《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

執筆用bot E-021番 

第43話~エルフの目覚め~

「ただいまー」
 と、フォルモルたちが部屋に戻ってきた。その頃には、暖炉の火が猛り、セイのカラダも温もり乾いていた。湯上りの女たちからは、普段よりいっそう強い甘い匂いが放たれていた。



「遅かったじゃないですか」
「女にはいろいろとあるの」
 と、フォルモルに鼻先を指ではじかれた。そう言われると、セイは何も言えない。



「それで、エルフちゃんの様子はどう?」



 フォルモルはタオルで髪を乱暴に拭きながら尋ねてきた。フォルモルは髪を短めにしている、キリアやシラティウスに比べれば洗いやすそうだ。



「相変わらず眠ってますよ」
「襲わなかったみたいね」
「襲いませんよ!」



 ふふふ、とフォルモルは軽く笑ったが、ふいに真剣な表情になった。



「レフィーさまのほうから、何か連絡があった?」



「いえ。何も」



「調べものに没頭してるのかしらねぇ。一度、熱中し出すと止まらない人だから、心配だわ」



 フォルモルはアゴに人さし指を当てて、明後日のほうを見ていた。



「あのー」



 聞きなれない声がした。色気の帯びられていない、素朴な声音だった。シラティウスの声かと一瞬思ったが違った。シラティウスはまだ濡れている髪を乾かすこともなく、ベッドにもぐりこんでいる。エルフが上体を起こしていた。



「目が覚めたか?」
「はい」



「悪い。騒いで起こしちまったのか?」
 と、セイはなるべく気さくに見えるよう話しかけた。



「私はいったい」
 エルフは不思議そうに部屋を見渡していた。事態を呑み込めていないのだろう。



 街道に跳びだしてきたところを、拾ったのだと事情を説明した。



「ここは都市サファリアですか?」
「ああ」



「ちょうど良かった。実は冒険者のかたに頼みたいことがあったのです」



「ケルベロスか?」
 率直に問いかけてみた。
 当たり。
 エルフの瞳が大きく見開かれた。



「どうしてそれを?」



「うなされてたから、もしかしたらと思ってな。それより体調のほうはもう良いのか?」



 言われてはじめて気づいたように、エルフは自分のカラダを確認するようにした。



「ええ。もう大丈夫みたいです」



「なら、良かった。どうして傷だらけで街道に跳びだしてきたのか、事情を聞かせてくれないか? 何かチカラになれるかもしれない」



「はい」



 ケルベロスに襲われたこと――そしてそれは、この悪魔の雨にも関することなのだ――と、エルフは訥々と語りはじめたのだった。

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