《完結》男が絶滅していく世界で、英雄は女の子たちをペロペロする
第5話~ヘソ~
ゼッタイに見られたくない――ということなので、レフィール伯爵はカラダに巻きつけていたバスタオルを、セイの目に巻きつけた。セイの視界は暗闇に封じられた。
「それでは、四つん這いになって、舌を突き出してください」
「そんなことする必要があるんですか?」
なかなかプライドに響くものがある。
「いいから言う通りにしてください。お願いします。恥ずかしいのはお互いさまなのですから」
「わかりました」
命令ならば仕方がない。
セイのほうは服を着ているぶん、レフィール伯爵に比べれば羞恥心はすくないはずだ。
言われた通り四つん這いになって、舌を突き出した。
暗くて何も見えない。
温かい手が、セイの頭をつかんだ。やさしく誘導された。眼前に温かいものが迫ってくるのがわかった。
舌先。
何かやわらかい肉が触れた。ふにっ、とわずかな弾力が感じられた。
「ひゃうっ」
と、レフィール伯爵の短い叫び声があがった。
「だ、大丈夫ですか?」
「いいから、黙っていてくださいッ」
「申し訳ありません」
ふたたび舌先にやわらかい肉が触れた。
温かくて、とても甘い。
「も、もう少し奥です」
舌を突き出す。
セイの舌を、やわらかい肉がはさみこんでいた。そして次から次へと、甘い蜜のようなものがあふれ出てくる。キスしているのかと思ったが、それにしてはセイの頭上から声が落ちてくる。
とても良い匂いがする。
すんすん、と鼻をひくつかせると、レフィール伯爵はセイの頭を叩いてきた。
「息は止めていてくださいッ」
「そんな無茶なッ」
「で、できるだけぇ。呼吸はおさえてくださいぃ」
声が震えている。
続けて舌を動かした。
「あうっ、あっ、も、もう少しだけ奥です。あ、あんまり激しく動かさないで」
「目隠しされているので、よくわからないんですけど」
「あ、あうっ。しゃべらないでって言ったでしょう。声が振動するので」
じれったい。
右へ左へとやわらかい肉の壁を押し分けて、舌を押しこんでみるのだが、これでちゃんと〝念話印〟にたどり着いているのかハッキリしない。ただ、肉の壁の向こうには、温かくてヌメヌメとした感触があった。
「はぁ……はぁ……。そんな乱暴にしないで。あうっ、だ、ダメッ」
もうヤケクソだ。
もっと奥まで舌を入れてやろうと思った。
「そ、そんな奥まで。ダメですって、あん……あっ……もっと奥が……じゃなくて、もう少し手前ですから。そ、そんなところ、ナめこすらないでください」
ナめれば、ナめるほど甘い。
花の蜜でもナめている気分だった。
「ああああ――ッ」
そこから先は、よくわからなかった。
レフィール伯爵がセイの耳を、指で封じてきたのだ。ただ、レフィール伯爵のカラダが激しく波打っていることだけは、触れている感触でわかった。そして花の蜜がいっきに溢れ出してきて、セイの顔を濡らした。
目隠しが外された。
そのときにはもうレフィール伯爵は、セイの持ってきたブリオーを着衣していた。そして、顔がひどく紅潮していた。
「うまくいったんでしょうか?」
相変わらず脱衣所だ。
ひとつ異変があったのは、足元がやたらと濡れているということだ。他に変わった場所はない。
「うまくイっただなんて、そんなこと質問しないでください」
レフィール伯爵は目を真っ赤にしていた。
マナジリに涙が浮かんでいる。
「いや。他人の印に、自分の印を押し付けたことなんてなかったので、上手くいったのか気になって」
「あぁ。そう……そうですね。うまく〝念話印〟を習得することができたと思います」
『聞こえますか?』
鼓膜を震わせる声ではない。
脳裏に響いた。
おのずと返答の仕方がわかった。
『ちゃんと習得できたみたいです』
「しかし、スケベ印なんて言われてバカにされていた〝英雄印〟にこんなチカラがあったなんて、驚きですよ」
もっと早く知っていれば、セイはもっと騎士として活躍していたかもしれない。いまさら悔いても仕方のないことだが。
「無事にチカラを与えることが出来て良かったです。それでは、私のことを護衛してもらいますからね」
「ところで、レフィール伯爵は、どこに印があるんですか?」
「ヘソです」
レフィール伯爵は平然と応えた。
「じゃあ、オレはヘソをナめていたんですか?」
「ええ。そうですよ。ヘソです」
そう言われると、そうかもしれないと思えてくる。なにせ目も耳も塞がれていたので、よくわからなかったのだ。
「ヘソ――でしたか?」
「ええ。ヘソでしたよ。そんなことよりも、さっさと顔を洗って、宿を出ましょう。私も着替え終わりましたし」
「そうですね」
風呂場には、湯が張られていた。おそらくモンスターが出現する直前まで、風呂屋は稼働していたのだろう。
湯を張る方法は2つある。給水泉から水を汲んできて、湯を沸かすという方法。魔法で湯を張る方法だ。たいていの風呂屋は、前者だ。
湯をすくい上げて、顔を洗った。セイの顔には甘い蜜のような液体がべっとりとついていて、洗っても洗っても、その匂いが払拭されることはなかった。
