REMEDY
初期症状
今はいつだろうか?
肌に感じる季節は変わらない。
朝日は決まって部屋の小窓から射し込む。
目に映る季節も変わらない。
この部屋から何度朝日を浴びたのか、ここで何度朝を迎えたのか、どうでもよくて覚えてない。
毎日同じように時に流され、ただ決まった事をして一日を終える。
感慨の心はおいてけぼりにこの体だけが時に流される。漠然として流れに合わせて流れる。
打たれたくさびの言葉が頭に浮かぶ
…………
ドスッ…バタッ―
草むらに切ったものが転がった。
それが完全に事切れるのを確認すると、そのまま草むらに寝っ転がってみる。
僅かにひんやりとする地べたに真っ直ぐに伸びる草々。倒れかかれると柔らかく押し返すのが気持ちが良い。僕の体の下の草々は負けじと押し返すが僕を弾くことは出来そうにない。しかし、体を退かした所の草は必ず起き上がる。どんなに折れていたとしても、僅かには起き上がってくる。この負けじとする姿につい見入ってしまう。いつの日だったか、前もこう見入ってしまう時があった。帰り道に制服姿で大きく草むらの中で寝っ転がって同じように見入ることがあった。その時は…
カチャッ………
不意に寝っ転がった頭上に金属と金属が当たる音がする。咄嗟に身構え、音がした方を、見やると人が立っていた。
「誰!?」
「わっ!?びっくりした~。急に立ち上がらないでよ~。」
「!?…貴方は……」
「あっ!久しぶり~!!中学校以来かな?」
…………
「中学の時から大分変わったね~。」
「そう?」
「髪とか中学の時は長かったし、もっと雰囲気も女の子ぽかったような…?
なんか、男っぽくなった気がする?」
「……男っぽいよね」
「イメチェンみたいな?w」
「……、うん、そうだよ。」
「いいんじゃない?似合ってるよ!あ、そろそろ町に戻ろ。そんで、一緒にご飯食べよ!!」
………
「ほんと町まで遠いよねw」
「ほんとだね。」
「一体、どんくらい距離あるんだろ?w」
「さぁ、分かんないや。……ねぇ、どうやってここに来たの?」
「え?……うーんと、分からんw」
「……そう。」
……………
カチャッガチャンッ…
宿近くの店で夕食をとっていた。いつもと違って、対面にはともだちが座っている。互いに目の前の料理をつついていた。
「あんた、中学ん時も一人でいることが多かったよね?」
「いや、そうでも…」
「ある! 自分から喋りに行ってるとこ見たこと無いよ!? ほら、私がよく話しかけに行ってたけどそれ以外で喋ってるとこ、年にこの両手の指で数えられるくらいだったよ!!」
「…それは流石に盛りすぎ」
「いやいや、まじだって!w…そういえば今日草むらで寝っ転がってたけど、きれい好きなあんたには珍しいね?」
「そうかな?」
「そうそう。よく自分の爪とか制服の端々とかを整えたりしたりして、はしゃいだり騒いだりとかそういうのとは遠い感じみたいなw」
「そう…かも」
「なんで寝てたの?ww」
「なんとなく、草の上で風に吹かれたかったから…かな?」
「なにそれww。やっぱり変わってるわ~、あんた!変わってないな!w」
「そっちも変わってない喋ってばっか!」
「いやか!?ww」
「全然!!」
「人間いくつになっても変わらんな!ww」
「だね」
いつの間にか話し込んでいた。
こんなに誰かと話すのは久しぶりだった。
偶然、“依頼”をこなしている時に広い町外で偶々、友達に会えたなん……て……………………………………。
僕は話す内に上がってた目線を料理に戻し、皿の上に残ってるのをいじりだす。
「ねぇ、どうして草むらで寝てた私が分かったの?」
「え!…飛び出してきたから分かったんじゃん!ww」
「でも、………………、やっぱりなんでもない。」
そう言って、笑みを浮かべてみる。
そうして、対面に見える顔にも笑みが浮かぶ。
僕はいまだに食べ残しをいじいじしていた。
肌に感じる季節は変わらない。
