《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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第64話~檻~

 鉱山。



 草木は一本も生えていなかった。地肌や岩盤が露出していた。石造りの建造物がいくつか見受けられた。建物と建物のあいだには線路が敷かれていた。ネコ耳やイヌの尻尾を生やした者たちが、トロッコを押して鉱物を運んでいた。



 森の資源をエルフが守護しているなら、山の資源は獣人族が管理しているのだ。人はそれらの種族と交易をして、物資を手に入れていた。



「このあたりは霧はマシみたいですね」
「そうだな」



「それにモンスターも見当たりません」
「ああ」



 セイの言葉に、キリアが短く応じた。



 人の都市のように城壁で囲まれているわけではなかった。けれど、縄張りのようなものがあるのかもしれない。上半身は虎だが、下半身が人間の屈強そうな女が槍を向けてきた。



「ここは我らネ・リ族の里だ。人のメスがなんの用か」



 周囲にいた獣人たちも怪訝な目で、セイたちを見ていた。



 セイは、男であることを隠して事情を説明した。獣人族の〝封印〟について何か異常はなかったかと問うた。虎女は困惑したような表情をしていた。



「なにゆえ〝封印〟のことを知っているのかは知らんが、〝封印〟については一族の秘密だ。他種族に話すわけにはいかない。獣人族は今、いろいろと立て込んでいるのだ。立ち去られよ」



 ロイラング王国のレフィール伯爵の騎士だと身分を明かしても、サファリアの冒険者ギルドの者だと説明しても、「立ち去られよ」の一点張りだった。


 セッカクここまで来たのだ。「はい、そうですか」と引き返すわけにはいかない。



「8獣長に挨拶だけでもさせてはもらんか?」
 と、キリアが言った。



 8獣長の名前を出すと、虎女はコハク色に透き通った目を泳がせた。何か隠している。そういう目だった。



「8獣長に会わせるわけにもいかん」



「挨拶ぐらいは良いだろう。我らは獣人族に害をなす存在ではない」
 キリアはやや威圧的な態度で言った。



 虎の姿をした女性にも迫力があったが、キリアも負けてはいなかった。



「ダメだと言ったら、ダメなのだ」
 虎女は弱っているようだったが、主張は曲げなかった。



「ならば、〝英雄印〟を持つ者でも通さんと言うつもりか?」



 ちょっと――とセイは口をはさんだ。



 セイが〝英雄印〟を持っていることは秘密だ。バレたら、女装している意味がない。キリアもつい勢いで言ってしまったのだろう。シマッタという顔をしていた。



 虎女は、ふん、と獣じみたその鼻で笑った。



「そんなハッタリが通じると思ったか。〝英雄印〟を持つ者は、かならず男であるはずなのだ。貴様らどうも怪しいな」



「怪しい者じゃないですよ。このようにほら、冒険者ギルドの証明書もありますし」



「そのような人族の証文が信用できるか」
 ひっ捕らえよ――と虎女が言った。



 すると同じく虎の風貌をした女たちがやってきて、セイとキリアはたちまち捕えられることになった。獣人族相手に暴力を振るうわけにもいかない。大人しく捕まるしかなかった。



 鉱山にはいくつも壁穴が掘られていた。そのうちの1つに鉄格子のつけられた穴があった。牢屋だ。セイとキリアは放り込まれることになった。



 クマのネグラに鉄格子をはめただけのような雑な牢屋だった。2人入るとイッパイになって、他の囚人の姿はなかった。



「男の姿に戻って見せた方が良いでしょうか?」



「男の姿に戻ってみろ。それこそ牢から出してくれないぞ」



「どうしてです?」
 キリアは苦笑して応じてくれた。



「女の獣人たちが押しかけて、しぼられるだけ搾られるに違いない。獣人は性欲が人よりも強いそうだからな。発情期には見境なく男を襲うと聞いたこともある」



「へぇー」



 こうして牢に入っていても、鉄格子の向こうに獣人たちの姿が見える。なかにはネコ耳を生やしているだけで、人間と大差のない者もいた。ウサミミを生やしている半裸の女性もいた。



「たしかに、なんか人間よりエッチそうですねぇ」



 見ていると、軽く頭をたたかれた。



「変な目で見るんじゃない」
「すみません。――しかし、これからどうします?」



「困ってしまったな。この程度の鉄檻は簡単にへし曲げることが出来るが、そんなことをすれば、また不審者あつかいされそうだしな」



 キリアはそう言うと、鉄格子にデコピンした
 キンと、鉄棒とキリアの爪のブツかる音が響いた。



「ところでキリアがさっき言ってた。8獣長というのは?」



「ああ。獣人たちの里を統べる者たちだ。〝封印〟を持っていたのは誰かは知らん。だが、獣人たちは8つの里を持ち、8人の族長をたてているはずだ」



「なら、このネ・リ族の里にも1人の族長がいるということですか?」



「いるはずだがな」
 と、キリアは首をかしげていた。



 檻に閉じ込められたことにたいしては、それほど危機感をいだいていなかった。キリアの言うように強引に出ようと思えば、出られるのだ。問題は獣人族たちから、〝封印〟についての話をどう聞き出すかだ。

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