「それでは、四つん這いになって、舌を突き出してください」
「そんなことする必要があるんですか?」
なかなかプライドに響くものがある。
「いいから言う通りにしてください。お願いします。恥ずかしいのはお互いさまなのですから」
「わかりました」
命令ならば仕方がない。
セイのほうは服を着ているぶん、レフィール伯爵に比べれば羞恥心はすくないはずだ。
言われた通り四つん這いになって、舌を突き出した。
暗くて何も見えない。
温かい手が、セイの頭をつかんだ。やさしく誘導された。眼前に温かいものが迫ってくるのがわかった。
舌先。
何かやわらかい肉が触れた。ふにっ、とわずかな弾力が感じられた。
「ひゃうっ」
と、レフィール伯爵の短い叫び声があがった。
「だ、大丈夫ですか?」
「いいから、黙っていてくださいッ」
「申し訳ありません」
ふたたび舌先にやわらかい肉が触れた。
温かくて、とても甘い。
「も、もう少し奥です」
舌を突き出す。
セイの舌を、やわらかい肉がはさみこんでいた。そして次から次へと、甘い蜜のようなものがあふれ出てくる。キスしているのかと思ったが、それにしてはセイの頭上から声が落ちてくる。
とても良い匂いがする。
すんすん、と鼻をひくつかせると、レフィール伯爵はセイの頭を叩いてきた。
「息は止めていてくださいッ」
「そんな無茶なッ」
「で、できるだけぇ。呼吸はおさえてくださいぃ」
声が震えている。
続けて舌を動かした。
「あうっ、あっ、も、もう少しだけ奥です。あ、あんまり激しく動かさないで」
「目隠しされているので、よくわからないんですけど」
「あ、あうっ。しゃべらないでって言ったでしょう。声が振動するので」
じれったい。
右へ左へとやわらかい肉の壁を押し分けて、舌を押しこんでみるのだが、これでちゃんと〝念話印〟にたどり着いているのかハッキリしない。ただ、肉の壁の向こうには、温かくてヌメヌメとした感触があった。
「はぁ……はぁ……。そんな乱暴にしないで。あうっ、だ、ダメッ」
もうヤケクソだ。
もっと奥まで舌を入れてやろうと思った。
「そ、そんな奥まで。ダメですって、あん……あっ……もっと奥が……じゃなくて、もう少し手前ですから。そ、そんなところ、ナめこすらないでください」
ナめれば、ナめるほど甘い。
花の蜜でもナめている気分だった。
「ああああ――ッ」
そこから先は、よくわからなかった。
レフィール伯爵がセイの耳を、指で封じてきたのだ。ただ、レフィール伯爵のカラダが激しく波打っていることだけは、触れている感触でわかった。そして花の蜜がいっきに溢れ出してきて、セイの顔を濡らした。
目隠しが外された。
そのときにはもうレフィール伯爵は、セイの持ってきたブリオーを着衣していた。そして、顔がひどく紅潮していた。
「うまくいったんでしょうか?」
相変わらず脱衣所だ。
ひとつ異変があったのは、足元がやたらと濡れているということだ。他に変わった場所はない。
「うまくイっただなんて、そんなこと質問しないでください」
レフィール伯爵は目を真っ赤にしていた。
マナジリに涙が浮かんでいる。
「いや。他人の印に、自分の印を押し付けたことなんてなかったので、上手くいったのか気になって」
「あぁ。そう……そうですね。うまく〝念話印〟を習得することができたと思います」
『聞こえますか?』
鼓膜を震わせる声ではない。
脳裏に響いた。
おのずと返答の仕方がわかった。
『ちゃんと習得できたみたいです』
「しかし、スケベ印なんて言われてバカにされていた〝英雄印〟にこんなチカラがあったなんて、驚きですよ」
もっと早く知っていれば、セイはもっと騎士として活躍していたかもしれない。いまさら悔いても仕方のないことだが。
「無事にチカラを与えることが出来て良かったです。それでは、私のことを護衛してもらいますからね」
「ところで、レフィール伯爵は、どこに印があるんですか?」
「ヘソです」
レフィール伯爵は平然と応えた。
「じゃあ、オレはヘソをナめていたんですか?」
「ええ。そうですよ。ヘソです」
そう言われると、そうかもしれないと思えてくる。なにせ目も耳も塞がれていたので、よくわからなかったのだ。
「ヘソ――でしたか?」
「ええ。ヘソでしたよ。そんなことよりも、さっさと顔を洗って、宿を出ましょう。私も着替え終わりましたし」
「そうですね」
風呂場には、湯が張られていた。おそらくモンスターが出現する直前まで、風呂屋は稼働していたのだろう。
湯を張る方法は2つある。給水泉から水を汲んできて、湯を沸かすという方法。魔法で湯を張る方法だ。たいていの風呂屋は、前者だ。
湯をすくい上げて、顔を洗った。セイの顔には甘い蜜のような液体がべっとりとついていて、洗っても洗っても、その匂いが払拭されることはなかった。
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