黄金(きん)と壮麗の華
Wonder 現在編-39 事は上手くは進まない
読んで下さり、ありがとうございます。
それでは本編始まります。
麗花の息苦しそうな吐息だけが痛々しく響く中、私は目の前の光景を夢物語のように見ていた。
碧)[あ、あれ?な、なんで麗花は倒れてるの?]
[あっ、血がっ!早く止血しないと!]
私は呑気にそう考えながら、麗花の体を揺さぶった。
碧)「れ、麗花。起きて?なんで起き上がらないの?ねぇ………、麗花。」
気付けば、私の頬は涙で濡れていた。
麗花)「カハッ、カハッ。」
麗花は血を吐き出しながら起き上がる。
麗花)「碧、大丈夫だよ。私は大丈夫。」
麗花はカフェの店員がマニュアルを読むような感じでそう言った。
私が呑気に心ここにあらず?などと考えていると麗花は言った。
「しくじったわ。みんなを狙ってくるのは、考えれば予想出来たことなのに…………。」
「ハイトは、止めてくれる、なんて………。」
「思っちゃったの………。」
麗花は悲しそうに笑う。
そんな麗花をハイトは苦しそうに見つめていた。
麗花)[なんで………なんでハイトが私より苦しそうなの?]
[裏切ったのはハイトなのに……。そう思うことすらあなたは許してくれないの?……ねぇ、ハイト………。]
麗花は泣きそうな顔をしながらも無理して笑った。
琥珀)「麗花。もういいよ。無理して笑おうとしなくたっていい!」
琥珀は麗花の苦しそうな顔に我慢が利かなくなったらしい。
麗花)「琥珀……。ありがとう。もう大丈夫だよ。」
麗花はそう言って傷を押さえながら立ち上がり、ルイの方を見た。
麗花)「これで終わりのつもり?さぁ、続きを再開しましょう!」
そう言ったのは、麗花の今の精一杯の強がりだとその場の誰もが気付いていた。
麗花は致命傷を負っていて戦うどころか多分走ることさえ出来ない。
それに比べルイは特に目立つような傷も見られず、まだ体力的にも精神的にも余裕がありそうだった。
戦いの結果はほとんど明らかだった。
この時までは………。
「………僕も手伝いますよ。」
誰もが驚いてその人物の方を見た。
麗花)「……楓。」
楓)「僕だっていちよう、九尾の血を受け継いでいます。」
「麗花さんみたいな超人ぶりを発揮するのは無理ですが、皆さんを守ることくらい出来ます!って、人じゃないんでしたっけ?」
楓は冗談めかして言いながら、その場の雰囲気を軽くした。
私は率直にすごいな、と思った。
麗花のことを見ると、少しだけ心に余裕が出来たようなそんな顔をしていた。
麗花)「………わかったわ。楓、みんなをよろしく。私は攻撃に専念する。」
楓)「はい!任せて下さい!」
楓は頼られたことが凄く嬉しいようでやる気満々で意気込んでいる。
楓)「………九尾の力、解放します!はぁあああ!!」
楓が力を解放すると、お尻の先と頭からは黄金色の尻尾と耳が生え、瞳も黄金色に輝いていた。
それから、私達に向かって飛んでくる攻撃をルイ達の方へ返しては麗花のアシストをしていた。
麗花)[………期待以上よ、楓。悪魔と契約した者の攻撃を返すだけどころか私のアシストまで!]
[やっぱり、あなたがあの時兄さんに向かって反抗しなかったのは、兄さんを傷つけないため。]
[最初っから、楓は悪者じゃなかったのね…………。]
その時、麗花の楓に対する評価は少し上がった。
麗花)「さぁ、私も負けてらんないわ。もう一踏ん張りy……」
麗花も意気込んでそう言った。
いや、正確には言うはずだった。
麗花のその言葉が最後まで発せられることはなかった。
麗花)「えっ………………。」
そう発した声は今までの麗花の声とは思えないぐらい、か細かった。
今まで攻撃して来なかったハイトが麗花と楓を攻撃したのだ。
二人は、ハイトが今まで攻撃して来なかった事実に胡座をかいて少しばかり油断していた。
ハイトが攻撃の為の隙を見つけるのにその少しばかりの油断は充分過ぎるくらいだった。
楓と麗花はその場に倒れ込む。
楓は蘇芳が、麗花は琥珀が寸前の所で抱き止めた。
二人共、さっきの麗花の傷と比べ物にならないくらいの重傷を負っていた。
楓に関しては、打ち所が悪かったようで今にも死にそうな息遣いだった。
誰か、、、助けて!
私が藁にもすがる思いでそう願うと、神様はそんな私の姿を哀れに思ったのか、その場の誰もが想像出来ないような事態を引き起こした。
「麗花っ!!」
誰かの声が大きく響き渡った。
読んで下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!
