女神と天才の異世界冒険譚
ともだちひゃくにん―アリス編―①
「むう」
時間は真人が三人と食堂を出ていった時まで遡る。
アリスは真人が出て行った扉を見る。食堂に一人置いていかれ、思わずため息が出る。
その原因は……
「アインくんは可愛いけどちょっと無いよね。恋愛対象にはならないタイプ。それにサルビア先生愛が強すぎ」
「言えてる。それよりはライル達の方がマシね」
「じゃあ、ゴードンは?」
「「絶対にない」」
よく知らない相手の、よく知らない相手に対する評価を聞かされているからだ。
「じゃあ、えーと、マナトだっけ? アイツは?」
やっとわかる名前が聞こえ、思わず顔を上げるアリス。
「……将来性はありそうだけど、ちょっと怖いな」
「あー、加減を知らなそうだよね。サルビア先生だって一応、女なのに」
「それに服装がな……あれは何て服なんだ?」
真人は同窓会の途中で、アリスに呼ばれている。そしてその同窓会はホテルで行われる、それなりにちゃんとしたものだった。
だからこそ、今、真人はスーツしか持っていないのだ。
一応、もう一着だけラーメン屋で貰った『一振入魂』というクソダサいシャツと黒いズボンを持っているが、真人は外では絶対に着なかった。
後で真人の服を持ってこようと、心に決めたアリスだったが、次の言葉を聞いた時には既に頭から消えていた。
「で、アリスちゃんとマナトの関係は?」
「それは私も気になるわ」
「差し支えなければ私も聞きたい」
三人は興味津々といった表情でアリスを見てくる。
一人は茶色の髪に、毛先だけパーマをかけたショートカットの少女、マリー。
もう一人は金髪の髪をツインテールにしている恐らくツンデレ少女、エリー。
最後の一人は黒髪を後ろの高い位置で束ね、ポニーテールにしている少女、サオリ。
三人は快くアリスを受け入れてくれたが、それはこの時の為だった。
謎の二人の関係が気になる。
どの世界でも恋だの愛だのに興味津々なのが、女という生き物なのだ。
「な、なんじゃあ!? 急に! ワシは何とも思っとらんぞ!? ホントじゃぞ!?」
「いや、関係を聞いているのだが」
少し墓穴を掘ってしまったアリスだったが、顔を赤くして俯くと、小さな声で答える。
「友人……、いや、戦友じゃな。……今はまだ」
最後に小さく付け加えられた言葉だけで、三人は何となく把握した。
「ま、片思いは辛いよね」
「ええ。応援するわ」
「アリスならきっと大丈夫だ」
三人はそれぞれ生温かい目で優しい言葉をかける。
「しかし、ここの食事は美味い――」
アリスはそれに居心地の悪さを感じ、話を逸らそうとしたその時、
『あのラックスティーラーがD校舎に! 今回はS棟の食堂にのみ放送中! おめでとう!』
どこからか良く通る声が響く。
声の発生源を探すと、壁掛け時計の上にスピーカーがつけられている。あそこからのようだ。
「ラックスティーラー……?」
アリスがそう呟き、視線をスピーカーから三人に戻す。
「な、なんじゃあ?」
三人は時が止まったかのように、固まっている。
「行くわよ!」
「うん!」
「ああ!」
そして、三人は頷き合うと勢い良く立ち上がる。まだ少し残っていた三人のスープに波紋が生まれた。
「アリスも来なさい!」
三人に連れられて向かったのはD校舎。
途中で三人に説明して貰った所、ラックスティーラーとはこの学園の卒業生で、十人しかいない王都の上級騎士だそうだ。
そいつはたまに学園に訪れては珍しい品を持ってきて、それを賭けて学生とギャンブルを楽しむらしい。
負けても商品は貰えるが、運を奪われてしまうとの事らしいが、所詮噂であり本当かはわからない。
また、たとえそれでも一日ツイていないだけで、珍しい武器やアイテムや防具が手に入るとあって大人気との事だ。
それに万が一、勝つことが出来ればラックスティーラーから運を奪うことができ、信じられないようなツイている一日となる……らしい。
「ただ……来るのはVIPルームに直接な上に、放送はその日に適当に決めた場所にしか行わないから、その時点で運が試されるのよ」
エリーがそう呟いた所で、四人はD校舎へと辿り着いた。
時間は真人が三人と食堂を出ていった時まで遡る。
