《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする

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第8話~キュリンジ城~

 レフィール伯爵が領主として保有しているキュリンジという領地。そこも悪魔の雨によって被害が出ているようだった。



 男はモンスターになり、女を襲っていた。
「これでも、被害は最小限におさえられたわ」
 と、フォルモルは言った。



 悪魔の雨が降るかもしれない――ということを、レフィール伯爵は予想していたらしく、あらかじめ対策を取っていたそうだ。



「どうぞ、こちらへ」
 セイはメイドたちに案内されて、城内の一室に案内された。



 応接間だろうと思われた。暖炉があり、ソファが置かれていた。暖炉の上には、いろんな装飾品が無造作に置かれていた。



 そこでしばらく待つように言われた。



 1人になった。
 アーチを描いた巨大な窓があった。その窓から都市をヘイゲイすることができた。キュリンジ城はどうやら、内郭、外郭とふたつの城壁があり、さらにその外を木造の防御柵で囲んでいるようだ。



「どうですか。キュリンジ城は?」
 声をかけられた。



 レフィール伯爵が戻ってきたようだ。プラチナブロンドの長い髪が濡れている。ほわほわと湯気を立てていた。ブリオーから純白のドレスに着替えなおしていた。



 やはりこの人は美人だ。



 フォルモル、キリア、シラティウスの3人もうつくしかったが、レフィール伯爵は別格だった。



「また風呂に行ってきたんですか?」



「だって、濡れたんですもの」
 と、頬をふくらました。
 パン生地のような白い頬がぷーっと膨れた。



「そうですね。それにしても、この非常事態で被害をおさえられたというのは、スバラシイ采配ですね」
 素直に感心した。



 レフィール伯爵は照れたようで、
「雨が降ったら男たちは家にこもるように、女たちはいつでも、城内に入れるように対策を取っていたのです。モンスターとなった男たちは、城壁があるので簡単には入って来られないはずです」



「この雨を予想できたんですか?」



「言ったでしょう。私は神話に興味があり、いろいろと調べていたのです。国王にも進言していたんですが、オカルトだと一蹴されていました」



 悪魔の雨など、オカルトだと思われてもオカシクはない。まさか、こんな事態になるなんてセイだって、想像だにしていなかった。



「この雨は、直接触れなくとも、男をモンスターに変えてしまうんでしょうか?」



「いえ。触れなければ大丈夫のはずです。セイは別ですが」



「それで、ここはモンスターが少ないんですね」



 男たちは家の中に避難している。濡れなければ、モンスターにならなくて済む。



「さて、クロカミ・セイ」
 レフィール伯爵は急にあらたまった調子で、そう切り出した。



「なんでしょう?」



「このタイミングで〝英雄印〟を持つ者と出会えたのは幸いでした。神話について調べていた私と、〝英雄印〟を持つセイと、この出会いは運命的ですよ」



「はぁ」
 レフィール伯爵は、セイのことを特別な存在だと決めつけているようだった。だが、セイにはその実感がなかったので、曖昧な返答になった。



「セイがやるべきことは、わかっていますね?」



「へ?」



「なにをトボけた顔をしているのですか? セイはあの英雄ハーレムと同じ印を持っているのですよ。選ばれし男なのです」



「はぁ」
 そんなこと言われても困る。



 ずっと一兵卒として雑務をこなしてきた身だ。しかも、今朝がたクビになったところだ。



 「新しい職を探さなくてはなりませんねぇ」
 やるべきことと言えば、それぐらいだ。



「違いますッ。職なんてどうとでもなるでしょう。なんなら私が雇いましょう」



 レフィール伯爵はソファの上に置かれていたクッションを振り回して、そう言った。


 
「え! よろしいんですか」



「むしろ、雇われてください。そんなことは、どうでも良いのです。あなたはこの世界を救うカギになります」



「オレが……ですか?」



「〝英雄印〟は他人の魔法すら学習することができるのです。そして私のメイドたちは、強力な印を持つものばかりです。実際、神話に登場する英雄王ハーレムはあらゆる女たちの魔法を学習して、世界に平和をもたらしたのです」



 そして英雄王は、世界中の女と交合をくりかえして、子孫を繁栄した――という経緯がある。神話の中では、男は絶滅していたのだ。



 この雨が降り続くなら、この世界も同じ道をたどる可能性も皆無ではない。



「それはつまり、女たちをナめ回せ――ってことですか?」



「下品な言い方をすれば、そうなります」



「そんなことをしても良いんですかね……」
 ナめられる相手が素直に承諾してくれるとは思えない。



「それは、セイの手腕しだいです。私の配下の女騎士兼メイドの3人がいます」



「あぁ、さっきの――」
 フォルモル、キリア、シラティウスの3人のことだろう。治癒魔法。筋力増強魔法。そしてドラゴンに変身する魔法だ。



「彼女たちを説得して、印を重ねてください。そのときには、セイはこの世界において最強の英雄になっているはずです」



 理屈はわかる。



「それはオレが説得しなくちゃいけないんですか? 伯爵の命令でなんとかなりませんか?」



「あんな恥ずかしい思いをするのですから、本人から直接説得してもらわなくてはなりません。多少はお手伝いできるかもしれませんが」



 レフィール伯爵は、セイに印を与えたときのことを思い出したようだ。顔を真っ赤にしていた。



「はぁ、しかし――」
 いったいどう頼めば良いのか。



 まさか、ナめさせてくださいと言うわけにもいかない。印、というのはある場所が人によって違う。



 簡単にはナめれない場所にあるということも充分に考えられる。



「とりあえず、セイもお風呂に行ってきてください。風邪をひいてしまいます。メイドに案内させましょう」



「どうも、すみません」



「私のことを護衛してくださり、感謝していますよ」



 レフィール伯爵はそう言うと、キラキラと輝くコハク色の瞳を真っ直ぐセイに向けてきた。



 セイはそのとき、思った。



(オレはこの人の印をもらったのだ)



 あのとき流れてきた蜜の味は、甘くとろけるようで、いまだにセイの舌にその余韻
が残っているかのようだった。

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