《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
第38話~男×女~
ガタゴトガタゴト
ガタゴトガタゴト
ふたたび馬車が走っている。
前身を自警団とする、都市サファリアの冒険者ギルドに行ってみようということで話はまとまっていた。
「エルフさんは、まだ起きないみたいですね」
空席をベッドに、馬車の揺れをものともせずに気絶している。ときおり「ヘルヘロ……エロエロ……」だとか変な言葉をつぶやいている。何を言っているのかはハッキリ聞き取れない。
「治癒魔法で体調は回復しているはずだから、寝ているだけだとは思うけどね」
と、フォルモルが言った。
と、こ、ろ、で――とフォルモルが一言一句を強調するように言葉を続けた。
「なんです?」
「サファリアについたら男の姿でウロウロするわけにはいかないわよ。わかってる?」
「えぇ……」
いまだ生き残っている数少ない男性だという目で見られるということだ。
「冗談で言ってるんじゃないわよ。下手したら誘拐されたり、路地裏で連れこまれて輪姦されるかもしれないのよ」
「オレは男ですよ。女性に輪姦されるなんてこと……」
「なかには優れた魔法を使う者もいるかもしれない。女の姿になっておくことをオススメするわ」
フォルモルの意見はもっともだ。
筋が通っている。
仮にその話がオオゲサだったとしても、女性に変身していれば目立つことはない。問題なのは、セイの心だ。女性のカラダになってみたいという気持ちもあるが、恥ずかしいという感情もあった。
セッカクもらった能力なんだから、使わなくちゃ損よ――とフォルモルが急かしてきた。
「じゃあ、やってみます」
目をつむる。
自分のカラダが女性になっていく想像をした。カラダの輪郭が曖昧になっていく感触をおぼえた。
目を開ける。
胸がやわらかい肉で盛り上がっていた。あと股間にもゆとりが生まれた。肉付きが女性になったのか、着ていたブリオーに違和感があった。イチバン大きく変わったのは髪だ。色は黒のままだが、長く伸びている。キリアと同じぐらいだ。
あら――とフォルモルが唖然としていた。
キリアとシラティウスも呆けたような顔をしている。
「な、なんですか。変な目で見ないでくださいよ。……ゲッ」
声まで高くなっている。
自分の声なのに、他人がしゃべっているみたいだ。
「貴殿……。女性のほうが似合っているのではないか? あまり言いたくはないが、かなり美しい容貌をしているぞ」
キリアがそう言った。
「そうですか」
ぜんぜんうれしくない。
都市サファリア。自治都市とはいえ、堅牢な城壁に囲まれていた。水掘りに囲まれていて、悪魔の雨のせいかかなり水位が上がっている。水も茶色く濁っていた。このまま雨が降り続いたらいずれは、水があふれてしまうだろう。
都市とは別にすこし離れたところに副市があるのも見てとれた。城門棟があって、武装した女性が立っていた。その女性がどこかの騎士なのか、あるいはこの自治都市の冒険者なのかはわからなかった。
「大きい都市ですね」
「もとはと言うと、交易で発展した都市だからね。この雨が降る前までは、たくさんの商人が行き交っていたはずだけど……」
今は言うほど人の出入りはなかった。
衛兵から積荷のチェックだけ受けたが、たいした荷物はなかったので、スンナリと都市の中に入ることができた。その際に、冒険者ギルドの場所を聞いた。ストリートを真っ直ぐ行くとあるということだったから、すぐに見つけることが出来そうだ。
ストリートを馬車で進んだ。
モンスターが暴れている様子はななかったし、肉や血で汚れているということもなかった。冒険者の活躍によって、モンスターたちは都市から追い出されたのかもしれない。
「さて。一度、二手に分かれるとしましょうか」
と、フォルモルが提案した。
「どうしてです?」
「このままエルフちゃんを連れ回すわけにはいかないし、宿も取っておきたいでしょう」
「あぁ、そうですね」
「エルフちゃんと宿は、キリアとシラティウスに任せるわ。私とセイちゃんは、冒険者ギルドに行きましょう」
フォルモルは、「ね、セイちゃん」と強調するように確認してきた。
セイはいま、女の姿になっているのだ。
自分の胸元が大きく膨らんでいることに、いまだ戸惑いを隠せなかった。
「〝ちゃん〟はやめてくださいよ」
「いいじゃない。お似合いよ」
「じゃあ、オレはフォルモルのことを、フォルモルおばさんって呼びますよ」
と、応酬してやった。
フォルモルは艶然とほほえんでいる。
「あら。私がおばさんなら、セイお嬢ちゃんのことをシッカリ面倒見てあげるわよ。女物の下着でも見繕ってあげましょうかしら」
と、こう返してきた。
フォルモルは口が上手いのだ。
「ごめんなさい。お姉さん」
「反省できてよろしい。でも女のカッコウをしてるのに、男物の下着なんて変な感じね。まぁ、レフィーさまみたく下着をつけないよりかは良いけど」
「え!」
変な声が出た。
とんでもないことが聞こえた気がする。
