女神と天才の異世界冒険譚
ともだちひゃくにん④
「で、まだやるの?」
俺は三人に向かって持っていた刀を向ける。
最初こそ双剣を使っていたが、ライルが大剣を使い出し、ケインが鎌を使い始めた辺りから流石に厳しくなった。
リーチ的に不利過ぎる。
「何なんだよ……こいつ」
「……魔力切れみたい」
「僕も」
三人がダラダラと漫画のように汗を流しながら呟く。当然ながら俺もだが。
よく考えたらこいつら双剣に大剣、鎌って……俺は双銃にするべきだったか? いや、最新は刀か。
「ていうか、ライル達って何で属性を統一してるの?」
アインが風、ライルが炎、ケインが氷。
アインはともかく、武器を変えたライルとケインも魔術的な付加要素は同じ属性だった。
「「そりゃお前、炎(氷)が最強だからだ」」
二人からは仲良く、一部のみ違う答えが返ってくる。……馬鹿か。こいつら。
「ライル、お前はまだそんなこと言ってるのか? いいか? 防御不能の氷こそが最強なんだよ」
確かにケインの武器による攻撃は、防ぐと武器ごと凍らされる所だった。
まあ、当たらなければどうということはないといった所だけど。
「お前こそ何にもわかってないな。いいか? 炎は躱されようと存在するだけで、空間を熱し、相手の体力を奪うんだぞ? 回避不能の炎こそが最強」
確かに炎の魔法を使うたびに、周囲の温度が上がり汗だくだ。
まあ、地面の氷はそのおかげで溶けてるし、凍る速度も遅くなっていたが。
そして、逆に氷のお陰で気温がサウナ程度で済んでいるのだが。
つまり、同時に戦うには最悪の相性なんだよなぁ。
「にしても……まさか腕の一本も取れないなんて……」
アインが疲れた顔で呟く。
一番厄介だったのがアインだったりする。リーチが伸びるだけの双剣だが、これが非常に厄介だった。
届かないはずの攻撃も防御しないといけないし、横薙ぎを防ごうとした瞬間、通常の短剣のリーチに戻し、俺の刀を通り過ぎた所で首元で伸ばす。なんて、フェイントまでかけてきやがった。
「でも、なかなか勉強になったよ。双剣も大剣も鎌も扱った事なかったから」
双剣は何よりも型を決めないことが大事なようだ。実際、アインの攻撃のパターンは全て違い、トリッキーだった。
大剣はその重さを利用した攻撃が多かった。だが、慣れないうちは重さに振り回されてしまうかも知れない。
鎌は……ね。しかも、ケインの使っている大鎌はね……。ロマン武器だから。攻撃の軌道はわかりやすいし、隙もデカい。それなりに扱っているケインはそこそこ天才なのかも知れない。
「なら、よかったよ」
疲れた声が返ってくる。だらしがないなぁ。三人とも床に座っちゃって。
「じゃあ、時間も頃合いだし、俺は帰るよ?」
「「おつかれ」」
三人は座ったまま返事を返してきた。魔力切れってそんなにきついのか。
◆◇◆
「俺の部屋は……あった」
三階が女性用、四階が男性用の部屋になっているようで、四階の奥の部屋に自分の名前の記されたネームプレートを見つけた。
「にしても……疲れた」
扉を開けると部屋の中にはベッドがドンと置かれている以外は、かごが一つ置かれているだけだ。
かごに服を入れておけば洗濯して貰えるらしいが……。
「今日はもう……」
俺は服を脱ぐこともせず、ベッドへと倒れ込んだ。
明日からは講師にもなる訳だし、三人の前では出来なかったが、本当に疲れた。もはや泥のように眠るのみ。
◆◇◆
コンコンっとノックの音が聞こえる。まだ朝には早いはずだ。
「誰?」
眠りを邪魔された苛立ちを隠さず、短く尋ねる。
「ワシじゃ」
返ってきたのはアリスの声。そういえば食堂で別れたままだった。
とはいえ、何の話だろう。
「すまんな、遅くに」
「いいけど。何?」
鍵を開け、扉を開くとアリスが立っていた。風呂上がりなのか髪が濡れている。シャンプーの良い匂いが鼻孔をくすぐる。
あ、そういえば風呂に入るの忘れてたな。
「その前に……お主、汗臭いのじゃ。風呂に入ってきたらどうじゃ?」
「……そうだな」
確か各階にシャワールームがあったはずだ。シャンプーとかは持ってないが、とりあえず汗は流せるか。
「行くならこれ持っていくのじゃ」
アリスから渡されたのは俺の家の風呂場に置いていたシャンプー類。洗面器に入れられたそれらは、疲れ果てた今の俺には少しだけ重いが、ありがたい。
それにしても、なんでもありだな。この女神。
「話はいいのか? 何か用事があったんだろ?」
「風呂の後でいいのじゃ。お主の部屋で待っておる」
そう言うとアリスは部屋に入り、ベッドへと腰掛ける。
なるべく早く済ませよう。そう考えながら俺はシャワールームへと向かった。
