状させてやろう」

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