「おしゃべりしてないで、さっさと冒険者ギルドに行きましょう」
フォルモルはそう言って、キャリッジを出た。
ガタゴトガタゴト
ふたたび馬車が走っている。
前身を自警団とする、都市サファリアの冒険者ギルドに行ってみようということで話はまとまっていた。
「エルフさんは、まだ起きないみたいですね」
空席をベッドに、馬車の揺れをものともせずに気絶している。ときおり「ヘルヘロ……エロエロ……」だとか変な言葉をつぶやいている。何を言っているのかはハッキリ聞き取れない。
「治癒魔法で体調は回復しているはずだから、寝ているだけだとは思うけどね」
と、フォルモルが言った。
と、こ、ろ、で――とフォルモルが一言一句を強調するように言葉を続けた。
「なんです?」
「サファリアについたら男の姿でウロウロするわけにはいかないわよ。わかってる?」
「えぇ……」
いまだ生き残っている数少ない男性だという目で見られるということだ。
「冗談で言ってるんじゃないわよ。下手したら誘拐されたり、路地裏で連れこまれて輪姦されるかもしれないのよ」
「オレは男ですよ。女性に輪姦されるなんてこと……」
「なかには優れた魔法を使う者もいるかもしれない。女の姿になっておくことをオススメするわ」
フォルモルの意見はもっともだ。
筋が通っている。
仮にその話がオオゲサだったとしても、女性に変身していれば目立つことはない。問題なのは、セイの心だ。女性のカラダになってみたいという気持ちもあるが、恥ずかしいという感情もあった。
セッカクもらった能力なんだから、使わなくちゃ損よ――とフォルモルが急かしてきた。
「じゃあ、やってみます」
目をつむる。
自分のカラダが女性になっていく想像をした。カラダの輪郭が曖昧になっていく感触をおぼえた。
目を開ける。
胸がやわらかい肉で盛り上がっていた。あと股間にもゆとりが生まれた。肉付きが女性になったのか、着ていたブリオーに違和感があった。イチバン大きく変わったのは髪だ。色は黒のままだが、長く伸びている。キリアと同じぐらいだ。
あら――とフォルモルが唖然としていた。
キリアとシラティウスも呆けたような顔をしている。
「な、なんですか。変な目で見ないでくださいよ。……ゲッ」
声まで高くなっている。
自分の声なのに、他人がしゃべっているみたいだ。
「貴殿……。女性のほうが似合っているのではないか? あまり言いたくはないが、かなり美しい容貌をしているぞ」
キリアがそう言った。
「そうですか」
ぜんぜんうれしくない。
都市サファリア。自治都市とはいえ、堅牢な城壁に囲まれていた。水掘りに囲まれていて、悪魔の雨のせいかかなり水位が上がっている。水も茶色く濁っていた。このまま雨が降り続いたらいずれは、水があふれてしまうだろう。
都市とは別にすこし離れたところに副市があるのも見てとれた。城門棟があって、武装した女性が立っていた。その女性がどこかの騎士なのか、あるいはこの自治都市の冒険者なのかはわからなかった。
「大きい都市ですね」
「もとはと言うと、交易で発展した都市だからね。この雨が降る前までは、たくさんの商人が行き交っていたはずだけど……」
今は言うほど人の出入りはなかった。
衛兵から積荷のチェックだけ受けたが、たいした荷物はなかったので、スンナリと都市の中に入ることができた。その際に、冒険者ギルドの場所を聞いた。ストリートを真っ直ぐ行くとあるということだったから、すぐに見つけることが出来そうだ。
ストリートを馬車で進んだ。
モンスターが暴れている様子はななかったし、肉や血で汚れているということもなかった。冒険者の活躍によって、モンスターたちは都市から追い出されたのかもしれない。
「さて。一度、二手に分かれるとしましょうか」
と、フォルモルが提案した。
「どうしてです?」
「このままエルフちゃんを連れ回すわけにはいかないし、宿も取っておきたいでしょう」
「あぁ、そうですね」
「エルフちゃんと宿は、キリアとシラティウスに任せるわ。私とセイちゃんは、冒険者ギルドに行きましょう」
フォルモルは、「ね、セイちゃん」と強調するように確認してきた。
セイはいま、女の姿になっているのだ。
自分の胸元が大きく膨らんでいることに、いまだ戸惑いを隠せなかった。
「〝ちゃん〟はやめてくださいよ」
「いいじゃない。お似合いよ」
「じゃあ、オレはフォルモルのことを、フォルモルおばさんって呼びますよ」
と、応酬してやった。
フォルモルは艶然とほほえんでいる。
「あら。私がおばさんなら、セイお嬢ちゃんのことをシッカリ面倒見てあげるわよ。女物の下着でも見繕ってあげましょうかしら」
と、こう返してきた。
フォルモルは口が上手いのだ。
「ごめんなさい。お姉さん」
「反省できてよろしい。でも女のカッコウをしてるのに、男物の下着なんて変な感じね。まぁ、レフィーさまみたく下着をつけないよりかは良いけど」
「え!」
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