《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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第65話~ニヤ・ノ・レ~

 ネ・リ族の里の族長が、キリアとセーコに会いたいと言っている。セイたちを牢にいれた虎女がそう言って、檻から出してくれた。縄で手を後ろ手に縛られた。



 しばし、歩いた。



 他の穴蔵とは違う大空洞に連れて行かれた。
 まず洞窟の入口が虎の顔に彫られていた。
 まるで虎の口の中に足を踏み入れるかのようだ。



「ついて来い」
 と、虎女はセイたちを大空洞の中に連れ込んだ。



 水の光が反射しているかのように、大空洞全体が瑠璃色のてかりを帯びていた。その大空洞の奥に、巨人の手のひらのような岩が置かれていた。これも削り彫ってつくったのだろう。どうやら獣人族というのは、石材をあつかうことに長けているようだ。



 立派な手だ。
 その手の平の上に1人の女性が寝そべっていた。



「うーっ。ヒクッ……。オメーらが、不審な人族とかいう連中か。うぃー。ヒック」



「えっと……」
 戸惑った。
 その人物の風体に目をみはったのだ。



 黒と白と茶の3色に染まった髪を長く伸ばしていた。しかも赤と青のオッドアイだ。着ているドレスにも極彩色がほどこされていた。ずいぶんと多色な人だ。頭部にはネコ耳がヒョコヒョコと動いていた。艶やかな女性だ。ネコ耳が独特な色気をかもし出していた。



「あー。ワラワのことは気にするな。ちゃんと頭は働いておるでなー」



 酒瓶が散らばっている。
 酒臭い。
 我に返ってセイは挨拶をした。



「都市サファリアから来た冒険者のクロカミ・セーコです。それからこっちは同じく冒険者のキリア・ユーナです」



「ワラワはこのネ・リ族をまとめておる8獣長が1人。ニヤ・ノ・レと言うものじゃ。ニヤと呼んでくれれば良い」



 ネ・リ族の里という命名からもわかるように、獣人というのは、あまり長い名前をつけたがらないようだ。



「獣人には獣人のナワバリがあるでな。平素であれば通していたやもしれんが、この事態じゃ。捕えたことは悪く思うでない」



「はい」



「〝英雄印〟がどうこうとホザいたヤツは、どっちじゃ?」



 ニヤはオッドアイをキリアとセイに向けてきた。酔っているのは演技だ。鋭い目線に当てられて、それがわかった。



「オレ……じゃなくて、私ですけど」
「ふーん。ちょっと近こう寄れ」



 言われた通り、セイは歩み寄った。



 ニヤは巨人の手のひらからおりると、セイに顔を近づけてきた。酒気を帯びた女の息が、セイの鼻腔を刺激した。



「オメーの印。見せてみよ」
 小声でそう言ってきた。



 この人にはウソは通じないし、今は嘘を吐くべきではない。そんな気がした。また檻の中に入れられるのはゴメンだ。



 セイは黙って舌を出した。



 ニヤはオッドアイを凝らすようにして、セイの印を見つめてみた。酒でたるんでいた表情がひきしまってゆく。



 セイの印に、ニヤは魅入られているかのようだった。



「なるほどな。女になって正体を隠しておるか。面白いやり方をする」
 それも小声だった。
 セイが男だと、ニヤは気づいたのだ。



 周囲には虎女たちが5人いた。
 その5人に聞こえないように配慮してくれているのだとわかった。酒を飲んでフザケたような態度をとっているが、悪い人ではないのだろうと思った。



「男だとバレると騒動になりかねないので」
「その通りじゃな」



 ニヤはふたたび酒に酔った口調に戻った。



「うにゃー。ワラワはこの者らとすこし話をする。オメーらは場を外せ」
 ニヤは周囲にいた虎女たちにそう命じた。



「し、しかし、この者たちはもしかすると、例の暗殺者かもしれません……」



「良いから、外せ。族長命令じゃ」



 ニヤが強い口調でそう命じると、虎女たちはしぶしぶといった様子で大空洞から出て行った。



「手荒いあつかいをして悪かった。まずは詫びねばなるまい」



「いえ」
「どれ、縄をほどいてやろう」



 ニヤがセイの手の拘束をといてくれた。



「ありがとうございます」



「ここには他に誰もおらん。ワラワに男の姿を見せてくれ」



 正体に気づいているのであれば、隠しておく必要もない。誰もいないこの場で、男である姿を見せて、セイたちが不審者ではないと実証しておくのが吉だろうと思った。セイは〝男女印〟のチカラを使って男に戻った。



 ニヤの笑みが深くなった。
 八重歯というには鋭すぎる動物らしいキバがのぞいた。



「ほお。なかなかいい男じゃな。しかもまだ若い。歳はいくつじゃ?」



「16です」
「16か。食べごろじゃなぁ」



 ニヤはそう言うと、セイのノドボトケに熱い感触を這わせた。ナめられたのだとわかった。



「な、なにするんですか!」
 ビックリしてセイは跳びあがってしまった。



「しーっ。静かにせんか。せっかく貴重な男じゃから。遊んでやろうと思うてな。良ければここで暮らすか? ワラワがペットとして可愛がってやるぞ。うん?」



 アゴの下をペロペロとナめてくる。



 いままでさんざん女性をナめまわしてきたのだが、まさかナめられる側に回るとは思わなかった。女性の粘液が、アゴの下に付着する感触があった。ヤケドするかと思うほど熱かった。



 ナめられたことによって、肋骨の内側にある心臓の高鳴りをおぼえた。



 お楽しみのところ申し訳ないのですが、私の縄もといてはくれませんか――とキリアが怒気をふくませた声で言った。



「おっと、嫉妬されたようじゃ」
 ニヤは笑みをふくんだまま動じることなく、キリアの縄もほどいた。

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