女神と天才の異世界冒険譚
アイン②
「さて。楽しい格闘の時間も二回目だ、俺が教えるのはな」
「…………」
清々しい朝を迎え、朝食の後ホームルーム。そしてそのホームルームを終えての一時間目。
俺の格闘の講義の時間だ。
「前回居なかった四人……まぁアリスはいいとして三人は他の奴らに聞いて、暇な時間にでも学んで欲しい」
流石に三人の為に同じ事をする訳にはいかない。そこは自分達で何とかして貰うしかない。
「今日教えるのはどうやって敵を倒すか。だ。前回は言ってしまえば戦いを有利に行う為の技術だったが、今回はその上で一撃で終わらせる為の技術を教える」
「……休めば良かった」「サルビア先生、魔力は?」「……大丈夫です」「死にたくねえよ、俺」
ざわざわと何故か騒がしくなるが、そんなに期待されては困る。
俺はどちらかというとパワータイプではないから、一撃の威力に関してはそこまででもない。
「アリス。サンドバッグ出してくれ」
「む。わかった」
了解の返事と共に、アリスの横にはサンドバッグとそれが吊るされた置物がある。
「え? 魔法?」「今、一瞬で何か出てきたよね?」「あの二人ってマジでなんなの?」
どうにも俺の時間はみんな騒がしい気がする。まぁ本職じゃないから仕方ないけど。
「先手必殺。それが格闘における理想だ。先に一撃入れ、そしてその一撃で終わらせる」
「うむうむ」
「しかしそうは言っても防具を着けてない相手ならまだしも防具を着けてる相手に素手なんて無理。普通はね」
そう言ってサンドバッグの前に立つと、両腕をだらんと垂らす。
「――ふっ!」
脱力からの全力。
神速の如きスピードで俺の拳はサンドバッグを叩く。
しかし、
「え?」
サンドバッグに変化はない。いや、それどころか叩いた音すらしなかった。
「マナ――」
「「うわああああ!」」
サルビアが俺に声を掛けようとしたしたその時、激しい破裂音と共にサンドバッグがその中身をぶちまける。
「これが、相手を内部から破壊する技だ。大抵の人間なら一撃の元葬れる」
「ば、化物だぁ!」「ば、爆裂魔法?」「俺、ちょっと格闘は諦めようかな」「葬っちゃいかんでしょ! いかんでしょ!」
これまで以上に騒がしくなるクラスメイト達に、俺は思わずため息をつく。
この世界は格闘技術が遅れすぎている。
「はん。いかんなぁ、真人よ。その程度じゃとても教える側とは思えんぞ」
「何だと?」
「皆の者! 本当の一撃必殺を見せてやるのじゃ!」
アリスはそう言うと再びサンドバッグを用意する。
しかも今度は人の形だ。どこに売ってたんだこれ。
「今、真人が使ったのは腕の先から気を送り、任意の場所で爆発させる技術だ。そしてその気というものを生み出している場所は、ここだ」
そう言ってアリスは自身の左胸を指差す。
確かに、気は心臓から生まれ、そして体中を巡っている。
「私と真人が居た世界では、こっちで言うところの魔力の代わりにこの気というものがある」
アイツやっぱ隠す気まったくないんだな。なるほど。
「ただ魔力ほど便利ではないし、なんと言っても先程の真人の様に拳から放出しては威力が下がってしまうのじゃ」
「まさか……」
「心臓から生まれた気は、心臓から離れるにつれて弱くなる。つまり、拳よりも心臓から近ければ近い場所からの方が、気の威力は高まるのじゃ! つまり……」
そう言うとアリスはサンドバッグへ向けて歩いていく。
そして、そのままサンドバッグに肩をぶつける。
「おいおい……」
俺が呆れた声を漏らすと共に、バァン! と、激しい轟音と衝撃が生まれる。
……そこにはアリスだけが残っていた。
サンドバッグは、完全にに消え去っている。
「これぞ、肩パァンなのじゃ。いや、肩バァンなのじゃ」
「やかましいわ!」
俺はアリスの側に移動すると、そのドヤ顔をしている頭を叩く。
人の授業を台無しにしやがって。
「お前は何もわかってない。いいか? それじゃリーチ的にも短いし、何より格好が悪い」
「何を言うのじゃ! 見た目より効率じゃろうが!」
「は! 効率言うならただの体当たりが最強になるじゃねーか!」
「それの何か悪いのじゃ!」
「見た目が悪い!」
「……あのー」
「何じゃ!」「何!?」
アリスとの議論が白熱する中、サルビアが静かに割って入ってくる。
何だとサルビアの方を振り向くと、
「え……?」
「のじゃ……?」
