異世界貴族は自由を望む
加速する勘違い(一方的に)
レイとガリルの決闘が終わってから、一週間が過ぎた。
しかしその熱は未だに収まることを知らず、さまざまなところに影響が出ている。
 
まず、同級生の中からレイに魔法を教えてくれと頼む生徒が出てきた。レイはそれに対し、「見て学び取れ」と返した。自分が教えるのはめんどくさい、しかし断ってもめんどくさい。なら放置しようという考えでそういった。それからレイの訓練には必ず十数人ほどの野次馬ができるようになった。すでにレイのことを師匠と呼んでいる者もいる。
そしてリアへのちょっかいがなくなった。決闘で上級生に勝ったのが大きいのだろう。レイに突っかかる者もいなくなった。
そんな二人は今、レイの家の馬車に乗っていた。レイは貴族であるため、婚約話もある。そして貴族間で婚約者が決まってしまうと、付き合っている相手とは別れなければならないのだ。
貴族間での婚約による別れを防ぐためには、レイとリアが婚約する必要があるのだ。
そして、婚約するには、まずレイの父親の許可がいる。リアが今は平民として生活しているからだ。
そんなわけで二人は、ファルが操る馬車の中にいる。
リアにレイが話しかけた。
「ねえ...リア...」
「なに? レイ君」
「リア...は...私...の...秘密...を...知って...る...ん...だよ...ね...?」
「そうだね」
これは、レイの確認だ。
レイは、リアに計画を話すつもりなのだ。知られていることとはいえ、いつまでも秘密にし続けるのもいけないと感じたレイが、ファルと相談して、決断したのだ。しかしそれには致命的な勘違いが含まれることとなっている。それは、リアに計画が知られているという点だ。
計画が全て知られたというのは、ただのレイの思い込みなのだ。さっきの質問も、「自分がしようとしていることも全部知っているのか?」とレイは聞いたつもりなのだが、レイが言葉足らずなせいで、リアは質問の中にある秘密というのは、「この前自分が見たこと」だと解釈してしまった。だから肯定を返した。
結果レイの勘違いは加速して、止まることができなくなったのだった。レイが自分の勘違いに気づくまで、あと少し。
レイの家に着いた。
レイが家の中に入り、ちょうどいた休憩中の使用人に声を掛ける。
「お父...様...は...今...どこ...に...?」
「あ、レイ様。旦那様でしたら、今は王城へお出かけになられています。帰ってくるのは、夜中になるかと。ところで、そちらの方は? レイ様の恋人様でしょうか?」
「...そう」
「なるほど、婚約を認めてもらう必要があるのですね。旦那様が帰られたら、お伝えいたしましょうか?」
「必要...ない...自分...で...言う」
「そうですか、失礼しました」
「部屋...に...いる...から」
そういってレイはリアとファルを連れて自室へと向かった。
レイの自室では、二人がくつろいでいた。ファルは所用で席を外している。
そんな中で、レイがリアに話しかけた。
「それ...じゃあ...、...そろ...そろ」
「ん、なに、レイ君? なにがそろそろなの? は! もしかして私を......!? だ、だめだよ、レイ君! こんな明るい時間から......」
勘違いしているリアをほっておいて、レイが本棚へと手を伸ばす。一つの本を押し込めば、隠し扉が出現した。
「え、なにそれ」
「隠...し...扉」
「いや、それはなんとなくわかるんだけどね、そうじゃなくてなんでそんなものがあるのかってことで......」
「来れ...ば...わか...る...」
そういってレイが階段を下りていく。リアも置いて行かれまいとその後に続いた。
しかしその熱は未だに収まることを知らず、さまざまなところに影響が出ている。
 
まず、同級生の中からレイに魔法を教えてくれと頼む生徒が出てきた。レイはそれに対し、「見て学び取れ」と返した。自分が教えるのはめんどくさい、しかし断ってもめんどくさい。なら放置しようという考えでそういった。それからレイの訓練には必ず十数人ほどの野次馬ができるようになった。すでにレイのことを師匠と呼んでいる者もいる。
そしてリアへのちょっかいがなくなった。決闘で上級生に勝ったのが大きいのだろう。レイに突っかかる者もいなくなった。
そんな二人は今、レイの家の馬車に乗っていた。レイは貴族であるため、婚約話もある。そして貴族間で婚約者が決まってしまうと、付き合っている相手とは別れなければならないのだ。
貴族間での婚約による別れを防ぐためには、レイとリアが婚約する必要があるのだ。
そして、婚約するには、まずレイの父親の許可がいる。リアが今は平民として生活しているからだ。
そんなわけで二人は、ファルが操る馬車の中にいる。
リアにレイが話しかけた。
「ねえ...リア...」
「なに? レイ君」
「リア...は...私...の...秘密...を...知って...る...ん...だよ...ね...?」
「そうだね」
これは、レイの確認だ。
レイは、リアに計画を話すつもりなのだ。知られていることとはいえ、いつまでも秘密にし続けるのもいけないと感じたレイが、ファルと相談して、決断したのだ。しかしそれには致命的な勘違いが含まれることとなっている。それは、リアに計画が知られているという点だ。
計画が全て知られたというのは、ただのレイの思い込みなのだ。さっきの質問も、「自分がしようとしていることも全部知っているのか?」とレイは聞いたつもりなのだが、レイが言葉足らずなせいで、リアは質問の中にある秘密というのは、「この前自分が見たこと」だと解釈してしまった。だから肯定を返した。
結果レイの勘違いは加速して、止まることができなくなったのだった。レイが自分の勘違いに気づくまで、あと少し。
レイの家に着いた。
レイが家の中に入り、ちょうどいた休憩中の使用人に声を掛ける。
「お父...様...は...今...どこ...に...?」
「あ、レイ様。旦那様でしたら、今は王城へお出かけになられています。帰ってくるのは、夜中になるかと。ところで、そちらの方は? レイ様の恋人様でしょうか?」
「...そう」
「なるほど、婚約を認めてもらう必要があるのですね。旦那様が帰られたら、お伝えいたしましょうか?」
「必要...ない...自分...で...言う」
「そうですか、失礼しました」
「部屋...に...いる...から」
そういってレイはリアとファルを連れて自室へと向かった。
レイの自室では、二人がくつろいでいた。ファルは所用で席を外している。
そんな中で、レイがリアに話しかけた。
「それ...じゃあ...、...そろ...そろ」
「ん、なに、レイ君? なにがそろそろなの? は! もしかして私を......!? だ、だめだよ、レイ君! こんな明るい時間から......」
勘違いしているリアをほっておいて、レイが本棚へと手を伸ばす。一つの本を押し込めば、隠し扉が出現した。
「え、なにそれ」
「隠...し...扉」
「いや、それはなんとなくわかるんだけどね、そうじゃなくてなんでそんなものがあるのかってことで......」
「来れ...ば...わか...る...」
そういってレイが階段を下りていく。リアも置いて行かれまいとその後に続いた。
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