アリスは真人が出て行った扉を見る。食堂に一人置いていかれ、思わずため息が出る。
その原因は……
「アインくんは可愛いけどちょっと無いよね。恋愛対象にはならないタイプ。それにサルビア先生愛が強すぎ」
「言えてる。それよりはライル達の方がマシね」
「じゃあ、ゴードンは?」
「「絶対にない」」
よく知らない相手の、よく知らない相手に対する評価を聞かされているからだ。
「じゃあ、えーと、マナトだっけ? アイツは?」
やっとわかる名前が聞こえ、思わず顔を上げるアリス。
「……将来性はありそうだけど、ちょっと怖いな」
「あー、加減を知らなそうだよね。サルビア先生だって一応、女なのに」
「それに服装がな……あれは何て服なんだ?」
真人は同窓会の途中で、アリスに呼ばれている。そしてその同窓会はホテルで行われる、それなりにちゃんとしたものだった。
だからこそ、今、真人はスーツしか持っていないのだ。
一応、もう一着だけラーメン屋で貰った『一振入魂』というクソダサいシャツと黒いズボンを持っているが、真人は外では絶対に着なかった。
後で真人の服を持ってこようと、心に決めたアリスだったが、次の言葉を聞いた時には既に頭から消えていた。
「で、アリスちゃんとマナトの関係は?」
「それは私も気になるわ」
「差し支えなければ私も聞きたい」
三人は興味津々といった表情でアリスを見てくる。
一人は茶色の髪に、毛先だけパーマをかけたショートカットの少女、マリー。
もう一人は金髪の髪をツインテールにしている恐らくツンデレ少女、エリー。
最後の一人は黒髪を後ろの高い位置で束ね、ポニーテールにしている少女、サオリ。
三人は快くアリスを受け入れてくれたが、それはこの時の為だった。
謎の二人の関係が気になる。
どの世界でも恋だの愛だのに興味津々なのが、女という生き物なのだ。
「な、なんじゃあ!? 急に! ワシは何とも思っとらんぞ!? ホントじゃぞ!?」
「いや、関係を聞いているのだが」
少し墓穴を掘ってしまったアリスだったが、顔を赤くして俯くと、小さな声で答える。
「友人……、いや、戦友じゃな。……今はまだ」
最後に小さく付け加えられた言葉だけで、三人は何となく把握した。
「ま、片思いは辛いよね」
「ええ。応援するわ」
「アリスならきっと大丈夫だ」
三人はそれぞれ生温かい目で優しい言葉をかける。
「しかし、ここの食事は美味い――」
アリスはそれに居心地の悪さを感じ、話を逸らそうとしたその時、
『あのラックスティーラーがD校舎に! 今回はS棟の食堂にのみ放送中! おめでとう!』
どこからか良く通る声が響く。
声の発生源を探すと、壁掛け時計の上にスピーカーがつけられている。あそこからのようだ。
「ラックスティーラー……?」
アリスがそう呟き、視線をスピーカーから三人に戻す。
「な、なんじゃあ?」
三人は時が止まったかのように、固まっている。
「行くわよ!」
「うん!」
「ああ!」
そして、三人は頷き合うと勢い良く立ち上がる。まだ少し残っていた三人のスープに波紋が生まれた。
「アリスも来なさい!」
三人に連れられて向かったのはD校舎。
途中で三人に説明して貰った所、ラックスティーラーとはこの学園の卒業生で、十人しかいない王都の上級騎士だそうだ。
そいつはたまに学園に訪れては珍しい品を持ってきて、それを賭けて学生とギャンブルを楽しむらしい。
負けても商品は貰えるが、運を奪われてしまうとの事らしいが、所詮噂であり本当かはわからない。
また、たとえそれでも一日ツイていないだけで、珍しい武器やアイテムや防具が手に入るとあって大人気との事だ。
それに万が一、勝つことが出来ればラックスティーラーから運を奪うことができ、信じられないようなツイている一日となる……らしい。
「ただ……来るのはVIPルームに直接な上に、放送はその日に適当に決めた場所にしか行わないから、その時点で運が試されるのよ」
エリーがそう呟いた所で、四人はD校舎へと辿り着いた。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
20
-
-
52
-
-
23252
-
-
4112
-
-
2
-
-
125
-
-
89
-
-
768
-
-
310
コメント