そこにはサルビア以外誰も居なかった。ただの一人も。
「全員、腹痛だそうです」
「…………なるほど」
「…………のじゃ」
「…………」
清々しい朝を迎え、朝食の後ホームルーム。そしてそのホームルームを終えての一時間目。
俺の格闘の講義の時間だ。
「前回居なかった四人……まぁアリスはいいとして三人は他の奴らに聞いて、暇な時間にでも学んで欲しい」
流石に三人の為に同じ事をする訳にはいかない。そこは自分達で何とかして貰うしかない。
「今日教えるのはどうやって敵を倒すか。だ。前回は言ってしまえば戦いを有利に行う為の技術だったが、今回はその上で一撃で終わらせる為の技術を教える」
「……休めば良かった」「サルビア先生、魔力は?」「……大丈夫です」「死にたくねえよ、俺」
ざわざわと何故か騒がしくなるが、そんなに期待されては困る。
俺はどちらかというとパワータイプではないから、一撃の威力に関してはそこまででもない。
「アリス。サンドバッグ出してくれ」
「む。わかった」
了解の返事と共に、アリスの横にはサンドバッグとそれが吊るされた置物がある。
「え? 魔法?」「今、一瞬で何か出てきたよね?」「あの二人ってマジでなんなの?」
どうにも俺の時間はみんな騒がしい気がする。まぁ本職じゃないから仕方ないけど。
「先手必殺。それが格闘における理想だ。先に一撃入れ、そしてその一撃で終わらせる」
「うむうむ」
「しかしそうは言っても防具を着けてない相手ならまだしも防具を着けてる相手に素手なんて無理。普通はね」
そう言ってサンドバッグの前に立つと、両腕をだらんと垂らす。
「――ふっ!」
脱力からの全力。
神速の如きスピードで俺の拳はサンドバッグを叩く。
しかし、
「え?」
サンドバッグに変化はない。いや、それどころか叩いた音すらしなかった。
「マナ――」
「「うわああああ!」」
サルビアが俺に声を掛けようとしたしたその時、激しい破裂音と共にサンドバッグがその中身をぶちまける。
「これが、相手を内部から破壊する技だ。大抵の人間なら一撃の元葬れる」
「ば、化物だぁ!」「ば、爆裂魔法?」「俺、ちょっと格闘は諦めようかな」「葬っちゃいかんでしょ! いかんでしょ!」
これまで以上に騒がしくなるクラスメイト達に、俺は思わずため息をつく。
この世界は格闘技術が遅れすぎている。
「はん。いかんなぁ、真人よ。その程度じゃとても教える側とは思えんぞ」
「何だと?」
「皆の者! 本当の一撃必殺を見せてやるのじゃ!」
アリスはそう言うと再びサンドバッグを用意する。
しかも今度は人の形だ。どこに売ってたんだこれ。
「今、真人が使ったのは腕の先から気を送り、任意の場所で爆発させる技術だ。そしてその気というものを生み出している場所は、ここだ」
そう言ってアリスは自身の左胸を指差す。
確かに、気は心臓から生まれ、そして体中を巡っている。
「私と真人が居た世界では、こっちで言うところの魔力の代わりにこの気というものがある」
アイツやっぱ隠す気まったくないんだな。なるほど。
「ただ魔力ほど便利ではないし、なんと言っても先程の真人の様に拳から放出しては威力が下がってしまうのじゃ」
「まさか……」
「心臓から生まれた気は、心臓から離れるにつれて弱くなる。つまり、拳よりも心臓から近ければ近い場所からの方が、気の威力は高まるのじゃ! つまり……」
そう言うとアリスはサンドバッグへ向けて歩いていく。
そして、そのままサンドバッグに肩をぶつける。
「おいおい……」
俺が呆れた声を漏らすと共に、バァン! と、激しい轟音と衝撃が生まれる。
……そこにはアリスだけが残っていた。
サンドバッグは、完全にに消え去っている。
「これぞ、肩パァンなのじゃ。いや、肩バァンなのじゃ」
「やかましいわ!」
俺はアリスの側に移動すると、そのドヤ顔をしている頭を叩く。
人の授業を台無しにしやがって。
「お前は何もわかってない。いいか? それじゃリーチ的にも短いし、何より格好が悪い」
「何を言うのじゃ! 見た目より効率じゃろうが!」
「は! 効率言うならただの体当たりが最強になるじゃねーか!」
「それの何か悪いのじゃ!」
「見た目が悪い!」
「……あのー」
「何じゃ!」「何!?」
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