《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

第58話~幕間Ⅱ~

 メイドたちの目を盗んで、無事にセイを自室に誘い込むことができた。レンガ調の部屋だった。暖炉がある。今まであまり使っては来なかったが、雨が降るようになってからは日々利用している。



 薪をいれて火をつけた。この雨で湿気っているせいで、炎の猛りが弱かった。薪を湿気らせない工夫が、これからは必要になってくる。



 バスタオルを用意してセイの濡れた頭を拭いてあげた。そうすることでまるで自分が恋人になったような錯覚をおぼえた。



 セイはすこし恥じらうように、「自分で拭きますよ」と言った。



「今日の昼間は世話になったな。ドラゴンになってケルベロスを倒すさまは、見事だった」



「いえ」
「それで、君はどうしてここに?」



「イティカさんの、印のチカラをもらえないかと思いまして」



「印?」



 セイは舌を出した。
 真っ赤な舌には、六芒星の印が刻まれていた。



〝英雄印〟は他人の印と重ねることで、その能力をコピーできるのだと言った。



「私の印と重ねようということか?」



「はい。心配はいりません。それでイティカさんがチカラを使えなくなるということはありませんので」



「そうか……」



 この青年になら、印をゆずっても良いと思った。しかし同時に、躊躇もあった。イティカの印は内腿にあるのだ。そしてセイの印が舌にあるというのなら、いったいどういった行為がなされるのかは想像がつく。



(男に内腿をナめさせるということか)



 あまりに淫らな行為だった。想像するだけで赤面をおぼえる。もし、雨が降る以前ならば絶対に許さなかっただろう。



「すこし待ってはもらえないか? 風呂に入ってくる」



「はい」



 セイを置いて部屋を出ようとした。戻ってきたときにセイがいなくなっていたら、どうしようかと不安になった。



 誰かに見張らせておくというわけにもいかない。独り占めしておきたかった。誰の目にも触れさせたくなかった。



「その……。ちゃんと部屋で待っていてくれ」
「待ってますよ」



「うむ」



 帝国騎士長のころに持っていた、騎士の魂はもう残されていなかった。イティカはひとりの女になっていた。

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