朝日は決まって部屋の小窓から射し込む。
目に映る季節も変わらない。
この部屋から何度朝日を浴びたのか、ここで何度朝を迎えたのか、どうでもよくて覚えてない。
毎日同じように時に流され、ただ決まった事をして一日を終える。
感慨の心はおいてけぼりにこの体だけが時に流される。漠然として流れに合わせて流れる。
打たれたくさびの言葉が頭に浮かぶ
…………
ドスッ…バタッ―
草むらに切ったものが転がった。
それが完全に事切れるのを確認すると、そのまま草むらに寝っ転がってみる。
僅かにひんやりとする地べたに真っ直ぐに伸びる草々。倒れかかれると柔らかく押し返すのが気持ちが良い。僕の体の下の草々は負けじと押し返すが僕を弾くことは出来そうにない。しかし、体を退かした所の草は必ず起き上がる。どんなに折れていたとしても、僅かには起き上がってくる。この負けじとする姿につい見入ってしまう。いつの日だったか、前もこう見入ってしまう時があった。帰り道に制服姿で大きく草むらの中で寝っ転がって同じように見入ることがあった。その時は…
カチャッ………
不意に寝っ転がった頭上に金属と金属が当たる音がする。咄嗟に身構え、音がした方を、見やると人が立っていた。
「誰!?」
「わっ!?びっくりした~。急に立ち上がらないでよ~。」
「!?…貴方は……」
「あっ!久しぶり~!!中学校以来かな?」
…………
「中学の時から大分変わったね~。」
「そう?」
「髪とか中学の時は長かったし、もっと雰囲気も女の子ぽかったような…?
なんか、男っぽくなった気がする?」
「……男っぽいよね」
「イメチェンみたいな?w」
「……、うん、そうだよ。」
「いいんじゃない?似合ってるよ!あ、そろそろ町に戻ろ。そんで、一緒にご飯食べよ!!」
………
「ほんと町まで遠いよねw」
「ほんとだね。」
「一体、どんくらい距離あるんだろ?w」
「さぁ、分かんないや。……ねぇ、どうやってここに来たの?」
「え?……うーんと、分からんw」
「……そう。」
……………
カチャッガチャンッ…
宿近くの店で夕食をとっていた。いつもと違って、対面にはともだちが座っている。互いに目の前の料理をつついていた。
「あんた、中学ん時も一人でいることが多かったよね?」
「いや、そうでも…」
「ある! 自分から喋りに行ってるとこ見たこと無いよ!? ほら、私がよく話しかけに行ってたけどそれ以外で喋ってるとこ、年にこの両手の指で数えられるくらいだったよ!!」
「…それは流石に盛りすぎ」
「いやいや、まじだって!w…そういえば今日草むらで寝っ転がってたけど、きれい好きなあんたには珍しいね?」
「そうかな?」
「そうそう。よく自分の爪とか制服の端々とかを整えたりしたりして、はしゃいだり騒いだりとかそういうのとは遠い感じみたいなw」
「そう…かも」
「なんで寝てたの?ww」
「なんとなく、草の上で風に吹かれたかったから…かな?」
「なにそれww。やっぱり変わってるわ~、あんた!変わってないな!w」
「そっちも変わってない喋ってばっか!」
「いやか!?ww」
「全然!!」
「人間いくつになっても変わらんな!ww」
「だね」
いつの間にか話し込んでいた。
こんなに誰かと話すのは久しぶりだった。
偶然、“依頼”をこなしている時に広い町外で偶々、友達に会えたなん……て……………………………………。
僕は話す内に上がってた目線を料理に戻し、皿の上に残ってるのをいじりだす。
「ねぇ、どうして草むらで寝てた私が分かったの?」
「え!…飛び出してきたから分かったんじゃん!ww」
「でも、………………、やっぱりなんでもない。」
そう言って、笑みを浮かべてみる。
そうして、対面に見える顔にも笑みが浮かぶ。
僕はいまだに食べ残しをいじいじしていた。
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