俺は三人に向かって持っていた刀を向ける。
最初こそ双剣を使っていたが、ライルが大剣を使い出し、ケインが鎌を使い始めた辺りから流石に厳しくなった。
リーチ的に不利過ぎる。
「何なんだよ……こいつ」
「……魔力切れみたい」
「僕も」
三人がダラダラと漫画のように汗を流しながら呟く。当然ながら俺もだが。
よく考えたらこいつら双剣に大剣、鎌って……俺は双銃にするべきだったか? いや、最新は刀か。
「ていうか、ライル達って何で属性を統一してるの?」
アインが風、ライルが炎、ケインが氷。
アインはともかく、武器を変えたライルとケインも魔術的な付加要素は同じ属性だった。
「「そりゃお前、炎(氷)が最強だからだ」」
二人からは仲良く、一部のみ違う答えが返ってくる。……馬鹿か。こいつら。
「ライル、お前はまだそんなこと言ってるのか? いいか? 防御不能の氷こそが最強なんだよ」
確かにケインの武器による攻撃は、防ぐと武器ごと凍らされる所だった。
まあ、当たらなければどうということはないといった所だけど。
「お前こそ何にもわかってないな。いいか? 炎は躱されようと存在するだけで、空間を熱し、相手の体力を奪うんだぞ? 回避不能の炎こそが最強」
確かに炎の魔法を使うたびに、周囲の温度が上がり汗だくだ。
まあ、地面の氷はそのおかげで溶けてるし、凍る速度も遅くなっていたが。
そして、逆に氷のお陰で気温がサウナ程度で済んでいるのだが。
つまり、同時に戦うには最悪の相性なんだよなぁ。
「にしても……まさか腕の一本も取れないなんて……」
アインが疲れた顔で呟く。
一番厄介だったのがアインだったりする。リーチが伸びるだけの双剣だが、これが非常に厄介だった。
届かないはずの攻撃も防御しないといけないし、横薙ぎを防ごうとした瞬間、通常の短剣のリーチに戻し、俺の刀を通り過ぎた所で首元で伸ばす。なんて、フェイントまでかけてきやがった。
「でも、なかなか勉強になったよ。双剣も大剣も鎌も扱った事なかったから」
双剣は何よりも型を決めないことが大事なようだ。実際、アインの攻撃のパターンは全て違い、トリッキーだった。
大剣はその重さを利用した攻撃が多かった。だが、慣れないうちは重さに振り回されてしまうかも知れない。
鎌は……ね。しかも、ケインの使っている大鎌はね……。ロマン武器だから。攻撃の軌道はわかりやすいし、隙もデカい。それなりに扱っているケインはそこそこ天才なのかも知れない。
「なら、よかったよ」
疲れた声が返ってくる。だらしがないなぁ。三人とも床に座っちゃって。
「じゃあ、時間も頃合いだし、俺は帰るよ?」
「「おつかれ」」
三人は座ったまま返事を返してきた。魔力切れってそんなにきついのか。
◆◇◆
「俺の部屋は……あった」
三階が女性用、四階が男性用の部屋になっているようで、四階の奥の部屋に自分の名前の記されたネームプレートを見つけた。
「にしても……疲れた」
扉を開けると部屋の中にはベッドがドンと置かれている以外は、かごが一つ置かれているだけだ。
かごに服を入れておけば洗濯して貰えるらしいが……。
「今日はもう……」
俺は服を脱ぐこともせず、ベッドへと倒れ込んだ。
明日からは講師にもなる訳だし、三人の前では出来なかったが、本当に疲れた。もはや泥のように眠るのみ。
◆◇◆
コンコンっとノックの音が聞こえる。まだ朝には早いはずだ。
「誰?」
眠りを邪魔された苛立ちを隠さず、短く尋ねる。
「ワシじゃ」
返ってきたのはアリスの声。そういえば食堂で別れたままだった。
とはいえ、何の話だろう。
「すまんな、遅くに」
「いいけど。何?」
鍵を開け、扉を開くとアリスが立っていた。風呂上がりなのか髪が濡れている。シャンプーの良い匂いが鼻孔をくすぐる。
あ、そういえば風呂に入るの忘れてたな。
「その前に……お主、汗臭いのじゃ。風呂に入ってきたらどうじゃ?」
「……そうだな」
確か各階にシャワールームがあったはずだ。シャンプーとかは持ってないが、とりあえず汗は流せるか。
「行くならこれ持っていくのじゃ」
アリスから渡されたのは俺の家の風呂場に置いていたシャンプー類。洗面器に入れられたそれらは、疲れ果てた今の俺には少しだけ重いが、ありがたい。
それにしても、なんでもありだな。この女神。
「話はいいのか? 何か用事があったんだろ?」
「風呂の後でいいのじゃ。お主の部屋で待っておる」
そう言うとアリスは部屋に入り、ベッドへと腰掛ける。
なるべく早く済ませよう。そう考えながら俺はシャワールームへと向かった。
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