それでは本編始まります。
麗花の息苦しそうな吐息だけが痛々しく響く中、私は目の前の光景を夢物語のように見ていた。
碧)[あ、あれ?な、なんで麗花は倒れてるの?]
[あっ、血がっ!早く止血しないと!]
私は呑気にそう考えながら、麗花の体を揺さぶった。
碧)「れ、麗花。起きて?なんで起き上がらないの?ねぇ………、麗花。」
気付けば、私の頬は涙で濡れていた。
麗花)「カハッ、カハッ。」
麗花は血を吐き出しながら起き上がる。
麗花)「碧、大丈夫だよ。私は大丈夫。」
麗花はカフェの店員がマニュアルを読むような感じでそう言った。
私が呑気に心ここにあらず?などと考えていると麗花は言った。
「しくじったわ。みんなを狙ってくるのは、考えれば予想出来たことなのに…………。」
「ハイトは、止めてくれる、なんて………。」
「思っちゃったの………。」
麗花は悲しそうに笑う。
そんな麗花をハイトは苦しそうに見つめていた。
麗花)[なんで………なんでハイトが私より苦しそうなの?]
[裏切ったのはハイトなのに……。そう思うことすらあなたは許してくれないの?……ねぇ、ハイト………。]
麗花は泣きそうな顔をしながらも無理して笑った。
琥珀)「麗花。もういいよ。無理して笑おうとしなくたっていい!」
琥珀は麗花の苦しそうな顔に我慢が利かなくなったらしい。
麗花)「琥珀……。ありがとう。もう大丈夫だよ。」
麗花はそう言って傷を押さえながら立ち上がり、ルイの方を見た。
麗花)「これで終わりのつもり?さぁ、続きを再開しましょう!」
そう言ったのは、麗花の今の精一杯の強がりだとその場の誰もが気付いていた。
麗花は致命傷を負っていて戦うどころか多分走ることさえ出来ない。
それに比べルイは特に目立つような傷も見られず、まだ体力的にも精神的にも余裕がありそうだった。
戦いの結果はほとんど明らかだった。
この時までは………。
「………僕も手伝いますよ。」
誰もが驚いてその人物の方を見た。
麗花)「……楓。」
楓)「僕だっていちよう、九尾の血を受け継いでいます。」
「麗花さんみたいな超人ぶりを発揮するのは無理ですが、皆さんを守ることくらい出来ます!って、人じゃないんでしたっけ?」
楓は冗談めかして言いながら、その場の雰囲気を軽くした。
私は率直にすごいな、と思った。
麗花のことを見ると、少しだけ心に余裕が出来たようなそんな顔をしていた。
麗花)「………わかったわ。楓、みんなをよろしく。私は攻撃に専念する。」
楓)「はい!任せて下さい!」
楓は頼られたことが凄く嬉しいようでやる気満々で意気込んでいる。
楓)「………九尾の力、解放します!はぁあああ!!」
楓が力を解放すると、お尻の先と頭からは黄金色の尻尾と耳が生え、瞳も黄金色に輝いていた。
それから、私達に向かって飛んでくる攻撃をルイ達の方へ返しては麗花のアシストをしていた。
麗花)[………期待以上よ、楓。悪魔と契約した者の攻撃を返すだけどころか私のアシストまで!]
[やっぱり、あなたがあの時兄さんに向かって反抗しなかったのは、兄さんを傷つけないため。]
[最初っから、楓は悪者じゃなかったのね…………。]
その時、麗花の楓に対する評価は少し上がった。
麗花)「さぁ、私も負けてらんないわ。もう一踏ん張りy……」
麗花も意気込んでそう言った。
いや、正確には言うはずだった。
麗花のその言葉が最後まで発せられることはなかった。
麗花)「えっ………………。」
そう発した声は今までの麗花の声とは思えないぐらい、か細かった。
今まで攻撃して来なかったハイトが麗花と楓を攻撃したのだ。
二人は、ハイトが今まで攻撃して来なかった事実に胡座をかいて少しばかり油断していた。
ハイトが攻撃の為の隙を見つけるのにその少しばかりの油断は充分過ぎるくらいだった。
楓と麗花はその場に倒れ込む。
楓は蘇芳が、麗花は琥珀が寸前の所で抱き止めた。
二人共、さっきの麗花の傷と比べ物にならないくらいの重傷を負っていた。
楓に関しては、打ち所が悪かったようで今にも死にそうな息遣いだった。
誰か、、、助けて!
私が藁にもすがる思いでそう願うと、神様はそんな私の姿を哀れに思ったのか、その場の誰もが想像出来ないような事態を引き起こした。
「麗花っ!!」
誰かの声が大きく響き渡った。
読んで下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!
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